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【丸善創業150周年】出版物で辿る丸善の歴史 ~高度成長期Ⅱ編~

今年は丸善の創業から150年を迎えます。

この節目の年に丸善の出版物を全12回の連載で振り返ります。

それぞれの時代を象った、丸善グループの写真や画像をご覧ください。

 

丸善出版 創業150周年記念プロジェクトチーム

 

<< 高度成長期Ⅰ(昭和30年代)

オイルショックとその後の回復期

(昭和49年~昭和60年) >>

高度成長期Ⅱ 昭和40年代(1965年~1973年)


 

 

 

創業100年記念パーティー

昭和44年2月22日、東京赤坂のホテル・オークラの平安の間で創業100年記念パーティーを催した。

招待した方々は、駐日各国の外交官、学術文化関係の方々、政財界その他各界の名士、それに株主、取引先の方々を含め、3000名近くであった。社長ならびに各重役は、会場入口で来賓を迎え謝意を表し、また、記念品として「丸善外史」(木村毅著 )と、“Longman‘s English Larousse”を贈呈した。

 

 

平和島配送センター新設

書籍を中心とする当社の輸入品が年々増加し、従来の第四丸善ビルでは大変手狭になってきた上、都内、ことに都心地域の交通渋滞も影響して、受注商品の配送にも遅延を生じがちであったため、京浜2区(大井・大森海岸)に当社の配送センター新設を決定した。昭和43年8月に着工、竣工は翌昭和44年5月31日であった。

ここには書籍・文具・事務機械などを集積するため、機械力・動力を多用し、直接的な人力をできる限り節約するように設備を施した。配送センターの新設により第四丸善ビルの洋書倉庫がここに吸収されただけでなく、貨物類の入出庫能力が非常に高まった。

 

 

サルトル, ボーヴォワール来店

昭和41年9月に、フランスの有名な作家サルトルと女流作家のボーヴォワールが来日した。朝日新聞主催で東京で2回、京都で1回講演をし、聴衆に非常に大きい感銘を与えた。2人は東京滞在中の一日、日本橋店を訪れた。

 

  

『化学便覧 基礎編Ⅰ・Ⅱ』

日本化学会 編

昭和41年(1966)発行 A5判 1,238ページ 定価5,000円

 『化学便覧』はこの時点から『化学便覧 基礎編』と『化学便覧 応用編』に2分割された。2分割になった経緯は『化学便覧 応用編』を参照されたい。

 本書の編集の過程が「序」に次のように記されている。「基礎編編集委員会は昭和37年5月にその第1回会合を行ない、その後常任編集委員会は20回を越えて極めて慎重な討議を重ねた。…集まった原稿の編集のために、昭和39年7月常任編集委員が1週間にわたる合宿作業を行なって、全員がそれぞれ全原稿を査読して … 原稿の徹底精査検討に努力した。最終的には再校の終わった段階で昭和41年6月ふたたび4日間の合宿作業で再度のダメを押し…改訂の企画以来4年にして今回ようやく本書が完成した次第である」

 編集委員が合宿して原稿査読や校正をするのは戦後では『化学便覧』が嚆矢ではないだろうか?昭和の時代までは他の便覧や事典でもよく行っていたが、いまでは1週間もの合宿は大学の研究環境の様変わりで消滅した。しかし、『化学便覧』では『基礎編』『応用編』ともにいまだ廃れていない。とはいえ、その形態は時代とともに徐々に変わり、たとえば,かつては風光明媚な地方に出向き旅館の座敷で作業を行い、その部屋で雑魚寝でもどなたも何もおっしゃらなかったが、そのうち、作業は会議室、就寝は個室が最低条件になった。そのため、編集会議や編集作業は小社会議室で行うことが多くなり、遠方の方は近くのホテルにお泊りいただくという誠に味気ないことになった。

 その後本書は『化学便覧 基礎編 改訂2版』(1975)、『化学便覧 基礎編 改訂3版』(1984)、『化学便覧 基礎編 改訂4版』(1993)、『化学便覧 基礎編 改訂5版』(2004)と改訂を重ね累計部数は10.4万部に達している。

 なお、『化学便覧 基礎編 改訂5版』はWeb版の『化学書資料館』で全ページ閲覧できるだけでなく,冊子に収載仕切れなかったデータも搭載しており、多くのデータをエクセルにダウンロードできる。

