内容紹介
仕事と遊び、仕事と家事、仕事とボランティア、仕事と労働、働かないことと働けないこと、職業の倫理性、会社の不正行為、社員の内部告発など、身近な具体例を盛り込みながら、「職業倫理」をじっくりと議論する。
目次
第1章 仕事と遊び/余暇
仕事と遊び/遊びとは何か/自由な行為としての遊び/遊びの堕落/定義不可能なものとしての遊び/仕事と余暇/仕事的な時間間隔/働くことの意味
第2章 仕事と家事
家父長制と家事/家事労働に賃金を/日本のフェミニズム/家事から家事労働へ/家事は〈労働〉か
第3章 仕事とボランティア
ボランティアと労働/有償ボランティア/わたしと他者/自分を差し出すこと/ボランティアと有償サービス/相互扶助としての有償ボランティア
第4章 「勤勉」という理想——勤勉は死語になったか
二宮金次郎と勤勉の理想/勤勉思想の源泉/バブルと勤勉/資本主義の精神/伝統主義的な生活態度/恩恵による選びの教説/天職
第5章 理想的な労働——労働主義と社会
疎外された労働/承認と労働/自分の代理不可能性/貨幣と媒介形式/生産的る道とサービス労働
第6章 ものを作る人と労働する動物——仕事と労働
労働/生産的労働と非生産的労働/仕事/転倒する世界観/世界の自然化
第7章 すり切れるわたしたち——消費という新しいモラル
大量消費社会とサービスの消費/記号と差異の交換システム/労働としての消費/近代啓蒙と消費社会/普遍的均質国家
第8章 <労働>からの撤退——働かないこと/働けないこと
労働主義の彼岸/労働の選択/時間の開放/エコロジー的合理性/労働概念の転換点/労働の解放というユートピア/社会的きずな/〈政治的きずな〉の復権
第9章 職業の倫理性——売春する自由
売春と社会/〈ドグマ〉と選択の自由/道徳の理由/自由のアポリア/〈価値自由〉な言説
第10章 仕事の条件——誰のために不正を行うのか
雪崩/薬害エイズ事件/三菱自動車工業欠陥・リコール隠し事件/雪印食品食肉偽装事件/信頼の条件
第11章 社会/組織/個人——内部告発は反倫理的行為か
内部告発の倫理性/忠誠心/守秘義務/誰を裏切るのか/道徳的な咎め/道徳的感情の葛藤/内部告発の条件
第12章 職業の倫理学
何のために働くのか/労働社会と倫理/仕事だから/どれだけ消費するか/いい加減の倫理学