内容紹介
公共建築は税金により建設運用されているが、市民の知らない所で建設が決められ、工事が始まり、完成してから利用するというケースが少なくない。しかし、市民には、地域の公共建築建設について、どのようなものがどこに必要か、またどのような利用形態が望ましいか、どのようなデザインが地域にふさわしいかを考える権利と責任がある。本書は、公共建築のデザインへの市民参加は、まちづくりの一歩であるという視点から、市民参加の公共建築をどのように進めるかについてまとめたものであり、関係者の意見をまとめるワークショップの方法、建設後の市民による運営方法や、具体的なデザイン・事例などを数多く紹介。
目次
1章 公共施設とまちづくり
1-1 はじめに
1-2 「参加の施設づくり」の系譜
1-3 参加の意義
1-4 公共建築の設計参加から運営参加へ、そしてまちづくりの参加へ
1-5 市民参加の留意点
2章 公共施設のデザインとワークショップ
2-1 ワークショップの広がりと背景
2-2 まちづくりワークショップの楽しさ
2-3 三愛ホームのまちづくりワークショップ
2-4 まちづくりワークショップによるデザインの意味
3章 地域でともに生きる―心の通うまちづくりを目指して
3-1 センターに明るい歌声が響いた
3-2 コミュニティセンターの建設を求めて
3-3 温かい介護を求めて
3-4 基本設計の変更の経過
3-5 まちづくりが始まった
3-6 介護保険が始まって
3-7 新たなまちづくりに向けて
4章 公共ホールの計画における市民参加
4-1 公共ホールと公共圏
4-2 近代芸術と文芸性公共性
4-3 変わりつつある芸術と社会の関係
4-4 市民が劇場をつくるとはどういうことか
4-5 公設民営型パブリックシアター:富良野演劇工場+ふらの演劇工房
4-6 民設民営によるパブリックシアターの始動:コンカリーニョ
4-7 行政主導型の市民参加プロジェクト:可児市文化創造センター
4-8 参加型計画の課題
5章 公共施設づくりのための行政と制度
5-1 参加を阻む行政の壁
5-2 参加へのプロセスデザイン
5-3 参加のための基盤をつくる
5-4 参加の風土づくり
5-5 参加型公共施設づくりの原則
5-6 世田谷区の取り組み
6章 参加型公共施設の現状と課題
6-1 はじめに
6-2 参加型公共建築の建設動向
6-3 参加の手法と段階
6-4 参加型公共建築の用途ごとの傾向
6-5 参加型公共建築の現状と課題
7章 公共建築を設計する建築家
7-1 山本理顕氏インタビュー
7-2 佐藤総合計画インタビュー