設計者のためのプラスチックの強度特性 第2版
要点解説

設計者のためのプラスチックの強度特性 第2版(電子書籍)

著者名 本間 精一
発行元 丸善出版
発行年月日 2022年11月
NDCコード 578
ジャンル 化学・化学工学 >  高分子化学
化学・化学工学 >  材料化学 >  有機材料・高分子材料
化学・化学工学 >  工業化学

内容紹介

プラスチック製品は軽量性、設計自由性、生産性などの点から様々な分野で利用されている。しかし、強度設計においては様々な課題があり、強度設計に必要な設計データやトラブル対策事例の情報も少ない。

本書は、樹脂メーカーの技術サポーターとして、プラスチック製品の設計や割れトラブル対策に長く携わった著者の経験を基に、プラスチック製品の強度に関する基本的知識や製品設計、割れトラブル対策などを簡潔に解説している。基本概念をまとめた<ポイント>と、より詳しい解説を加えた<Q&A>で構成されており、読者は実務に必要な知識を端的に得ることができる。

改訂版では内容を全面的に見直し、製品設計(9章)、割れトラブルの原因究明(10章)、割れトラブルの防止と対策(11章)の内容を充実した。

プラスチック製品の設計や品質保証に携わる実務者の拠り所となる一冊。

目次

1章 強度と限界を知ろう
 ポイント
  1-1 プラスチック(熱可塑性)の強度発現原理
  1-2 温度上昇に伴う強度低下
  1-3 プラスチックの破壊様式
  1-4 脆性破壊と強度ばらつき
  1-5 衝撃力と破壊
 Q&A
  Q1・1 共有結合, ファン・デル・ワールス結合, 水素結合とはどのような結合ですか?
  Q1・2 実用強度に影響する分子構造要因は何ですか?
  Q1・3 複合材料の強度への影響要因は何ですか?
  Q1・4 実用強度に影響する分子量要因は何ですか?
  Q1・5 実用強度に影響する高次構造要因は何ですか?
  Q1・6 条件によって破壊様式はどのように変化しますか?
  Q1・7 応力集中によってなぜ強度低下するのですか?
  Q1・8 脆性破壊ではなぜばらつきが大きいのですか?

2章 活用のための基本的性質を知ろう
 ポイント
  2-1 粘弾性の発現原理
  2-2 温度と粘弾性挙動
  2-3 応力緩和現象
  2-4 クリープ現象
  2-5 分子量
  2-6 分子量と成形材料
  2-7 結晶性プラスチック
  2-8 非晶性プラスチック
  2-9  結晶性プラスチックおよび非晶性プラスチックの種類
  2-10 転移温度
  2-11 ガラス転移温度
  2-12 結晶融点および結晶化温度
  2-13 プラスチックの分解
  2-14 分解による強度低下
 Q&A
  Q2・1 応力緩和はどのような原理で起きますか?
  Q2・2 クリープはどのような原理で起きますか?
  Q2・3 分子量と強度にはどのような理論的関係がありますか?
  Q2・4 温度によって強度はどのように変化しますか?
  Q2・5 結晶化はどのように起きますか?
  Q2・6 ガラス転移温度はどのように測定しますか?
  Q2・7 結晶融点,結晶化温度はどのように測定しますか?

3章 活用時に役立つ力学的性質とは
 ポイント
  3-1 応力とひずみ
  3-2 プラスチックの引張応力・ひずみ特性
  3-3 応力-ひずみ曲線と強度特性
  3-4 曲げ強度
  3-5 衝撃強度と引張強度の違い
  3-6 衝撃強度データの活用
  3-7 材料,設計,使用条件と衝撃強度
  3-8 クリープひずみ特性
  3-9 クリープ破壊特性
  3-10 疲労破壊現象
  3-11 プラスチックの疲労特性
 Q&A
  Q3・1 引張強度はどのように測定しますか?
  Q3・2 ひずみ速度とは何ですか?
  Q3・3 引張強度にはどのような特性がありますか?
  Q3・4 ポアソン比はどのように測定しますか?
  Q3・5 圧縮強度はどのように測定しますか?
  Q3・6 引張強度と圧縮強度では,どちらが強いですか?
  Q3・7 曲げ強度はどのように測定しますか?
  Q3・8 曲げ強度にはどのような特性がありますか?
  Q3・9 衝撃強度はどのように測定しますか?
  Q3・10 衝撃値データを製品設計にどのように活かしますか?
  Q3・11 クリープひずみ,クリープ破壊強度はどのように測定しますか?
  Q3・12 疲労強度はどのように測定しますか?
  Q3・13 ストリエーションとはどのような現象ですか?
  Q3・14 プラスチックの熱疲労破壊とはどのような現象ですか?
  Q3・15 ひずみ軟化とはどのような現象ですか?

