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『日本版KABC-II』の概要
●タイプ :個別式心理教育アセスメントバッテリー ●対象年齢 :2歳6ヶ月から18歳11ヶ月 ●実施時間 :約30分から約120分(年齢等により異なります) ●医科診療報酬点数450点(根拠D285-3)
原 著 者 :Alan S. Kaufman & Nadeen L. Kaufman 原版出版社 :NCS Pearson, Inc. 日本版制作 :日本版KABC-II制作委員会 藤田和弘・石隈利紀・青山真二 服部 環・熊谷恵子・小野純平 日本版発行 :丸善出版株式会社
KABC-IIはアメリカ心理学会(American Psychological Association, APA)によりレベルCに分類されている検査です。日本版KABC-IIも同様のレベルCにあたり、検査の実施や解釈には、日本版KABC-IIの内容に精通し関連領域の専門知識が必要となります。
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KABC-IIは1993年に発売されたK-ABCの改訂版です。K-ABCの3つの下位検査が削除され、あらたに9つの下位検査が加わり大きく構成が変わりました。また、日本の心理・教育アセスメントの現状を踏まえ、米国版KABC-IIとも異なる構成となっています。
●認知能力だけでなく基礎学力を個別式で測定できる検査です。 ●子どもの認知能力と学力の基礎となる習得度が測定できることにより両者の差異の様相と関連要因の分析が可能 になり、支援・指導といった教育的な働きかけに直結する検査として利用できます。
●ルリア理論およびキャッテル-ホーン-キャロル(CHC)理論という二つの理論基盤に基づいており、検査結果を異なった相補う観点から解釈することができます。 ●ルリア理論に基づくカウフマンモデルでは8つの能力、CHCモデルでは7つの能力と、幅広い能力を測定できます(KABC-IIではそれらの能力を継次尺度(カウフマン)・短期記憶尺度(CHC)など「尺度」と表現しています)。
●強い能力や弱い能力を特定するにあたって、個々の下位検査レベルでの比較にとどまらず、より信頼性が高く強固な能力(尺度)レベルでの比較を重視しています。 ●KABC-IIとしての評価だけにとどまらず、認知検査あるいは習得検査いずれかの検査と他の知能検査とのクロスバッテリーを行うことが可能です。 ●対象年齢が2歳6ヵ月から18歳11ヵ月となり、幅広い年齢層へのアセスメントが可能になりました(K-ABCは2歳6ヵ月から12歳11ヵ月)。
●[例題]と[ティーチングアイテム]で検査が要求していることを十分に理解させたうえで問題を実施する仕組みになっているので、幼児や障害のある子どもの知的活動を適切に測定できます。
●イーゼル(問題掲示板)の使用により、マニュアルが手元になくても適切に検査を実施できます。 ●非言語性尺度が用意されており、難聴や言語障害がある場合でも妥当なアセスメントが可能です。
検査の実施にあたっては、日本K-ABCアセスメント学会が開催している講習会を受講し、検査の実施から採点、換算まで手続きを十分理解したうえで行ってください。
講習会についての詳細はこちら
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【KABC-IIの構成】 |
1 カウフマンモデル
ルリアの神経心理学理論における脳の処理機能としての認知能力と習得度(認知能力を活用して環境から獲得した知識および読み・書き・算数といった基礎的学力)を別に位置づけています。両者を合わせて子どもの知能と位置づけた場合、認知能力(認知尺度)に比べて習得度(習得尺度)の低い子どもは総合的に知能が低いと判断されてしまいます。カウフマンモデルでは、認知能力のレベルに合う習得度に到達させうる指導や支援を講じる必要があるとの観点から、両者を別の位置づけとしています。
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2 CHCモデル
一般能力・広範的能力・限定的能力の3階層からなる心理測定学に基づく理論で、日本版KABC-IIはCHCモデルの広範的能力10のうち7つの能力を測定しています。
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【KABC-IIの記録用紙の活用と結果の分析】 |
●下位検査・各尺度レベルで年齢水準の中でどのような位置にあるかを、評価点、標準得点、パーセンタイル順位等で表すことができ、同年齢の平均と比較したときに有意な差があるかも確認できます。
●下位検査・各尺度レベルで、個人内で有意な差があるか(個人内で比較的得意な領域あるいは苦手な領域)を確認できます。また、有意な差がある場合にその差の出現率がまれか否かもわかります。 ●各尺度を互いに比較して、有意な差があるか否かが確認できます。 ●評価点、標準得点などを図示することができ、結果を視覚的にとらえることができます。
●カウフマンモデル、CHCモデルの両方の観点で解釈ができ、子どものアセスメントを行うに際して、理論的にも実践的にも柔軟な対応を可能にしています。
●記録用紙には検査時の子どもの行動を記載でき、想定されるプラス要因・マイナス要因の行動特性が下位検査ごとにリストになっており、分析やその後のアセスメントの組み立てに有用です。 |
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