内容紹介
ヨーロッパに原生林が失われていった一方で、アメリカには広大な自然環境が残されていた。新大陸の大自然と対峙した文学者や思想家は、その「自然」をどう捉えようとしたのだろうか。本書は、フロントカントリー(里山的自然)とバックカントリー(野生の世界)という一対の自然観をもとに、博物学者オーデュボン、超越主義者エマソン、『森の生活』を著したソロー、「国立公園」制定に尽力したミューア、そしてレイチェル・カーソンと、その系譜を追っていく。補遺として、ヘッチ・ヘッチー渓谷のダム化をめぐる論争の経緯を詳しく紹介。これまでアメリカ自然思想の始祖とされてきたエマソンの限界を明快に指摘する点は新機軸といえる。カラー口絵あり。
目次
はじめに フロントカントリーとバックカントリー
第1章 オーデュボンのアメリカ自然誌
第2章 エマソンの自然観
第3章 フロントカントリーの巡礼者 ヘンリー・D・ソロー
第4章 バックカントリーのナチュラリスト ジョン・ミューア
終 章 レイチェル・カーソンとアメリカの自然思想 結びにかえて
補 遺 ヘッチ・ヘッチ—渓谷の闘い