内容紹介
本巻は、本MOTシリーズの導入部分を解説した巻という意味で、全体像を見渡す役割を担っている。わが国独自のMOTを創り上げるために必要な「基本的」部分にスポットをあて、各分野での活躍されている超一流の研究者が、成功の秘訣を解説。
目次
第1章 技術経営の本質
1 技術経営の本質は「イノベーション」
2 真の技術経営とは何か
3 アントレプレナーシップの本質
4 イノベーションを創出する環境
5 シナジーと現場――ケンブリッジ大学理論物理・応用数学部(DAMTP)からのレッスン
6 イノベーションプロセスの新しい枠組み
7 弁証法的な議論の深化・高まりによるイノベーション創出
8 インターネットのインパクトとイノベーション
9 グローバル化とイノベーション
10 「人物」の育成
第2章 何故今技術経営なのか〜その戦略目標と実践方策〜
1 技術経営(MOT)の意味
2 技術経営MTの定義と発展経緯
3 欧米のMOT教育機関・大学
4 MOTとMBAの相違点と将来方向
5 日本の産業競争力強化の課題と方策
6 技術経営(MOT)プロフェッショナルの創出
7 科学技術マネジメントへの新たな挑戦
8 サービス・サイエンスの新展開
9 統合戦略ロードマップイングへの統合
10 技術経営(MOT)の戦略目標:ジャストインタイム・イノベーションへの挑戦
11 「国際産学連携によるMOT研究教育」の組織的な推進
12 次世代MOTの構築とテクノプロデューサーの育成
第3章 企業が目指す技術経営
1 企業における技術経営の変遷
2 既存企業におけるイノベーションと技術経営
3 ストック型技術経営と産官学連携
4 ベンチャー企業と既存企業の関係
5 連結経営における技術経営
6 企業における知財と技術経営
7 21世紀の技術経営
第4章 技術革新の実行〜化学企業の経験から〜
1 研究開発と企業の成長
2 グローバリゼーション
3 世界企業の技術開発戦略
4 本当のものづくりへの回帰
5 事業部研究(DR)とコーポレート研究(CR)
6 研究開発組織
7 研究開発テーマの評価・管理
8 研究者の評価と動機付け
9 研究開発テーマの創出
10 リスクと創造性
第5章 技術革新の実行〜NTTにおけるマルチメディアサービスの開発〜
1 NTTにおけるマルチメディアサービスの歴史と国際標準規格
2 マルチメディアサービスの開発
第6章 生産の勝利の方程式
1 製造経営のバイブルとしての「生産の勝利の方程式」
2 素人集団を即戦力化する方法
第7章 理化学研究所〜大学発ベンチャーの源流〜
1 理研と産学連携
2 大学発ベンチャーの源流としての理研
3 現在の理研ベンチャー制度
第8章 国家と技術経営〜政策の本質〜
1 MOTにおける政策の役割
2 政策のプロとその重要性
3 米国との比較
4 日本における政策プロの歴史
5 日本における国家プロジェクトの役割
6 産官の連携
7 技術テクノクラート
8 アメリカの多元性と日本
9 歴史の検証を書物に残す
第9章 公的資金活用した研究・技術開発におけるコーディネータの役割
1 ナショナルプロジェクトにおけるコーディネータの役割
2 ナショナルプロジェクトとは
3 公募から受託まで
4 応募者が考慮すべきこと
第10章 米国におけるイノベーション
1 米国におけるイノベーションの2つのアプローチ
2 Stage-GateTM System
3 オープンイノベーション
4 包括的観点
第11章 技術革新の担い手としての“人”および人を育てる経営
1 技術革新を生み出す要因と“人”―グローバルな産学連携での実経験から
2 アントレプレナーとアントレプレナーシップ
3 新規提案は最初却下される
4 「イノベーター」の育成
5 「人物」を育成する伯楽経営およびホロニック経営
第12章 人づくりの本質
1 何のための人づくりか
2 日立基礎研究所
3 基礎研究所における人づくり
第13章 私はこうして挑戦し続けた〜企業から〜
1 日立の電子顕微鏡研究グループに参加
2 好奇心から生まれた新しい研究
3 現磁力線を見る
4 量子力学を見る
5 IMVホログラフィー電子顕微鏡の開発
第14章 技術革新の担い手の経験
1 半導体先端デバイス開発における研究マネジメントの一例
2 分子線エピタキシー(MBE)技術と有機金属化学気相(MOCVD)技術
3 研究マネジメントの実例
4 その後の経過と現状
第15章 技術経営とコーポレート経営の統合
1 必要性を増す経営戦略と技術戦略の一体化
2 なぜ企業の研究開発が収益に結びつきにくいのか
3 なぜ経営、事業、技術戦略が一体化されにくいのか
4 技術経営で重要性を増すCTOの役割
第16章 技術経営の新しい潮流とTOMOT
1 技術経営の本質は「イノベーション」
2 経営と一体化しつつあるMOT
3 分散型イノベーションとIT技術
4 知識の分散と移転
5 暗黙知のスモールネットワーク
6 日本が強い“協創の場”と世界に発信する日本型MOT
7 TOMOTの考え=現代企業経営における最重要「技術経営の技術」
第17章 技術経営を超えて
1 企業現場での技術経営に関する議論の発端―筆者の実体験から
2 技術経営の進展
3 見え隠れする技術経営の限界
4 限界を超えて―超技術経営(UMOT)の提案
5 未来へのあくなき前進
6 ハイテクとハイタッチの調和
7 MOTを超えて