照射材料科学の基礎

照射材料科学の基礎

―金属および合金の照射効果
原書名 Fundamentals of Radiation Materials Science: Metals and Alloys Second Edition
著者名 Gary S. Was
松井 秀樹
東北大学原子炉廃止措置基盤研究センター 出版協力
JOINLU International Inc. 出版協力
発行元 丸善出版
発行年月日 2022年12月
判型 B5 257×182
ページ数 546ページ
ISBN 978-4-621-30784-7
Cコード 3050
NDCコード 501
ジャンル 物理学 >  物性物理 >  材料科学
機械・金属・材料 >  材料工学
機械・金属・材料 >  金属

内容紹介

原子力発電所の安全を確実なものとするために、また、役目を終えた原子炉の廃炉を確実に進めるためには、照射材料科学の理解とそれに基づく工学的知識が必要不可欠である。

本書は、金属・合金材料の照射効果について、基礎から最新知見までを網羅した専門的教科書である。第1部では照射損傷過程に焦点を当て、衝撃粒子により生じる損傷と、生じる欠陥等を予測するための知見を提供する。第2部では照射の物理的効果を扱い、照射誘起偏析や、欠陥集合体の核形成と成長、照射下での相安定性などを取り上げる。照射損傷の機械的・環境的影響について扱った第3部では、照射下での硬化や変形、亀裂核形成などを述べる。照射、腐食、応力の組み合わせにより生じる影響も検討する。

各章には、照射効果の例や図解を多数掲載。また、章末の問題に取り組むことで、その章の主な概念への理解を深めることができる。

照射材料科学にかかわる研究者・技術者、必携の一冊。

目次

第1部 照射損傷過程

第1章 照射損傷イベント
1.1 中性子-核相互作用
1.2 イオンと原子の相互作用
1.3 エネルギー損失

第2章 原子の弾き出し
2.1 弾き出しの初等理論
2.2 K-P弾き出しモデルの修正
2.3 弾き出し断面積
2.4 弾き出し速度
2.5 特性変化と照射量の相関
2.6 荷電粒子照射による弾き出し

第3章 損傷カスケード
3.1 弾き出し平均自由行程
3.2 一次反跳スペクトル
3.3 カスケード損傷エネルギーとカスケード体積
3.4 照射損傷のコンピュータシミュレーション
3.5 カスケード発達の段階
3.6 カスケード内での欠陥の挙動

第4章 点欠陥形成と拡散
4.1 照射誘起欠陥の性質
4.2 点欠陥形成の熱力学
4.3 点欠陥の拡散
4.4 相関拡散
4.5 多元系における拡散
4.6 高速拡散経路に沿う拡散

第5章 照射促進拡散と欠陥反応速度論
5.1 点欠陥バランス方程式
5.2 照射促進拡散
5.3 欠陥反応
5.4 反応速度律速過程
5.5 拡散律速反応
5.6 混合律速
5.7 欠陥-粒界反応
5.8 整合析出物と溶質原子
5.9 点欠陥の回復

第2部 照射損傷の物理的効果

第6章 照射誘起偏析
6.1 高濃度2元系合金における照射誘起偏析
6.2 3元系合金におけるRIS
6.3 RISに及ぼす局所的組成変化の影響
6.4 RISに及ぼす溶質の効果
6.5 オーステナイト合金におけるRISの例
6.6 フェライト系合金のRIS
6.7 RISに及ぼす粒界構造の効果

第7章 転位微細組織
7.1 転位線
7.2 積層欠陥ループと積層欠陥四面体
7.3 欠陥クラスター
7.4 拡張欠陥
7.5 有効欠陥生成
7.6 転位ループの核生成と成長
7.7 転位ループ成長
7.8 回 復
7.9 格子間原子型ループ微細組織の発達

第8章 照射誘起ボイドと気泡
8.1 ボイド核生成
8.2 ボイド成長における欠陥シンクの取り扱い
8.3 ボイド成長
8.4 気 泡

第9章 照射下相安定性
9.1 照射誘起偏析と照射誘起析出
9.2 反跳溶解
9.3 照射誘起不規則化
9.4 非整合析出物の核生成
9.5 整合析出物の核生成
9.6 照射誘起析出の例
9.7 準安定相
9.8 アモルファス化
9.9 原子炉炉心構成要素合金中の相安定性

第10章 イオン照射に独特な効果
10.1 イオン照射技術
10.2 組成変化
10.3 イオン注入のその他の効果
10.4 高線量ガス注入:ブリスタリングと表層剥離
10.5 固相および不活性ガス気泡格子
10.6 電子励起による弾き出し
10.7 イオンビームアシスト成膜(IBAD)

第11章 イオンによる中性子照射効果の模擬
11.1 中性子照射の代替としてイオン照射を用いることの動機
11.2 照射損傷のイオン照射に関係した側面の概観
11.3 RISの粒子タイプに対する依存性
11.4 種々の照射粒子タイプの利点と欠点
11.5 粒子照射における照射パラメータ
11.6 陽子照射による中性子照射損傷の模擬
11.7 中性子照射損傷の自己イオン照射による模擬

第3部 照射損傷の機械的および環境的効果

第12章 照射硬化と変形
12.1 弾性および塑性変形
12.2 照射硬化
12.3 照射金属の変形

第13章 照射クリープと成長
13.1 熱クリープ
13.2 照射クリープ
13.3 ジルコニウム合金の照射成長とクリープ

第14章 破壊と脆化
14.1 破壊のタイプ
14.2 金属の凝集強度
14.3 破壊力学
14.4 破壊力学試験
14.5 弾塑性破壊力学
14.6 脆性破壊
14.7 フェライト鋼の照射誘起脆化
14.8 低温から中間温度におけるオーステナイト合金の破壊と疲労
14.9 高温脆性

第15章 腐食と応力腐食割れの基礎
15.1 腐食の形態
15.2 腐食の熱力学
15.3 腐食の速度論
15.4 分 極
15.5 不働態
15.6 すき間腐食
15.7 応力腐食割れ(SCC)

第16章 腐食と環境支援割れに及ぼす照射の効果
16.1 水化学に及ぼす照射の効果
16.2 酸化に及ぼす照射の効果
16.3 応力腐食割れに及ぼす照射の効果
16.4 IASCCの機構

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