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【丸善創業150周年】出版物で辿る丸善の歴史~『理科年表』の歴史とトリヴィア~
今年は丸善の創業から150年を迎えます。
この節目の年に丸善の出版物を全12回の連載で振り返ります。
それぞれの時代を象った、丸善グループの写真や画像をご覧ください。
丸善出版 創業150周年記念プロジェクトチーム
『理科年表』の年表
理科年表のなりたち |
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国立天文台が編纂するサイエンス全分野を網羅したデータブック。1925年(大正14)に東京天文台から創刊されたが,創刊から1943年(昭和18)までは東京天文台から当社が払い下げを受けて発売していた。1944~1946年の3年間,戦争のため休刊し1947年に復刊(20冊目)して,このときから当社の発行すなわち蔵版となった。それ以来,毎年刊行をつづけ,今月出版される見込みの2020年版で93冊目になる。 『理科年表』は暦部,天文部,気象部,物理/化学部,地学部,生物部,環境部の7部門と附録からなり,昭和59年(1984)版で生物部,平成17年(2005)版で環境部が新設されて現在の部門構成にいたっているが,基本的な掲載スタイルは創刊当時からほとんど変わっていない。2009年世界天文年に東京大学総合図書館で,以下の解説が付されて『理科年表』が展示された。その解説文を以下に引用する。 当時(1925年),東京天文台には本格的な天体暦を発刊する計画があったが,海軍省水路部の計画と競合したために「理科年表」と名づけた簡便な天体暦の発行で妥協せざるを得なかった。ポケット版で,天文・暦の記事とデータ以外に物理,化学,気象などの科学データも収められている。 その理由は恐らく,サイズも内容もよく似ているからフランス経度局が発行していた『経度局年鑑』を参考にしたためと考えられる。なぜなら,東京大学ではずっと以前から購入されていたし,発行元はパリ天文台だったからである。『経度局年鑑』の方は1970年代に廃刊になったので *,この種の総合的科学データブックは世界で唯一であろう。 * 『経度局年鑑』本体は1976年に廃刊になったものの,分野別の冊子に分かれて出版を続けている。とはいえ、科学分野を網羅的にまとめたデータブックは世界広しといえども『理科年表』だけ。
理科年表 創刊(1925年(大正14))
理科年表 復刻版 ・1988年発行,A6判,350ページ,2,500円,初版5,000部,重版1,000部 本書は当社創業120周年記念出版の一つとして刊行されたが,その背景には以下の二つをあげることができる。一つは『理科年表』は1985年に売上のピークを迎えたものの,その後部数が逓減したため,そのてこ入れとして本書を発行したこと,二つ目は,刊行時の1988年はバブル経済の真っ盛りで,遊びとも思える企画が巷に溢れていて余裕があったことである。 本書は累計6,000部を数えたが,そのほとんどは宣伝・販促に使われた。
環境年表 ・『理科年表 環境編』大島康行・浅島誠・高橋正征・原沢英夫・松本忠夫編, B6判,320ページ,2003年発行,1,600円 ・『環境年表 平成21・22年(第1冊)』国立天文台編, A5判,410ページ,2009年発行,2,000円 ・『環境年表 2019-2020(第6冊)』国立天文台編, A5判,522ページ,2019年発行,2,800円
本書は『理科年表』本体の「暦・天文・気象・物理/化学・地学・生物」という既存の6分野には収まらない「環境」を別建てで編集したもので,『理科年表』本体に先んじて『理科年表環境編』として出版された。『理科年表』本体には翌年に「環境部」が新設され,本書のダイジェスト版が収載された。したがって『理科年表 環境編』の編者は上記のように個人名になっている。『理科年表』本体に収載されてから出版された『理科年表 環境編 第2版』および本書の続巻である『環境年表』はいずれも国立天文台編となっている。 『理科年表 環境編』の「序」に「地球環境が悪化していることは,地球温暖化,異常気象,…,廃棄物などから身近に実感されています。しかし,私たちはそれらが具体的にどう変わり,どの程度の規模になっているかは必ずしも理解できません。… 理科的な資料としてだけではなく,人文社会的な要素にも答えることのできる資料集を意図しています」と記されていて,環境問題には人為的要因が大きいことを反映した編集方針となっている。自然環境の変化という点では『理科年表』に相応しい内容とはいえ『理科年表』本体には収まらないことが理解できる。 『理科年表 環境編』は初版,第2版ともに好調な売行きを示したが,環境を前面に出した『環境年表』にバージョンアップしてから売行きは厳しくなった。この理由を一概にいうことはできないが,次の要因も影響しているのではないだろうか? 『理科年表 環境編』の「序」に「人文社会的な要素にも答えることのできる資料集を意図」とあり,実際に「人文社会的な要素」に意を用いたデータが掲載されているが,たとえば「温室効果ガス排出量」では国別の排出量がわからない。「二酸化炭素排出量」の国別データが載っていれば中国28%,米国15%が突出していて日本は世界第5位とはいえ3.5%に過ぎないことが一目でわかる。廃プラの排出量もしかりで『環境年表』では世界の実情と日本の位置がわからない。また,国内のデータは豊富だが世界のデータは乏しい。 環境問題は国内や地域ではなく地球規模の課題なので,この辺りを考慮すればそもそものニーズは高いのではないだろうか。
