有機ELのデバイス物理

有機ELのデバイス物理

著者名 筒井 哲夫
安田 剛
発行元 丸善出版
発行年月日 2023年11月
判型 A5 210×148
ページ数 374ページ
ISBN 978-4-621-30865-3
Cコード 3054
NDCコード 549
ジャンル 電気・電子・情報工学 >  電子・通信
電気・電子・情報工学 >  電子・通信 >  半導体・電子回路

内容紹介

 本書は社会実装が進んでいる高性能有機ELに特化したデバイス物理の専門書である。有機ELを非晶性ガラス固体として一貫して扱い、非晶性ガラス有機半導体を用いた典型的な素子構成である積層薄膜型素子を出発点として有機ELの動作原理を解説する。さらに、タンデム構造、エキサイプレックス、分子配向などの高効率化の鍵となる重要課題や、過去の書籍ではあまり言及されてこなかった有機EL特有の輝度劣化と駆動寿命の問題を取り上げる。
 有機ELの科学技術を基礎から深く学びたい研究者や有機ELの研究開発現場の技術者が、デバイス物理の原理原則の立ち位置から、新たな独自の視点を獲得する契機となる一冊。

目次

第1部 概 論

第1章 序 論
 1.1 有機ELの動作機構:デバイス物理的描像と分子化学的描像
 1.2 高性能積層型有機EL素子
 1.3 各章の概要

第2章 有機ELに使う非晶性ガラス有機半導体
 2.1 有機半導体の三つのカテゴリー
 2.2 無機半導体と非晶性ガラス有機半導体
 2.3 p-ドーピングとn-ドーピング
 2.4 非晶性ガラス有機半導体を流れる大電流

第2部 キャリヤの物理

第3章 空間電荷制限電流としてのキャリヤ再結合と素子動作特性
 3.1 Langevin再結合モデルとその拡張
 3.2 ホール輸送層/電子輸送層2層積層型素子の界面再結合型素子動作モデル
 3.3 単層型素子における空間電荷の二重注入・再結合モデル
 3.4 キャリヤバランス概念と発光効率

第4章 非晶性ガラス有機半導体におけるキャリヤ移動
 4.1 有機EL素子性能とキャリヤ移動度
 4.2 非晶性ガラス有機半導体薄膜におけるキャリヤのホッピング移動の機構
 4.3 キャリヤ移動度の測定法
 4.4 有機ELに用いるキャリヤ輸送材料のキャリヤ移動度

第5章 非晶性ガラス有機薄膜における電極からのキャリヤ注入
 5.1 非晶性ガラス有機半導体のエネルギー準位
 5.2 金属/有機半導体ならびに有機半導体/有機半導体接触界面のエネルギー準位
 5.3 キャリヤ注入の機構
 5.4 電極から非晶性ガラス有機半導体へのオーミックキャリヤ注入

第3部 励起子の物理

第6章 励起子生成から発光まで
 6.1 キャリヤ再結合による励起子の生成
 6.2 一重項励起子と三重項励起子
 6.3 室温りん光発光
 6.4 三重項-三重項消滅の利用
 6.5 熱活性化遅延蛍光の利用

第7章 励起子の拡散・移動と消滅
 7.1 分子間エネルギー移動の素過程
 7.2 励起子の拡散
 7.3 励起子の移動
 7.4 励起子の非発光消滅過程
 7.5 励起子の生成から消滅までの速度論

第4部 先進有機ELの物理

第8章 エキサイプレックスの利用
 8.1 エキサイプレックスの有機EL素子高性能化への利用に至るまで
 8.2 ドナー分子とアクセプター分子からなる電荷移動錯体
 8.3 エキサイプレックスの形成機構
 8.4 エキサイプレックスを用いる有機EL素子
 8.5 展 望

第9章 タンデム型有機EL素子とキャリヤの対生成の概念
 9.1 タンデム型有機EL素子の進化
 9.2 タンデム型有機EL素子に用いる様々な中間連結層
 9.3 中間連結層におけるキャリヤ対生成の動作機構
 9.4 展 望

第10章 非晶性ガラス有機薄膜における分子配向
 10.1 分子配向効果の有用性はいかに見出されたか
 10.2 非晶性ガラス有機導体薄膜における分子配向の解析評価
 10.3 非晶性ガラス有機半導体における分子配向の生成機構
 10.4 非晶性ガラス有機薄膜中の永久電気双極子の自発配向分極
 10.5 展 望

第11章 真空蒸着法による超安定化ガラス
 11.1 超安定化ガラスとは何か
 11.2 真空蒸着法による超安定化ガラスの形成
 11.3 超安定化ガラスの利用によるデバイス性能の向上
 11.4 展 望

第5部 有機ELの信頼性

第12章 劣化メカニズムと駆動寿命
 12.1 素子の駆動劣化とは何か
 12.2 単純劣化モデルによる輝度減衰曲線の記述
 12.3 輝度減衰曲線を記述する現象論的解析式
 12.4 素子劣化の分子論

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