4章 クラック現象を解明しよう
 ポイント
  4-1 クレーズとクラック
  4-2 クレーズと破壊
  4-3 クレーズの判別
  4-4 クラックと破壊
  4-5 クラックの種類
  4-6 ケミカルクラックと薬液
  4-7 ストレスクラックとケミカルクラックの違い
  4-8 クリープ破壊と薬液
 Q&A
  Q4・1 ストレスクラックはどのような機構で発生しますか?
  Q4・2 ストレスクラックはどのような過程を経て発生しますか?
  Q4・3 ストレスクラック限界応力はどのように測定しますか?
  Q4・4 クラックの観察が難しい不透明材料はどのように測定しますか?
  Q4・5 ケミカルクラックはどのような機構で発生しますか?
  Q4・6 ケミカルクラック性はどのように測定しますか?
  Q4・7 ケミカルクラック発生のしやすさを表す指標はありますか?
  Q4・8 非晶性プラスチックは,なぜケミカルクラックが発生しやすいのですか?

5章 環境条件による劣化を知ろう
 ポイント
  5-1 劣化
  5-2 熱劣化現象
  5-3 熱劣化と強度低下
  5-4 加水分解劣化現象
  5-5 加水分解劣化の特徴
  5-6 紫外線劣化現象
  5-7 紫外線劣化の特徴
  5-8 放射線劣化現象
  5-9 オゾン劣化現象
 Q&A
  Q5・1 熱劣化はどのような機構で起きますか?
  Q5・2 熱劣化はどのように抑制しますか?
  Q5・3 加水分解はどのような機構で起きますか?
  Q5・4 紫外線による劣化はどのような機構で起きますか?
  Q5・5 紫外線劣化を抑制するにはどのような方法がありますか?
  Q5・6 波長が短くなるとなぜ劣化しやすくなるのですか?

6章 寿命を予測しよう
 ポイント
  6-1 プラスチックの寿命予測法
  6-2 寿命時間の求め方
  6-3 アレニウスプロットによる寿命予測
  6-4 熱劣化寿命の予測
  6-5 加水分解寿命の予測
  6-6 紫外線劣化寿命の予測
  6-7 クリープ破壊寿命の予測
  6-8 加速試験による寿命予測
 Q&A
  Q6・1 アレニウスプロットの理論式はどのように誘導されますか?
  Q6・2 UL の相対温度指数(RTI)の使用温度上限値はどのように求めますか?
  Q6・3 使用中に温度が変化する場合のトータル寿命はどのように予測しますか?
  Q6・4 クリープ破壊寿命予測の理論式はどのような根拠に基づくのですか?
  Q6・5 加速寿命試験にはどのような試験法がありますか?

7章 射出成形における強度への影響要因を探ろう
 ポイント
  7-1 射出成形法
  7-2 プラスチックで決まる射出成形条件
  7-3 予備乾燥条件
  7-4 成形温度条件
  7-5 金型温度条件
  7-6 加熱シリンダ内での分解
  7-7 強度低下に影響する異物
  7-8 成形工程で形成される高次構造
  7-9 分子配向現象
  7-10 分子配向と強度
  7-11 繊維配向現象
  7-12 繊維配向と強度
  7-13 成形条件と結晶化度
  7-14 結晶化度と強度
  7-15 再生材の使用
  7-16 再生材使用と強度低下
 Q&A
  Q7・1 最適予備乾燥条件はどのように決まりますか?
  Q7・2 予備乾燥が不足すると強度低下するのはどのようなプラスチックですか?
  Q7・3 シリンダ内の熱分解はどのようなときに起きますか?
  Q7・4 熱分解するとどのように強度低下しますか?
  Q7・5 分子配向はどのような機構で起きますか?
  Q7・6 分子配向を小さくするにはどうすればよいですか?
  Q7・7 繊維配向はどのような機構で起きますか?
  Q7・8 繊維配向を小さくするにはどうすればよいですか?
  Q7・9 金型温度を高くするとなぜ結晶化度は高くなるのですか?
  Q7・10 再生材はどのように使用するのがよいですか?
  Q7・11 再生材使用による強度低下を防止する対策は何ですか?

