内容紹介
近年、大学における化学の授業では、往時のように化学物質の性質を詳しく教える各論的な内容の授業が姿を消して、理論的な説明で体系化された知識の習得が主流になっている。試薬も多様なものが市販品として入手できるようになり、自分で合成する必要がなくなった結果、大学院生になっても身近な化合物の性質をあまり知らないケースが見られるようになった。このような背景のもとでは、年配の化学者にとって当然の事故が、若い化学者に取っては予想し得ない事故となる危険性が、今後ますます増大するものと懸念される。 本書は著者の40年に渡る研究生活中に、雑誌や論文に載った有機化学実験を行っている際に起こった事故例や、実際に身の回りで起きた体験をまとめたものである。具体的な現象を記載によって状況をうまく把握し、不幸な事故を避けるための情報が満載。有機化学実験に携わる研究者・技術者の座右の書。
目次
1 基本的な操作や取扱いにおける事故
1.1 加熱と冷却
1.2 蒸留
1.3 乾燥
1.4 溶媒
1.5 気体の使用と加圧
1.6 撹拌と実験の規模
1.7 悪臭と有毒気体
1.8 試薬の保存と廃棄
1.9 アレルギー物質
1.10 発ガン物質
1.11 毒性元素
2 酸化反応における事故
2.1 有機過酸化物
2.2 過酸化水素
2.3 オゾン化分解
2.4 クロム試薬
2.5 マンガン試薬
2.6 オスミウムとルテニウム試薬
2.7 その他の酸化試薬
3 還元反応における事故
3.1 単体金属
3.2 接触還元
3.3 ヒドリド試薬
3.4 ヒドラジン
3.5 その他の還元剤
4 炭素―炭素結合の生成反応における事故
4.1 アセチレンとアレン
4.2 有機金属試薬を用いる合成
4.3 Friedel-Crafts反応
4.4 付加環化反応
4.5 ニトリルとエステル
4.6 カルボアニオン種とベンザイン
4.7 重合反応
5 有機窒素化合物の反応や取扱いにおける事故
5.1 アジド化合物
5.2 ジアゾ化合物
5.3 ジアゾニウム化合物
5.4 ジアゼン、トリアゼンおよびポリアゼン
5.5 ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドラゾンおよびニトロソ化合物
5.6 脂肪族ニトロ化合物
5.7 芳香族ニトロ化合物
5.8 ニトロ化反応
5.9 硝酸化合物
5.10 その他の窒素化合物
6 ハロゲン化およびハロゲン試薬を扱う際の事故
6.1 塩素化と塩素化試薬
6.2 臭素化と臭素化試薬
6.3 フッ素化とフッ素化試薬
6.4 ヨウ素化とヨウ素化試薬
6.5 高原子価ハロゲン化合物
7 硫黄試薬を扱う際の事故
7.1 無機硫黄試薬
7.2 有機硫黄試薬
8 リン試薬を扱う際の事故
8.1 無機リン試薬
8.2 有機リン試薬
9 その他のヘテロ元素試薬を扱う際の事故
9.1 ホウ素系試薬
9.2 セレン試薬
9.3 ケイ素試薬
10 ヘテロ環化合物や高ひずみ化合物を扱う際の事故
10.1 3員環および4員環化合物
10.2 5員環および6員環化合物
10.3 高ひずみ化合物
11 物理化学的手法の利用と事故
11.1 光化学反応
11.2 相間移動反応
11.3 マイクロ波の利用に置ける危険
出版社からのメッセージ
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