宗教の倫理学
著者名 | 関根 清三 編著 菅野 覚明 著 柳橋 博之 著 |
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発行元 | 丸善出版 |
発行年月日 | 2003年12月 |
判型 | 四六 188×128 |
ページ数 | 190ページ |
ISBN | 978-4-621-07339-1 |
Cコード | 1312 |
NDCコード | 165 |
ジャンル | 人文科学 > 倫理学 人文科学 > シリーズ人文科学 > 現代社会の倫理を考える |
内容紹介
20世紀後半から今世紀にかけて、合理主義批判、近代批判への反省という動きに合わせて宗教が力をつけてきた一方で、カルト教団等による狂信的な事件・原理主義による破壊的なテロリズム〜戦争の連鎖といった宗教の反社会性も際だっている。いまや、宗教の対社会的な倫理のあり方について自覚的に問い直さなければならない時期が来ていると思われる。本書は「生活の領域ごとで起こっている倫理問題を現代の目で整理し、当面、有効な指針を明確にする」という当シリーズのコンセプトに鑑みて、現代の四つの倫理問題として「生と死」「性」「所有と貧困」「環境」を取り上げ、三つの世界宗教:キリスト教、イスラーム教、仏教のそれぞれが、これらの倫理問題をどのように考えているかを教典にまでさかのぼり、歴史を踏まえて議論。現代の「倫理問題」にどのような「有効な指針」を与え得るかを批判的に問い、何らかの展望を開くためのヒントを提示。
目次
第I部 生と死
第1章 キリスト教の生と死
「殺してはならない」の意味/「殺してはならない」の根拠/救済論的根拠付けの現代的射程/創造論的根拠付けの現代的射程/根拠を問う問い方/宗教の倫理の危うさ
第2章 イスラーム教の生と死
予定説:自殺と自爆テロ/来世と現世/殺人
第3章 仏教の生と死
現代社会の道徳状況と仏教/生死は仏家の調度/縁起の法/生きて在ることの意味
第II部 性
第4章 キリスト教と性
聖書における様々な性の形の評価/性の不浄と清浄/結婚/貞節と姦淫/一夫一婦制/家族/カトリシズム/プロテスタンティズム/まとめ/イエスににおける倫理と超倫理の緊張
第5章 イスラーム教と性
イスラーム法と国家制定法/婚姻と家族/宗教的義務としての婚姻/男女の性差
第6章 仏教と性
情愛に対する基本的立場/情愛の行方/結婚・性に関する在家の教え/個をとらえる視線
第III部 所有と貧困
第7章 キリスト教の所有と貧困
所有と貧困に対する聖書の評価/カトリシズム/プロテスタンティズム/展望/原理主義についての付言
第8章 イスラーム教の所有と貧困
公共福祉税と喜捨/イスラーム銀行/ワクフ
第9章 仏教の所有と貧困
無一物の理想/解脱と現実社会をつなぐもの/仏教の理想社会論
第IV部 環境
第10章 キリスト教と環境
環境破壊の元凶はキリスト教倫理か/「ドミニウム・テラエ(地の支配)」/人間保護としての環境保護を超えて/共生と共苦を通しての救済への待望/共生の理想と殺し合いの現実/道教やアメリカ・インディアンの部族宗教の場合/祭司資料の環境倫理再考/人間の根源的悪性を踏まえた環境倫理の形成へ
第11章 イスラーム教と環境
自然観/資源の保全/環境との関わり/動物保護/科学と信仰
第12章 仏教と環境
インドの自然と仏教/仏と自然の相同性/林間の思想