8章 残留ひずみの悪さを知ろう
 ポイント
  8-1 残留ひずみと残留応力
  8-2 時間経過と残留応力
  8-3 残留ひずみの種類
  8-4 残留ひずみと製品不具合
  8-5 分子配向ひずみの発生原理
  8-6 冷却ひずみの発生原理
  8-7 インサート残留ひずみの発生原理
  8-8 熱ひずみの発生原理
  8-9 残留ひずみの測定法
  8-10 アニール処理による残留応力の低減
  8-11 アニール処理の必要性
 Q&A
  Q8・1 冷却ひずみはどのような機構で発生しますか?
  Q8・2 冷却ひずみはどのようにしたら低減できますか?
  Q8・3 インサート残留ひずみはどのような機構で発生しますか?
  Q8・4 熱ひずみはどのような機構で発生しますか?
  Q8・5 熱ひずみはどのように対策しますか?
  Q8・6 アニール処理は何度で行うのがよいですか?
  Q8・7 アニール処理は何時間行えばよいですか?
  Q8・8 アニール処理にはどのような方法がありますか?
  Q8・9 アニール処理ではどのようなことに注意する必要がありますか?
  Q8・10 アニール処理で除去できない残留ひずみはありますか?

9章 よりよい製品設計をするには
 ポイント
  9-1 材料選定の着眼点
  9-2 強度設計の留意点
  9-3 製品肉厚の設計
  9-4 コーナアールの設計
  9-5 リブの設計
  9-6 ボスの設計
  9-7 抜き勾配の設計
  9-8 ウェルドラインの発生原理
  9-9 強度低下を避けるウェルドライン設計
  9-10 強度設計データ
  9-11 安全率と許容応力
  9-12 製品の耐衝撃設計
  9-13 材料強度データを利用するときの注意点
 Q&A
  Q9・1 ウェルドラインがあると,なぜ強度低下するのですか?
  Q9・2 材料強度(破壊応力)からどのように許容応力を求めますか?
  Q9・3 クリープ限度ひずみからどのように許容応力を求めますか?
  Q9・4 ストレスクラック限界応力からどのように許容応力を求めますか?
  Q9・5 材料強度と製品強度の関係は?
  Q9・6 弾性率と製品剛性の関係は?
  Q9・7 耐衝撃性を必要とする製品の強度設計はどのように進めますか?

10章 割れトラブル原因をどのように調べるか
 ポイント
  10-1 割れトラブル状況調査の留意点
  10-2 仮説の立て方
  10-3 成形における熱分解の調査・測定
  10-4 成形における加水分解の調査・測定
  10-5 再生材使用の調査・測定
  10-6 結晶化度の調査・測定
  10-7 分子配向ひずみの調査・測定
  10-8 残留応力の調査・測定
  10-9 ストレスクラックの観察・測定
  10-10 ケミカルクラックの観察・測定
  10-11 異物の検査・分析
  10-12 気泡の検査・測定
  10-13 熱劣化の調査・測定
  10-14 紫外線劣化の調査・測定
 Q&A
  Q10・1 成形品の分子量を測定するには?
  Q10・2 分子量の測定結果をどのように判定しますか?
  Q10・3 分子量測定に代わる測定法はありますか?
  Q10・4 黄変度や色相変化を測定するには?
  Q10・5 異物を分析するには?
  Q10・6 不透明成形品の気泡を測定するには?
  Q10・7 微小クラックを検査するには?
  Q10・8 結晶化度を測定するには?
  Q10・9 残留ひずみ,残留応力を測定するには?
  Q10・10 破面解析とはどのような方法ですか?
  Q10・11 破面解析で何がわかりますか?

11章 割れトラブルをどのように解消するか
 ポイント
  11-1 強度設計と割れトラブルの防止
  11-2 ストレスクラックと割れトラブル
  11-3 ストレスクラックの検査
  11-4 ケミカルクラックと割れトラブル
  11-5 ケミカルクラックによる割れトラブル防止の難しさ
  11-6 ケミカルクラックの割れトラブル対策
  11-7 ウェルドラインによる割れトラブル対策
  11-8 ばらつきが大きい割れトラブルの原因究明
  11-9 複合要因による割れトラブル対策
  11-10 発生率が低い割れトラブル対策
 Q&A
  Q11・1 下穴に金属ボルトを通して締め付けたときのクラックを防止するには?
  Q11・2 タッピンねじ接合による割れトラブルを防止するには?
  Q11・3 内ねじ付きキャップの割れトラブルを防止するには?
  Q11・4 皿ビス締め付けによる割れトラブルを防止するには?
  Q11・5 金具プレスフィット(圧入)による割れトラブルを防止するには?
  Q11・6 インサート残留ひずみによる割れトラブルを防止するには?
  Q11・7 ケミカルクラックを防止するには?
  Q11・8 成形に起因する割れトラブルにはどのような例がありますか?
  Q11・9 2 次加工に起因する割れトラブルにはどのような例がありますか?

出版社からのメッセージ

本書は『要点解説 設計者のためのプラスチックの強度特性』(2008年/工業調査会)を丸善出版より2011年に再出版したものの改訂版です。

関連商品