数理物理学の方法 上

数理物理学の方法 上

原書名 Methoden der mathematischen Physik
著者名 藤田 宏
高見 頴郎
石村 直之
発行元 丸善出版
発行年月日 2013年01月
判型 A5 210×148
ページ数 324ページ
ISBN 978-4-621-06525-9
Cコード 3041
NDCコード 421
ジャンル 数学・統計学 >  解析学
数学・統計学 >  応用数学 >  物理数学
数学・統計学 >  シリーズ数学・統計学 >  数学クラシックス

内容紹介

クーラントとヒルベルトによる著作。本巻は数理解析、応用数学、物理学の専門家を育成する際に重要で互いにつながりをもつテーマへの導入である。解析的な立場で線形代数にはじまり、無限次元の関数空間およびそこで働く作用素への一般化がごく自然に行なわれ、特殊関数を含む直交関数系の議論が展開される。同様な見方によって、フレドホルムの理論や、変分法の基礎事実が述べられる。連続体の力学系の振動に関する章も設けられ、それは常微分方程式と偏微分方程式の固有関数の理論の行き届いた考察でもある。 刊行以来70 年たってもなお、上記のテーマへの卓越した入門書として役立つ。読者は、テーマの核心をなす理念に向かってソフトに、スピーディに導かれ、技巧的な詳細にわずらわされずに、これらの理論の応用を学ぶことができる。記述の仕方は「定義ー定理ー証明」のスタイルとは対極にあり、式と式の間には多くの語りが加えられている。