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理科年表シリーズ |
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・『理科年表Q&A』B6判,224ページ,1,800円,2003年発行 ・『「単位」がわかる』B6判,136ページ,1,600円,2003年発行 ・『ワクワク実験気象学』A5判,240ページ,3,500円,2000年発行 ・『環境年表』(別掲『環境年表』参照) ・『よくわかる宇宙と地球のすがた』A5判,148ページ,1,300円,2010年発行 ・『よくわかる気象・環境と生物のしくみ』A5判,160ページ,1,300円,2010年発行 ・『よくわかる身のまわりの現象・物質の不思議』A5判,184ページ,1,300円,2011年発行 現在は,『理科年表』本体と『理科年表プレミアム』を初め,上記7点を「理科年表シリーズ」として販売している。上記7点の「理科年表シリーズ」は2001年に出した『理科年表ジュニア』のコンセプトの延長にあるもので,『よくわかる宇宙と地球のすがた』『よくわかる気象・環境と生物のしくみ』『よくわかる身のまわりの現象・物質の不思議』の3点も『理科年表ジュニア』を分割・発展させたタイトルである。『理科年表ジュニア』のコンセプトは『理科年表』の各分野から基本的な項目を選び,その概念や関係する用語を丁寧に解説することと,図やグラフを多用して(『理科年表』本体は表が中心)視覚化をはかることによって『理科年表』をもっとわかりやすく親しみやすいものにすることで,他のタイトルも基本的にこのコンセプトに沿っている。 「理科年表シリーズ」は『理科年表』のすそ野を広げて『理科年表』本体のルネサンスを狙った企画で,1980~1999年に40冊刊行した「理科年表読本」より低年齢層をターゲットにした。この「理科年表読本」も『理科年表』が取り上げている項目の丁寧で興味深い解説にニーズがあると想定した企画で,いずれも好調であったものの読者の年齢層が高かった。読者の高齢化は『理科年表』本体においても深刻で,このままでは先細りが避けられず,中高生のときから『理科年表』を身近に感じてもらいたいという企画でもあった。
理科年表プレミアム 1996年に発売された「理科年表CD-ROM」(25,000円)は,大正14年の創刊から最新年までのデータを収載,目次・全文検索を備え,必要なデータをダウンロードできるといった機能を備えたソフトウェアで,Windows 95ブームによって日本国内で爆発的にPCが売れたことを背景に,理科年表をデータ利用できると大変好評を博した。ところが,最新年のデータを入手するためには毎年の買い直しが必要となることや,特に2000年以降,インターネットの普及とともに,web上のデータベースを利用することが世間の主流となりつつあり,次第にCD-ROMの売れ行きが鈍化するようになっていった。 これを受けて, 2005年に「理科年表CD-ROM」の販売を取り止め,基本機能をそのまま踏襲したweb上のデータベースとして「理科年表プレミアム」が誕生した。CD-ROM時代から同時に複数ユーザで利用したい,といった要望も声が多かったため,法人向けの年間料金表(別表)を用意し,丸善の外商ルート等を通じて,主に大学や企業などの図書館に販売されている。 個人向けには,従来のCD-ROMパッケージの代替として,「理科年表プレミアム」の登録後1年間の利用権をパッケージした「理科年表web版」を用意し,毎年11月の「理科年表」発売に合わせ,書店ルートで販売されるようになった。(あわせて,当社サイトからクレジットカード決済によるパッケージレス購入も可能となった。) 一方で、CD-ROMに掲載していたグラフ描画機能などは「理科年表プレミアム」では廃止した。これはPCの普及で,ダウンロードしたデータをユーザ自身の表計算ソフトを用いて自在に活用することが日常的となったからである。 また,「理科年表プレミアム」発売と同時に「理科年表オフィシャルサイト」を立ち上げた。「理科年表」の使い方をガイドする「徹底解説」「FAQ」や,過去の理科年表に掲載のトピックスを収載した「バックナンバー」等を無料で閲覧できるもので,「理科年表」の普及とともに読者の便宜をはかっている。
理科年表トリビア |