(書影は『化学便覧 基礎編 改訂5版』(平成16年))

 

【付記:便覧の読み方】

 国会図書館、都立中央図書館ともに各種「便覧」の「タイトルよみ」を「ベンラン」としている。『広辞苑』初め各種の「国語辞典」も「べんらん」が主見出し語で「びんらん」は「→べんらん」となっている。また、社内でもかつては「便覧」の呼称は「べんらん」であった。 

 

 

『化学便覧 応用編』

 日本化学会 編

昭和40年(1965)発行 A5判 1,688ページ 定価6,500円

 昭和27年に刊行した『化学便覧』は33年に『新版』を、35年に『新版2版』を出した。本書を『基礎編』と『応用編』の二つに分割することになった経緯が「序」に次のように記されている。「この数年間の学界および業界の発展は著しく,そのため内容を大いに増加しなければもはや完全な便覧としての役目を果たせなくなった。一方,あまりに分厚い本は便覧としての日常の取扱いに不便になるであろう。そこで編集委員会は化学便覧を基礎編と応用編とに分けて刊行するのは適当と認め…」と専ら物理的理由で二つに分けたとしているが、当時は基礎系の理学部化学と応用系の工学部応用化学に水と油のごとき体質の違いがあり、2分割にすることに誰も反対しなかったと推測される。

本書はその後『改訂2版』(1973)、『改訂3版』(1980)、『応用化学編』(1986)、『応用化学編 第5版』(1995)、『応用化学編 第6版』(2003),『応用化学編 第7版』(2014)と改訂を重ね、累計部数は7.7万部に達している。

なお、『応用化学編 第5版~第7版』は『化学書資料館』というWeb版で全ページ閲覧できる。

(書影は『第7版 化学便覧 応用化学編』(平成26年))

 

【付記】

 当時の日本化学会会長で東京大学教授の木村健二郎先生が上記の「序」を執筆したが、木村先生は1954年、第五福竜丸が死の灰を浴びた事件でその灰を分析し、いち早く水爆の降下灰であることを突き止めた。その灰は米国でも分析されたが、その分析値の正確さに米国の研究者が驚いたというエピソードが残っている。第五福竜丸事件は核保有国が起こした人道にもとる許しがたい核実験によるものであるが、遅れた敗戦国日本の研究レベルの高さを世界に示す結果となった。

   

 

高度成長期Ⅱ-昭和40年(1965)~48年(1973)の丸善の出版物


 昭和30年代にひきつづき昭和40年代も48年10月に第一次オイルショック(和製英語)が起こるまで高度成長をつづけた。昭和40年から48年までに名目GNPは33兆円から112兆円と3.4倍に伸長し、出版業界も昭和40年の2,314億円から48年の6,443億円に売上が2.8倍に拡大した。

 この間、小社の売上も伸びたが、その要因として、1.主力タイトルの続刊および改訂版の刊行、2.基礎医学の翻訳書の刊行、3.新たなシリーズの刊行の三つをあげることができる。このうち大きな割合を占めたのは1で、2は大健闘したものの点数が少なく、3は好調なタイトルから極端に不振なものまで各巻のバラツキが大きく、飛躍のエンジンには至らなかった。

1. 主力タイトルの続刊および改訂版の刊行

①『建築設計資料集成1集~6集』(2,000~6,000円)は昭和35年から刊行が始まりこの時期に『4~6集』が出て45年に完結した。本集成は各集4万~10万部を売った。

②『続実験化学講座(全14巻,15冊)』(各巻2,200円前後)は昭和39年からスタートして42年にフィニッシュしたが、各巻7,000~10,000部に達した。

③『化学便覧』は昭和27年(1952)に初版(1,100円)、33年に『新版』、35年に『新版2版』を刊行して累計7万部を販売したが、『基礎編』と『応用編』の二つに分割して、昭和40年に『応用編』(6,500円)、41年に『基礎編』(5,000円)を出した。前者は2.4万部、後者は3.5万部を売った。

