材料強度学

材料強度学

著者名 田中 啓介
発行元 丸善出版
発行年月日 2008年10月
判型 B5 257×182
ページ数 264ページ
ISBN 978-4-621-08017-7
Cコード 3353
NDCコード 531
ジャンル 機械・金属・材料

内容紹介

機械構造物やそれを構成する材料が、いつ破壊するかということに答える学問「材料強度学」の教科書。微視的構造が変形に及ぼす影響を扱う結晶転位論、き裂や欠陥が破壊に及ぼす影響を扱う破壊力学を基礎に、機械構造物の強度設計を行うことを主眼とした材料強度学のエッセンスが凝縮されている。 豊富な図やコラムと、理解を助長する丁寧に解説なされ、これから本分野を学ぼうとする学生もしくは技術者の入門書。

目次

1 構造物の破損と破壊
 1.1 機械構造物の破損
 1.2 弾性破損の法則
 1.3 材料の破壊形態
 1.4 フラクトグフラフィ
 1.5 破壊事故
 1.6 機械構造物の設計
 演習問題1
  Column1.1 弾性破損の法則
  Column1.2 引張り試験
  Column1.3 橋梁の破壊事故
  Column1.4 船舶のぜい性破壊事故
  Column1.5 航空機の疲労破壊事故
  Column1.6 原子力プラントの破損事故
  Column1.7 鉄道の脱線事故
  Column1.8 応力集中と破損事故
2 材料の強度
 2.1 理論へき開強度
 2.2 理論せん断強度
 2.3 へき開面とすべり面
 2.4 材料の延性とぜい性
 2.5 材料の強度支配因子
 演習問題2
  Column2.1 結晶の格子定数とミラー指数
  Column2.2 固体の理論的へき開強度
  Column2.3 へき開面
  Column2.4 理論せん断強度
  Column2.5 金箔
  Column2.6 すべり面とすべり方向
  Column2.7 残留応力による材料の強化
3  結晶固体の塑性変形 
 3.1 結晶中の欠陥
 3.2 転位とすべり変形
 3.3 転位の力学
 3.4 転位に働く力
 3.5 転位の増殖
 3.6 交差すべりと上昇運動
 3.7 転位と点欠陥の相互作用
 演習問題3
  Column3.1 転位に似た欠陥の移動による前進運動
  Column3.2 転位の直接観察I
  Column3.3 転位の直接観察II
  Column3.4 転位の直接観察III
  Column3.5 結晶成長で観察されるらせん転位に起因する成長らせん
  Column3.6 転位のバーガースベクトルの符号
  Column3.7 転位の移動
  Column3.8 転位同士の相互作用
  Column3.9 転位の結晶学
  Column3.10 転位の交差すべりと上昇運動
  Column3.11 すべり以外の変形機構
4  材料の強化機構
 4.1 単結晶の塑性変形
 4.2 多結晶の塑性変形
 4.3 材料の強化機構
 4.4 ひずみ硬化と回復
 演習問題4
  Column4.1 降伏現象
  Column4.2 炭素鋼の降伏現象
  Column4.3 多結晶の塑性変形におけるテイラー因子
  Column4.4 転位の堆積による応力集中
  Column4.5 ナノ結晶はホールペッチ関係に従うか
5 き裂進展におけるエネルギ平衡
 5.1 グリフィスの理論
 5.2 オロワンとアーウインによる展開
 5.3 エネルギ解放率のコンプライアンス法による導出
演習問題5
  Column5.1 グリフィスのガラスの破壊に関する実験
  Column5.2 グリフィスき裂
  Column5.3 エネルギ条件はき裂進展に対して十分条件であるか?
  Column5.4 オロワンのX線による破面観察
  Column5.5 オロワンとアーウインの考え方の違い
  Column5.6 双片持ちはりのエネルギ解放率をはりの曲げ公式を用いて求める
6 き裂の弾性応力場と応力拡大係数
 6.1 き裂の変形の三つの基本モード
 6.2 き裂近傍の弾性応力場
 6.3 応力拡大係数
 6.4 応力拡大係数とエネルギ解放率の関係
 演習問題6
  Column6.1 無限版中の孤立き裂の応力分布
  Column6.2 円柱座標でのき裂先端の応力分布
  Column6.3 応力拡大係数の例
  Column6.4 重ね合わせによる応力拡大係数の算出
  Column6.5 集中力を受けるき裂平板の応力拡大係数
  Column6.6 モードII及びモードIIIの応力拡大係数
  Column6.7 き裂の応力場と堆積転位の応力場の相似性
7 き裂先端近傍の塑性変形
 7.1 塑性域のひろがりの評価
 7.2 ダッグデールモデル
 7.3 塑性域の形状
 7.4 平面応力と平面ひずみ
 演習問題7
  Column7.1 き裂先端塑性域での塑性拘束係数
  Column7.2 モードIき裂近傍の塑性域のひろがり
  Column7.3 モードIIき裂近傍の塑性域のひろがり
  Column7.4 モードIIIき裂近傍の塑性域のひろがり
8 破壊じん性