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①じつはポケット版がオリジナルサイズ 理科年表は現在A6判「ポケット版」とA5判「机上版」の2サイズで展開しています。理科年表に長年親しんでいる読者にとっては当然の話なのですが、じつはA6判がオリジナルサイズというのはご存知でしょうか。 1925年、記念すべき第1冊は346ページでスタートしましたが、その後、情報量は年々増え続け、いまや1,200ページに届くまで膨らみました。経年変化がわかることも年刊の売りであるため、ひとつの表に毎年データが追加されます。ところが、長年の拡張工事で各表がジグソーパズルのように絡み合っているため、簡単にはレイアウトを変えづらく、挙句、文字サイズを小さくして無理やり詰め込んでいるところもあるため、ポケット版では判読に苦労する箇所も見受けられます。 A6判で始まった理科年表は、『昭和61年版(第59冊)』(1985年刊)でついに1,000ページの大台に乗ります(1,038ページ)。その前年の『昭和60年版(第58冊)』(1984年刊)から机上版の販売が始まりますので、これまでの倍のサイズの理科年表が出来た安心感からか、堰を切ったようにページ数があふれ出してしまったのかもしれません。 なお、編集のさいにはさすがにオリジナルとはいえA6判用のゲラで校正は行わず、A5判用で行います。組版もA5判で、それを縮小してポケット版が出来上がります。そのためか、A5判がオリジナルで持ち運びしたい読者のためにポケット版も作っているように錯覚しがちなのは、理科年表編集者あるあるです。
③理科年表は「年表」? 「年表」という名を持ちながらも、基礎データがびっしり掲載されている理科年表。歴史年表のようないわゆる「年表」の印象はあまりないかもしれません。しかし、編集時に年や月を目にする機会は意外と多いのです。そこで、創刊と最新版で「年表」スタイルをとるデータを数えてみました(「平年値」は除外しました)。 大正15年版(創刊)では、本文313ページのうち84ページ(26.8%)が、2020年版では、本文1146ページのうち286ページ(25.0%)と、昔も今も4分の1程度が年表の体裁をとっています。全体のボリュームは3倍以上とデータの種類もページも厚くなった本書ですが、こんなところにも編集委員による偏りのないデータ選択の結果が表れているのかもしれません。 しかし、科学の広い分野を網羅しているため、「年」の枠におさまらないこともしばしば。スケールの大きな表は、昔から変わらず地学分野です。「隕石の年代」や「地磁気正極年代表」などは100万年単位。一方、暦部や天文部では「秒」単位のものも登場します。 大正15年版にはない項目として注目したいのは、「ノーベル賞受賞者・授賞理由」表。11月刊行の本書ですが、10月の発表を待って校了しています。
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映像メディア部のご紹介
映像メディア部の歴史 | |
1965年 | 書籍以外の教育教材を手掛け、書籍販売部内に教材係を新設 |
1966年 | 文部省による学校教材整備十年計画の教材基準の制定される |
1967年 |
法整備を受け、教材係を教材課に昇格させ幅広く教育用教材を取り扱うこととなる |
1980年 |
教育教材の中で、視聴覚資料(VHS版)のオリジナル企画 「基礎看護技術ビデオシリーズ」全7巻を企画、制作、販売を初めて行った |
1989年 |
教育関連部門もニューメディア部として本格的に医療・教育分野のビデオを企画・制作を行う |
1994年 |
大型企画として、明治維新から現代までの日本の発展過程をニュースフィルム映像教材として「現代日本の形成過程」全52巻の企画・制作・販売を行った |
1995年 |
映像教材の企画・制作・販売部門を出版事業部に移管 出版事業部ニューメディア部AVメディアグループとして新たなスタート |
1996年 |
DVDという新たな記憶媒体が登場 |
2000年 |
2000年代に入って 当社の商品もVHSからDVDへ切り替えていく |
2001年 |
英国BBC日本総代理店契約を締結 教材市場、図書館へ販売開始 |
2003年 | 放送大学振興会との間に放送大学ビデオ教材の総代理店契約を締結 |
2016年 |
DVD商品に加え、新たな映像教材の配信ビジネス「EVO」というブランドを立ち上げる 映像教材をパソコン、タブレット、スマートフォンでも視聴できるサービスを開始 |
日本視聴覚教育協会の優秀映像教材選奨受賞!
弊社DVD商品が本年度の最優秀作品賞(文部科学大臣賞)と優秀作品賞を受賞しました。
VHSビデオテープ
太平洋の世紀
スライド集
早期肺癌の内視鏡スライド集
スライド集とカセットテープ
スライドとテープによる眼科学シリーズ
英国BBC日本総代理店として
日本語版の制作、教育市場・図書館への販売を行う
BBCコンテンツ
BBCコンテンツ
オリジナルコンテンツ
オリジナルコンテンツ
オリジナルコンテンツ
映像教材の配信ビジネス
EVO(Educational Video Online )サービス開始
≪ バックナンバーと今後の予定 ≫
7月 オイルショックとその後の回復期(昭和48年~昭和60年)
丸善 創業150周年記念サイト
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