2. 基礎医学の翻訳書の刊行

『ハーパー生化学』(2,500円)を昭和43年に、『医科生理学展望』(3,000円)を44年に刊行した。刊行当初から好評であったが、両書とも46年に出した次版から部数が飛躍的に伸びた。現在も2年ごとに改訂版を出しており、半世紀経ってもその需要が落ちない稀有なテキスト。

3. 新たなシリーズの刊行

この時期に『バークレー物理学コース』『経営学全書』『文字のデザインシリーズ』『発生生物学シリーズ』『電子・通信・電気工学基礎講座』『建築計画学』『合成化学シリーズ』など15の新たなシリーズの刊行を開始した。シリーズものは一定の部数が見込めるので、昭和30年代から積極的にシリーズ企画を進めてきた。しかし,原稿の定期的な入手がむずかしいことや、巻ごとに部数のバラツキが生じるなどの弱点があり、上記1の代わりの柱になることはできなかった。

 

  

 

『新版 丸善金属重量表』

日本化学会 編

丸善株式会社編 昭和41年(1966)発行 A6判変形 522ページ 定価500円

 『丸善金属重量表』の初版は昭和28年(1953)に刊行され、その後、昭和32年に『改訂版』が出されているが、これらの製作履歴が不明なため、昭和41年発行の『新版 丸善金属重量表』から平成20年(2008)発行の『丸善金属質量表 第2版』までを紹介する。取り上げる理由は『新版 丸善金属重量表』(500円)から『丸善金属質量表 第2版』(本体1,800円)まで21.5万部に達し、いまだに需要があるからである。

 『丸善金属重量表』(昭和28年)の「序」に元昭和製鋼技師・田鍋力に対する謝意が記され、また『丸善金属質量表 第2版』(平成20年)は直井久・渡辺敏編と明記されているが、これら二つ以外の版はすべて丸善株式会社編で個人名の記載はどこにも見当たらない。しかし、鉄鋼と非鉄金属の質量のデータを収集・整理し編集する専門性は70年近く以前も現在も小社にはなく、「本書編集に際し多くの資料を提供された各社並びに直接編集に当ってご尽力をいただいた元昭和製鋼技師・田鍋力に深く謝意を表す次第である」と初版の「序」にあるとおり、金属関係各社の製品カタログとJISデータを田鍋の指示に従って小社が収集し、それを田鍋が整理・編集したものと推測される。

 本書は平成11年(1999)に書名を『金属重量表』から『金属質量表』に改めたが、初版発行以来66年も経っていまだに需要があるのは、文庫本サイズで工場などの現場で使いやすいという理由ばかりでなく、単位系の変更、JISデータの簡便な閲覧にあると思われる。JISデータはネットで誰でも閲覧できるが印刷・ダウンロードができないので、これがあるいは本書が命脈を保っている理由の一つかもしれない。

(書影は『丸善 金属質量表 第2版』(平成20年))

 

 

『若い技術者のための機械・金属材料』

矢島悦次郎・市川理衛・古沢浩一 著

昭和42年発行 A5判 360ページ 定価1,300円

 本書は初版発行から半世紀以上を経て未だに命脈を保っている。初版は昭和53年(1978)までに65,000部を販売、昭和54年に増補版を出してこれが平成13年(2001)までに99,000部に達し、平成14年の第2版が平成28年(2016)までに23,500部となり、平成29年に出した第3版が現在3,200部で初版発行以来累計19万部以上となった。

 本書が異例な長寿命を保った要因としては、①読者層を新制大学と工業専門学校に絞ったこと、②戦前の工業専門学校が前身で戦後新制大学になった名古屋工業大学で10年間教鞭をとっていた著者らの経験と蓄積を十分に生かした教科書になったこと、③鉄と非鉄金属を1冊にまとめた金属材料の教科書が意外に少ないこと、④金属工学は明治以来の歴史があり、金属工学科のほとんどが旧帝国大学に置かれてむずかしい教科書が多い中で平易に書かれていたこと、➄初版の著者らが泉下の客になった後,増補版・改訂版を引き継いだ著者らも名工大の所属で継続性が担保されたこと、などをあげることができる。しかし反面、本書のような長寿命のテキストがまれなのは,著者の狙い、著者の授業の経験と蓄積、および外部環境という三拍子がそろうことはきわめてまれであることを意味しているともいえ、二匹目の泥鰌を安易に狙うとほとんど失敗し、在庫と返品の悪夢にうなされることになる。

 なお、初版発行時の昭和42年の『コンサイス英和辞典』(三省堂)は700円(いまは本体3,200円)で、本書は1,300円(いまは本体2,900円)で違和感を覚える。初版当時は大学・高専の教科書というより書名の通り『若い技術者』が主な購読者でなかったろうか?