 8.1 破壊力学における相似則
 8.2 平面ひずみ破壊じん性試験
 8.3 き裂進展のエネルギ基準とき裂進展抵抗曲線
 8.4 セラミックスの破壊じん性
 8.5 長繊維強化プラスチックス複合材料の破壊じん性
演習問題8
  Column8.1 破壊じん性の標準試験法
  Column8.2 破壊力学設計例
  Column8.3 最終破壊のき裂長さを求める
  Column8.4 双片持ちはりにおけるき裂の安定性
  Column8.5 セラミックスの破壊じん性
  Column8.6 セラミックスの保証試験
  Column8.7 セラミックスの片側予き裂試験片による破壊じん性試験法
  Column8.8 長繊維強化プラスチックス積層板の積層と弾性特性
  Column8.9 異方性材料の線形破壊力学
  Column8.10 衝撃後の圧縮
  Column8.11 複合材料のモードII破壊じん性
9 ぜい性破壊と延性破壊
 9.1 延性―ぜい性遷移
 9.2 へき開破壊過程
 9.3 延性破壊過程
 9.4 破壊じん性
 演習問題9
  Column9.1 シャルピー衝撃試験結果
  Column9.2 構造用炭素鋼のシャルピー衝撃試験結果
  Column9.3 コットレルモデルによるへき開き裂の発生
  Column9.4 ストローモデルによるへき開き裂の発生と進展
  Column9.5 ディンプルの形状と応力条件
10 疲労強度
 10.1 S-N曲線
 10.2 金属疲労の微視的過程
 10.3 疲労強度に及ぼす諸因子の影響
 10.4 低サイクル疲労と熱疲労
 10.5 疲労き裂進展と応力拡大係数の関係
 10.6 疲労寿命評価
演習問題 10
  Column10.1 繰返し荷重と疲労
  Column10.2 金属疲労でのすべり発生,き裂発生および破断
  Column10.3 固執すべり帯の微視的様相
  Column10.4 疲労破面の様相
  Column10.5 ストライエーション形成機構
  Column10.6 プラスチックス,セラミックスなどの疲労の微視機構
  Column10.7 疲労強度に及ぼす結晶粒径の影響
  Column10.8 材料中のミクロ欠陥が疲労強度に及ぼす影響
  Column10.9 疲労強度に対する影響因子
  Column10.10 パリスの疲労き裂伝ぱに対する最初の論論文
  Column10.11 下限界応力拡大係数に及ぼす応力比の影響
  Column10.12 疲労き裂の開閉口
  Column10.13 疲労設計のプロセス
11 環境強度
 11.1 応力腐食割れ
 11.2 SCC寿命とSCCき裂進展速度
 11.3 動的変動応力の効果と腐食疲労
演習問題11
  Column11.1 応力腐食割れにおける材料と環境の組合わせ
  Column11.2 応力腐食割れのフラクトグラフィ
  Column11.3 応力腐食割れにおけるき裂進展寿命
  Column11.4 応力腐食割れの防止
12 高温強度
 12.1 クリープ変形
 12.2 クリープ破壊強度
 12.3 クリープ破壊の機構
 12.4 変動荷重下でのクリープおよび疲労との相互作用
演習問題 12
  Column12.1 応力リラクゼーション
  Column12.2 ラルソン・ミラーパラメータ
  Column12.3 変形機構線図と破壊機構線図
  Column12.4 熱疲労
13 破壊制御設計
 13.1 破壊に対する設計のフィロソフィ
 13.2 最終破壊に対する設計
 13.3 フェイルセイフ設計
 13.4 欠陥の非破壊検査
演習問題 13
  Column13.1 航空機の設計コンセプトの変遷
  Column13.2 航空機設計コンセプト展開の契機となった事故例
  Column13.3 破壊事故の調査
  Column13.4 定期検査期間の設定
  Column13.5 LBB設計
  Column13.6 インテリジェント材料構造設計
14 非線形破壊力学
 14.1 J積分
 14.2 J積分の決定法
 14.3 非線形破壊力学パラメータによる破壊じん性の評価
 14.4 非線形破壊力学パラメータの疲労き裂伝ぱへの適用
 14.5 非線形破壊力学パラメータのクリープでき裂伝ぱへの適用
  Column14.1 降伏規模と非線形破壊力学
  Column14.2 非線形破壊力学パラメータとしてのき裂先端開口変位
  Column14.3 ゴム材料の引裂きエネルギ
  Column14.4 多数試験片を用いたJ積分の評価
  Column14.5 参照応力法によるJ積分の簡単評価
  Column14.6 疲労き裂進展速度の及ぼす大規模降伏の影響
  Column14.7 修正J積分の特性
  Column14.8 2パラメータ法による破壊評価線図

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定価:4,400円
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