目次

第1章 線形変換と2次形式の代数
 1.1 線形方程式系と線形変換
  1.1.1 ベクトル
  1.1.2 ベクトルの直交系,完全性
  1.1.3 線形変換,行列
  1.1.4 双線形形式,2次形式およびエルミート形式
  1.1.5 直交変換およびユニタリ変換
 1.2 線形パラメータを含む線形変換
 1.3 2次形式およびエルミート形式の主軸変換
  1.3.1 最大値原理に基づく主軸変換
  1.3.2 特性値と固有値
  1.3.3 エルミート形式への一般化
  1.3.4 2次形式の慣性則
  1.3.5 2次形式の解形式を表わす式
  1.3.6 2次形式に伴なう連立1次方程式の解
 1.4 固有値のミニ・マックス性
  1.4.1 ミニ・マックス問題による固有値の特徴づけ
  1.4.2 応用
 1.5 第1章への補足と問題
  1.5.1 線形独立性とグラムの行列式
  1.5.2 行列式に対するアダマールの不等式
  1.5.3 2つの2次形式の標準形への同時変換
  1.5.4 無限多変数の双線形形式と2次形式
  1.5.5 無限小線形変換
  1.5.6 摂動系
  1.5.7 拘束条件
  1.5.8 行列または双線形形式の単因子
  1.5.9 ユニタリ行列のスペクトル
第2章 任意関数の級数展開問題
 2.1 直交関数系
  2.1.1 定義
  2.1.2 関数の直交化
  2.1.3 ベッセルの不等式・関数系の完全性・平均近似
  2.1.4 無限多変数(無限成分)の直交変換およびユニタリ変換
  2.1.5 多変数の場合での結果の成立・仮定の拡張
  2.1.6 多変数関数の完全系の構成
 2.2 関数の集積原理
  2.2.1 関数空間における収束
 2.3 独立尺度と次元数
  2.3.1 独立尺度
  2.3.2 関数列の漸近次元
 2.4 ワイエルシュトラスの近似定理・ベキ関数および三角関数の完全性
  2.4.1 ワイエルシュトラスの近似定理
  2.4.2 多変数の関数への結果の拡張
  2.4.3 導関数を含めての近似
  2.4.4 三角関数の完全性
 2.5 フーリエ級数
  2.5.1 主定理の証明
  2.5.2 多重フーリエ級数
  2.5.3 フーリエ展開係数の大きさのオーダー
  2.5.4 基本領域の伸縮
  2.5.5 いくつかの例
 2.6 フーリエ積分
  2.6.1 主定理とその証明
  2.6.2 多変数への結果の拡張
  2.6.3 反転公式
 2.7 フーリエ積分の例
  2.7.1 偶関数・奇関数の場合のフーリエの積分公式
  2.7.2 ディリクレの不連続因子
  2.7.3 指数因数の例
  2.7.4 変換で不変な関数
 2.8 ルジャンドルの多項式
  2.8.1 ベキ関数1, x, x2, . . . の直交化によるルジャンドルの多項式の生成
  2.8.2 母関数
  2.8.3 その他の性質
 2.9 その他の直交系
  2.9.1 ルジャンドルの多項式を導いた問題設定の一般化
  2.9.2 チェビシェフの多項式
  2.9.3 ヤコビの多項式
  2.9.4 エルミートの多項式.
  2.9.5 ラゲールの多項式
  2.9.6 ラゲールの多項式およびエルミートの多項式の完全性
 2.10 第2章への補足と問題
  2.10.1 等周問題のフルヴィッツの解
  2.10.2 反転公式
  2.10.3 フーリエ積分と平均収束
  2.10.4 フーリエ級数およびフーリエ積分によるスペクトル分解
  2.10.5 密な関数系
  2.10.6 ベキ関数の完全性に関するミュンツの定理
  2.10.7 フェイェールの和定理
  2.10.8 メリンの反転公式
  2.10.9 ギブスの現象
  2.10.10 グラムの行列式に関する一定理
  2.10.11 ルベーグの積分概念の応用
第3章 線形積分方程式の理論
 3.1 予備的考察
  3.1.1 記号と基礎概念
  3.1.2 関数の積分変換
  3.1.3 退化核
 3.2 退化核に対するフレドホルムの定理
 3.3 任意の核に対するフレドホルムの定理 
 3.4 対称核とその固有値
  3.4.1 対称核の固有値の存在
  3.4.2 固有関数と固有値の全体
  3.4.3 固有値の最大‐最小性
 3.5 展開定理とその応用
  3.5.1 展開定理 
  3.5.2 非同次線形積分方程式の解法
  3.5.3 反復核に対する双線形形式
  3.5.4 マーサーの定理
 3.6 ノイマン級数と解核
 3.7 フレドホルムの公式
 3.8 理論の新しい基礎づけ
  3.8.1 補助定理
  3.8.2 対称核の固有関数
  3.8.3 非対称核
  3.8.4 固有値と固有関数が核に連続的に依存すること
 3.9 理論の成立限界の拡張
 3.10 第3章への補足と問題
  3.10.1 例
  3.10.2 特異積分方程式
  3.10.3 フレドホルムの定理を導くシュミットの方法
  3.10.4 対称積分方程式を解くエンスコグの方法
  3.10.5 固有関数を定めるケロッグの方法
  3.10.6 核の記号的関数とその固有値
  3.10.7 固有関数をもたない非対称核の例
  3.10.8 ヴォルテラの積分方程式
  3.10.9 アーベルの積分方程式
  3.10.10 非対称核に属する随伴直交系
  3.10.11 第1種の積分方程式
  3.10.12 無限多変数の方法
  3.10.13 固有関数の最小性 
  3.10.14 極積分方程式
  3.10.15 対称化できる核
  3.10.16 関数方程式による解核の決定
  3.10.17 定値核の連続性
  3.10.18 ハンメルシュタインの定理
第4章 変分法の基本
 4.1 変分法の問題の立て方
  4.1.1 関数の最大・最小
  4.1.2 汎関数
  4.1.3 典型的な変分法の問題
  4.1.4 変分法に特有な困難
 4.2 直接解法への初歩
  4.2.1 等周問題
  4.2.2 リッツの方法・極小列
  4.2.3 直接解法――差分法――無限個の変数
  4.2.4 変分法の直接解法についての原理
 4.3 変分法におけるオイラーの方程式
  4.3.1 変分法の最も簡単な問題
  4.3.2 未知関数が複数の問題
  4.3.3 高次導関数を含む問題
  4.3.4 多変数の問題
  4.3.5 恒等的に0となるオイラーの微分式――発散形式
  4.3.6 オイラーの微分方程式の同次形
  4.3.7 許容条件を緩くした変分問題――デュ・ボア-レイモンとハールの定理
  4.3.8 他種類の変分問題とその関数方程式
 4.4 オイラーの微分方程式の積分:注意と例
 4.5 境界条件
  4.5.1 自由境界における自然境界条件
  4.5.2 幾何学的問題・横断性
 4.6 第2変分とルジャンドル条件
 4.7 付帯条件のついた変分問題
  4.7.1 等周問題
  4.7.2 有限な付帯条件
  4.7.3 付帯条件としての微分方程式
 4.8 オイラーの微分方程式の不変性
  4.8.1 関数空間における勾配としてのオイラーの式――オイラーの式の不変性
  4.8.2 Δuの変換・極座標での表示
  4.8.3 楕円座標
 4.9 変分問題の標準形および包合形への変換
  4.9.1 付帯条件付きの通常の極小問題の変換
  4.9.2 最も簡単な変分問題の包合的変換
  4.9.3 変分問題の標準形への変換
  4.9.4 一般化
 4.10 変分法と数理物理学の微分方程式
  4.10.1 一般的な注意
  4.10.2 振動する弦(綱)および振動する棒
  4.10.3 膜および板
 4.11 第4章への補足と問題
  4.11.1 与えられた微分方程式を停留条件にもつ変分問題
  4.11.2 等周問題における相反性
  4.11.3 円形の光線
  4.11.4 ディドの問題
  4.11.5 空間での問題の例
  4.11.6 曲面上の等周問題
  4.11.7 インディカトリクスとその応用
  4.11.8 変化する領域に対する変分
  4.11.9 不変な変分問題についてのネーターの定理・質点力学の積分
  4.11.10 多重積分での横断性
  4.11.11 曲面におけるオイラーの微分式
  4.11.12 静電気学におけるトムソンの原理
  4.11.13 弾性体における平衡問題――カスティリャノの原理
  4.11.14 梁の理論におけるカスティリャノの原理
  4.11.15 座屈の変分問題

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