(書影は『若い技術者のための機械・金属材料 第2版』(平成14年))

   

 

『ハーパー・生化学』

H.A. Harper 著  三浦義彰 監訳

昭和43年(1968)発行 B5判 504ページ 定価2,500円

 本書の「翻訳に当って」にきわめて率直に翻訳出版の経緯が記されているので、まずはそれを紹介する。「HarperのReviewは生化学を一般生化学として教えるには適していないが、医学生に臨床と関連させながら講義を進めてゆくにはたいへんよい本で、私自身は長い間お世話になった本である。 … 近年丸善アジア版(注:リプリント版)が出るようになるとこんな安い本はないからしきりと学生に奨めてきた。しかし試験をしてみるとわかることだが … 原書を読みこなすまでにはいかない場合が多い。私自身としてはこの本を翻訳することは労も多く、また価格も高くなるので、あまり賛成ではなかったが、学生の理解という点からいえば、やはり日本語で読ませた方がはるかにすぐれている」

 「価格も高くなる」とズバリ記されているので当時の2,500円はどの程度かというと昭和43年の国家公務員上級職初任給(本給のみ)が27,700円なので、平成30年の国家公務員総合職初任給(本給のみ)185,200円と単純に比較すると1.6万円強と相当高い。

 本書原題は“Review of Physiological Chemistry 11th Edition”であるが『生理化学』と直訳しなかった訳者の先見性に頭が下がる。原書は18版から“Harper’s Review of Biochemistry”に、同21版から“Harper’s Biochemistry”に、同26版から“Harper’s Illustrated Biochemistry”に書名を度々変えていて『ハーパー・生化学』という書名は原書を先取りしていた。

 本書は原書11版からスタートして同12版から部数が急速に伸び同21版で2万部を超えた。その後漸減したが2016年の最新版・原書30版も1万部前後の需要がある。なお、上記のように原書26版から“Harper’s Illustrated Biochemistry”となって図版にウェイトを置き、記述の網羅性という点では前版の原書25版に代わるものがないので2001年に出した原書25版にいまだに需要があるという他に例のないテキストになっている。

(書影は『イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版』(平成25年))

   

 

『医科 生理学展望』

W. F. Ganong 著  松田幸次郎・市岡正道・八木欽治 訳

昭和44年(1969)発行 B5判 574ページ 定価3,000円

 本書は“Review of Medical Physiology,3rd Ed. ”(1967)の翻訳で、書名は直訳で当時もこのような書名は類書にはなかったのでないかと思われる。生理学の教科書としては風変りな書名になった訳が「翻訳に当たって」に記されているが、この「翻訳に当たって」はすべての改訂版に再掲され、現行版にも掲載されている。つまり、原書および翻訳の編集方針は半世紀を経過しても色褪せることがなく、それがいまも命脈を保ちつづけている理由に違いない。

 「翻訳に当たって」には現代生理学の内容は余りに広くかつ深いので学生に限らず専門家でもその詳細に通ずることはもちろん,個々の事柄をしらべることすら容易ではありません。そこで必要なのは現時点の生理学の成果を全体的に展望しておくことです。その上で初めて個々の問題更に深く入ることができるのであります。本書はその展望を提供するものです” と記されていて「展望」がキーワードであり、書名にテキストとしては奇異な「展望」を外すことはできなかったと推測される。この書名は原書20版(2002)まで踏襲されたものの同21版(2004)から教科書としてはごく普通の『ギャノング生理学』に改められた。

本書は原書3版からスタートしたが、原書4版から急速に部数を伸ばし、その後半世紀を経ても各版1万部前後の売行を示し、部数の衰えないきわめて稀なテキストといえる。

(書影は『医科 生理学展望 原書19版』(平成12年))

 

