内容紹介
1924年に出版されて以来,物理数学を学ぶための代表的テキストとして読み継がれてきた歴史的名著の日本語訳.
数学の世界的中心地として名を馳せていたゲッチンゲン大学で当時教授を務めていた数学者ヒルベルトとその弟子クーラントが著した本書の下巻は,固有値問題や境界値問題と変分法を中心に解説し,読者をスピーディに問題の本質へと導くその鮮やかな語り口によっていまも古典の輝きを燦然と放っている.
当時,数学が物理学やその他の学問から乖離し,抽象化・緻密化の度合いを強める傾向への憂慮をこめて書かれた本書は,ちょうど時代を同じくして生まれた量子力学の発展にまさに必要な数学的方法を物理学者に提供し,数学と自然科学との間に豊かな交流が実現し得ることを証明する結果となった.
今日,工学,情報学そして生物学などとも広く結び付いている豊かな現代数理科学の発展の礎を築いた一冊として,多様な読者に勧められる.
目次
第5章 数理物理学における振動および固有値問題
5.1 線形微分方程式についての予備的な注意
5.2 有限自由度の系
5.3 弦の振動
5.4 棒の振動
5.5 膜の振動
5.6 板の振動
5.7 固有関数の方法に関する一般的な事項
5.8 3次元の連続体の振動
5.9 ポテンシャル論の境界値問題と固有関数
5.10 スチュルム--リウヴィル型の問題――特異な境界点
5.11 スチュルム--リウヴィル型微分方程式の解の漸近挙動
5.12 連続スペクトルをもつ固有値問題
5.13 摂動法
5.14 グリーン関数(影響関数)および微分方程式の積分方程式への帰着
5.15 グリーン関数の例
5.16 第5章への補足
第6章 変分法の固有値問題への応用
6.1 固有値の極値性
6.2 固有値の極値性の性質による一般的な結論
6.3 完全性定理と展開定理
6.4 固有値の漸近分布
6.5 シュレーディンガー型固有値問題
6.6 固有関数の節
6.7 第6章への補足と問題
第7章 固有値問題によって定義される特殊関数
7.1 2階線形微分方程式についての前置き
7.2 ベッセル関数
7.3 ルジャンドルの球関数
7.4 ルジャンドル,チェビシェフ,エルミート,ラゲールの微分方程式への積分変換法の応用
7.5 ラプラスの球面(調和)関数
7.6 漸近展開
第8章 変分法による境界値問題と固有値問題の解法
8.1 予備
8.2 第1種境界値問題
8.3 0-境界値のもとでの固有値問題
8.4 境界値への到達(2変数の場合)
8.5 極限関数の構成と積分形式E, D, H の収束性
8.6 第2種と第3種の境界条件.その境界値問題
8.7 第2種・第3種の境界条件のもとでの固有値問題
8.8 第2種・第3種の境界条件に関わる基礎領域の吟味
8.9 第8章への補足と問題
8.10 プラトー問題
下巻の索引
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