内容紹介
主人公ガロアは、革命に燃え20歳にして決闘で命を絶った天才数学者。その短くもドラマティックな生涯と輝かしい数学的業績は今も多くの数学ファンを魅了している。 2年前に出版された本書の第一部時代篇は、伝記的内容が主体であったが、この第二部数学篇は、文字通り数学的内容が主体である。とはいえ従来の数学書とは違い、美しいカラー写真も織り込みながら、数学史的背景もゆったりとした味わい深い筆致で解説。教養としての数学を求めている人すべての期待を裏切らない、珠玉の一冊。 彌永氏ならではのフランス語原論文の卓抜した訳出、一語一語が輝いているような美しい文章、そして94歳を超えて数学書を書き下ろす、凄まじいまでの知性の若々しさに感動できる。
目次
第1章 19 世紀以降の数学の発展から
ガロアの時代第一部の要約と第二部の目標
フーリエとヤコービ
熱伝導の理論,偏微分方程式
線形性
三角級数とフーリエ展開
フーリエの哲学と経歴
ヤコービの経歴
フォン・フンボルト兄弟
人間精神の名誉のために
[S] に対する注意
ベルリン大学の台頭
ディリクレ、クンマー、クロネッカー
3人の経歴
クロネッカーと日本の数学
クンマーとクロネッカー
クロネッカーと自然数
カントルとデデキント
カントルの経歴
集合論についての第1論文
巾集合
集合の定義と集合論の記法
濃度の理論
順序型の理論
位相的諸概念
カントルとデデキントの友情
デデキントの業績(i)実数論
デデキントの業績(ii)自然数論
写像についての用語と記号
デデキントの業績(ii)自然数論(続き)
ランダウの『解析の基礎』
デデキントの業績(iii)代数的数論
ガウスの『数論研究』
初等数論の基本定理
抽象代数的方法、環、代数系、構造
半群、群、可換群
変換半群、置換群、対称群
整環、体
ガウスの数体、ガウスの整数
2次形式と2次体
フェルマーの問題とクンマー
代数的数体と代数的整数
群の剰余類分解
イデアル類
ネーター環、デデキント環
デデキントの業績(iv) ガウス、リーマンの全集の編集
年表
第2章 ガロアの理論
群再訪
可換群、置換群
有限群、位数
表現
指数
巡回群
正規部分群、商群、準同型定理
単純群、拡大、正規列
直積
有限可換群
可解群
有限置換群としての有限群、サイクル
Sn の組成列
代数系の自己同型群
整域と体
多項式環と有理式体
線形代数、ベクトル空間の次元
ユークリッド環
体の拡大
拡大体、部分体、中間体
素体、標数
ベクトル空間としての拡大体、拡大次数、代数拡大,超越拡大
最小多項式
代数拡大の構成、最小分解体
代数的閉体、シュタイニッツの定理、ツォルンの補題
分離拡大、非分離拡大、完全体
正規拡大、ガロア拡大、ガロア群
ガロア理論
第1主定理とその証明
第2主定理とその証明
有限体の場合、ガロアの虚数
円分論
巡回拡大と2項式の最小分解体
代数的可解性
前節の定理の一般化
代数的独立性、一般方程式、アーベルの定理
代数的関係と独立性
一般方程式
Snの作用、対称式
アーベルの定理
素数次の既約な可解方程式(ガロアの定理)
推移的な群
ガロアの定理
第3章 ガロアの主著
復習
まえがき
方程式が根号で解けるための条件についての論文
原理
命題I定理
命題II定理
命題III定理
命題IV定理
命題V問題
命題VI補助定理
命題VII問題
命題VIII定理
註記
1.“有理的” ということ.体の概念
2.“添加” ということ.体の拡張
3. 順列,置換,群
補助定理IIについて
補助定理IIIについて
補助定理IV について
命題Iについて(第2章p.176)
命題IIについて(第2章第1主定理)
命題IIIについて(第2章第2主定理)
命題IVについて(第2章第1主定理)
命題Vについて(第2章p.208,p.213,可解性定理)
命題VI
命題VIIについて(第2章p.221-p.225)
命題VIIIについて(第2章p.225,ガロアの定理)
ガウス氏の補助方程式
出版社からのメッセージ
本書は、2002年8月にシュプリンガー・ジャパン株式会社より出版された同名書籍を再出版したものです。
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