【コーヒーブレイク】

ある大学の医学部生理学教室をお訪ねした際に、出たばかりの本書の最新版が机上にあったのでお礼を申し上げたところ、改訂版は必ず購入されているとのこと。第一線の研究者にとっても「本書で現時点の生理学の成果を全体的に展望しておく」という需要があることを知り、本書の衰えない部数を実感した覚えがある。

  

 

『バークレー物理学コース』

【刊行開始】『5巻 統計物理 上』

Reif 著

久保亮五 監訳

昭和45年(1970)発行

 A5判 240ページ 定価1,200円

【完結】『1巻 力学 上』

C. Kittel, D. Knight,M. A. Ruderman 著

今井 功 監訳

昭和50年(1975)発行

 A5判 230ページ 定価2,600円

 本シリーズは米国の大学における物理教育の新しいコースをつくるプロジェクトの一つとしてカリフォルニア大学バークレー校によって作成された教科書シリーズの翻訳で、『力学』、『電磁気』、『波動』、『量子物理』、『統計物理』の計5巻からなる。翻訳版ではそれぞれの巻を上下2冊にして計10巻とし、さらに『付 実験物理』上下を加えて計12巻のシリーズが発売以来四半世紀にわたって大学の教科書・参考書として使われた。本シリーズは各巻いずれも1万部を超え、なかでも好評なのは『電磁気』で累計6万部に達した。本シリーズは最もコンパクトな『量子物理』、『統計物理』でも500ページ超で、最も分量の多い『波動』は700ページを超えている。教科書のページ数について物理と化学では事情が若干異なるので付言しておきたい。化学分野では有機化学、物理化学、生化学などの基礎科目において、ページ数も大部な定番翻訳書が現在でも教科書として席捲しているが、物理学分野では,本シリーズに相当する日本の教科書は書下ろしのものが多く、価格を配慮して本シリーズの半分程度のページ数に抑えており、そのような本が長く愛される傾向にある。たとえば、原島鮮著『力学』(裳華房)は1958年に初版が出て以来売れつづけ1985年の『三訂版』が現在も教科書として使われている。

(書影は『バークレー物理学コース 2電磁気(第2版)上』(平成元年))

  

 

『経営学全書 全41巻』

【刊行開始】

『経営学全書 1 経営原論』

山城 章 著

昭和45年(1970)発行

 A5判 292ページ 定価950円

【完結】

『経営学全書 2 多国籍企業論』

入江猪太郎 著

昭和54年(1979)発行

 A5判 200ページ 定価2,000円

 この時期に15の新たなシリーズを刊行したが、『経営学全書』と『文字のデザインシリーズ』のほか13シリーズはすべて理工系であった。この時期、売上の柱は相変わらず『建築設計資料集成』『実験化学講座』『化学便覧』であり、これらに安住することの危機感と新たな柱を立てるべきという思いから多数のシリーズ企画が立てられたのであろう。この中で『経営学全書』は全41巻という野心的なシリーズであることから、理工系以外の分野にウィングを広げたいという思いを込めたものでもあった。

 シリーズは巻ごとの部数のバラツキが大きかったり、原稿入手のハードルが高く定期的な刊行ができなかったり、さらには刊行できない巻が生じたりして、当初の思惑通りに進まないことが多かったが、本全書は9年を要したものの全41巻中、40巻を出してフィニッシュした。

 本全書は全40巻のうち29巻が重版して3万部近くに達した巻もあり、おしなべて好評であったが、最も部数が伸びなかったのは『経営監査論』で、この時代の風潮が反映しているように思える。

(書影は『経営学全書 20 経営計画論』(1976年))

  

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オイルショックとその後の回復期

(昭和49年~昭和60年) >>

 

 

≪ バックナンバーと今後の予定 ≫

1月  明治時代

2月  大正から戦前・戦中

3月  戦後直後

4月  戦後復興期

5月  高度成長期Ⅰ(昭和30年代)

6月  高度成長期Ⅱ(昭和40年~オイルショック)

7月  オイルショックとその後の回復期(昭和48年~昭和60年)

8月  バブル期とその後(昭和61年~平成8年)

9月  平成8年~現在

10月「學鐙」の歴史

11月『理科年表』の歴史とトリヴィア

12月 新たな取り組みの歴史

 

 

 

丸善 創業150周年記念サイト

http://150th.maruzen.co.jp/

 

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