東洋天文学史

東洋天文学史(電子書籍)

著者名 中村 士
発行元 丸善出版
発行年月日 2014年10月
NDCコード 440
ジャンル 科学一般 >  シリーズ科学一般 >  サイエンス・パレット
新書 >  サイエンス・パレット

シリーズ紹介

学問は絵の具、心はキャンバス。 思い思いの色を混ぜ合わせ、自身のキャンバスを豊かな教養で彩ってみませんか? サイエンス分野の教養を1冊にまとめ、あなたの「知りたい」に応えます。

内容紹介

日本天文学の歴史は、近世以前は中国と朝鮮の天文学を取り入れ、江戸中期からは西洋天文学から大きな影響を受けて発展してきた。そのため、私たちの先祖は、海外の天文学研究の成果を受け入れて理解するまでに、多大なエネルギーと努力を費やした。そうした歴史的事情を考慮して、本書ではアジアの天文学史という文脈の中に、日本天文学の歴史を位置づけることを目指し、全体を2部構成とした。第I部は、古代オリエントとギリシア、インド、中国、朝鮮および東南アジアの天文学史を概観し、第II部の日本天文学史へと展開する。第I部で扱った国々の天文学の通史を読むと、日本天文学史にある程度通じた人でもその見方が違ってくることだろう。

目次

第I部
 1 古代オリエント・ギリシアの天文学
  古代文明の誕生/赤道西風/天文学の起源/古代エジプトの天文学/バビロニアの天文学/星座のふるさと/古代ギリシアの天文学/同心球宇宙モデル/離心円・周転円/ヒッパルコス/トレミー
 2 インドの天文学
  ヴェーダ時代/バビロニア天文学の影響/ギリシア天文学からの影響/インドの10進法とゼロの発見/三角法/アールヤバティーヤ/インド天文学とアラビア天文学/観測装置,天文台/占星術
 3 中国の天文学
  殷虚と甲骨文,『殷歴譜』/二十四節季の起こり/甲骨文に現れた気候変動と中国天文学の誕生/中国の暦思想と改暦/二十八宿/古代中国の宇宙モデル/虞喜と歳差/中国の星座と星図/天文観測装置/中国の代表的暦法と暦/鄭和の南海遠征と航海天文学/宣教師がもたらした西洋天文学
 4 韓国,東南アジアの天文学
  高句麗時代の天文学/古代の天文台/古代の天文記録/「天象列次分野之図」/世宗大王時代の天文学/西洋の影響を受けた星図/日時計の伝統/インドネシアの天文学/ヨーロッパ人が目にした南海の星々/星と太陽による季節暦/イスラムの太陰暦/バリ島の暦/近代的天文学へ
 [コラム1]インドネシアのボスカ天文台と宮地政司
第II部
 5 古代・中世の日本天文学
  環状列石遺跡と古代人の宇宙観/奈良地方の古墳天井星図/中国天文学の伝来/陰陽寮/『日本書紀』に信ぴょう性/日本で使われた暦法と暦/日曜日の起源/『日本国見在書目録』/平安時代・中世の人々の天文観/「格子月進図」/インドからの影響――宿曜道,符天暦
 6 南蛮天文学と鎖国
  最古の仮名暦,三島暦/南蛮人の来航/『元和航海書』/宣教師による南蛮天文学の教育/『乾坤弁説』/長崎の南蛮流天文家
 7 科学的天文学の始まり: 渋川春海と将軍吉宗
  望遠鏡の伝来/望遠鏡の発明と天体観測/禁書令/『天経或問』/宣明暦/渋川春海/授時暦/大和暦と貞享歴/科学的天文学の始まり/春海の宇宙観/将軍徳川吉宗/吉宗の出自と性格/天文暦学への関心/二人の科学顧問/吉宗の天文学/吉宗が作らせた天体望遠鏡
 [コラム2]望遠鏡を初めてんじたアジア人は?
 [コラム3]冬至観測と渋川春海
 8 西洋天文学の導入と江戸天文学の発展
  吉宗の改暦への執念/失敗に終わった宝暦の改暦/蘭学の起こり/オランダ通詞が紹介した地動説/麻田剛立/高橋至時と間重富/『暦象考成』と『暦象考成 後編』/寛政の改暦/『ラランデ天文書』/麻田派天文学者の観測儀器/浅草天文台/伊能忠敬の入門/女性天文学者第1号/兄弟天文学者/民間の天文学
エピローグ 天文学の明治近代化

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