内容紹介
市場や競争相手など、企業を取り巻く環境は常に変化し続け、その中で存続しようとする企業は自らそれに合わせて変化し、また環境を自分の将来のビジョンに合わせて変えていかなくてはならない。こうした企業が自らと環境を変えていく活動を「知識創造」と呼ぶ。それは企業にとって最も重要な経営資源であり、企業の存在意義でもある。企業がどのように知識を継続的に創造し、その知識をもって経営をおこなっていくか、それが本巻のテーマ。ビジネス経営書分野で斬新な切り口で定評のある一橋大学教授・野中郁次郎責任編集による知識創発マネジメント経営論。トヨタなどいくつもの成功事例を挙げながら具体的に解説。
目次
第1章 知識経営の理論
1 知識社会と経営
2 知識創造モデル
3 知識創造動態モデルと促進要因(イネーブラー)
4 リーダーシップ
第2章 重層的「場」の形成と知識創造〜前川製作所〜
1 場と企業組織
2 マエカワの概要
3 組織の歴史
4 組織内部における場の創造―企業化計画
5 場によるテクノロジー開発
6 マエカワにおける「場」
第3章 クリエイティブ・ルーチン〜セブン―イレブン・ジャパン〜
1 セブン―イレブン・ジャパンの概要
2 経営哲学:変化への対応と基本の徹底
3 実践:現場での仮説・実施・検証サイクル
4 対話:各種システムによる知の還流
5 場:顧客との共創,関連業者との共創
6 機会損失最小化という行動基準
第4章 知識創発型マネジメント〜ホンダ
1 ホンダの独自戦略
2 研究開発体制
3 創造性マネジメントの基本
4 創造性マネジメントの実際
5 創造性の基盤
第5章 経営統合による知識創造〜JFEスチール〜
1 NKKと川崎製鉄の統合
2 鉄鋼業とM&A
3 経営統合と企業風土
4 統合の成功要因
5 知識の移転・融合の方法
6 人の異動と技術融合の関係
7 業績推移
8 知識融合と革新
第6章 知の持続的革新と組織〜ジャパンゴアテックス〜
1 ジャパンゴアテックスの概要
2 POGALの導入
3 使命感を基本とする組織
4 POGALの基本原理
5 知識創造を促進する「場型プロジェクト組織」
6 プロジェクトの編成と運営
7 部分最適化と全体最適化の仕組み
8 協働関係促進の合言葉―「共通認識基盤」
9 POGALの意思決定システム―「リーダーシップ・ネットワーク」
10 活動する生命体としての組織―自律型有機体組織
第7章 創造性と効率性のダイナミクス〜3M Company〜
1 3Mの概要
2 研究開発と事業展開
3 知識創発を促進する仕組み
4 事業創造の原則とコントロール体制
5 技術発展と製品開発事例―輝度上昇フィルム
6 3Mの知識創造マネジメント
第8章 「場」のマネジメントによるイノベーション〜トヨタ・プリウス開発〜
1 トヨタ自動車の知識創造
2 プリウスの開発と場
3 二代目プリウスと車種の拡大
4 重層的な場と「適材」の結合
5 プリウス・プロジェクトからの考察