中世イスラーム数学史

中世イスラーム数学史

エピソードでたどるアラビア数学
原書名 Episodes in the Mathematics of Medieval Islam, 2nd ed.
著者名 三浦 伸夫 監訳
坂田 基如
発行元 丸善出版
発行年月日 2023年11月
判型 A5 210×148
ページ数 314ページ
ISBN 978-4-621-30823-3
Cコード 3041
NDCコード 410
ジャンル 数学・統計学 >  数学読み物 >  数学史

内容紹介

数学史・科学史では必ず出てくるのにもかかわらず、類書のほとんどないイスラーム数学史(アラビア数学史)分野では一番詳しい原書の初翻訳。20世紀後半以降、格段に進歩したアラビア数学研究の最新成果をふんだんに盛り込み、さらに文化的背景(イスラーム文化との関連)にも言及しながら、アラビア数学史の全貌を興味深く解説。とりわけ今まで知られていなかったマグレブ地域(北アフリカ)のアラビア数学,組み合わせ法などの話題も紹介。アラビア数学全般を通史的に扱った、他に類書のない基本図書の決定版。アラビア数学の重要テーマが網羅されており、アラビア数学の全体像を学ぶのに最適。

目次

第1章 イスラーム世界の科学の始まり
 1 イスラームの始まり
 2 イスラームによる外来の学問の受容
 3 4人のムスリム科学者たち
  3.1 序
  3.2 フワーリズミー
  3.3 ビールーニー
  3.4 ウマル・ハイヤーム
  3.5 カーシー
 4 史 料
 5 アラビア語とアラビア語の名前
  5.1 アラビア語
  5.2 アラビア語を音訳する
 練習問題
 参考文献
第2章 イスラーム世界の算術
 1 10進法体系
 2 クーシュヤールの算術
  2.1 算術の概観
  2.2 加 法
  2.3 減 法
  2.4 乗 法
  2.5 除 法
 3 分数の算術
 4 小数の発見
 5 ムスリムの60進法体系算術
  5.1 60進法の歴史
  5.2 60進数の加法と減法
  5.3 60進数の乗法
  5.4 60進数の除法
 6 平方根
  6.1 カーシーが示した方法
  6.2 平方根の近似値を得る
  6.3 近似値の数学的根拠を考える
 7 カーシーによる5乗根の開法
  7.1 累乗根の開法
  7.2 計算全体の構図
  7.3 最初の二つの数字を見つける手順
  7.4 手順の数学的根拠
  7.5 残された手順
  7.6 根の分数部分
 8 イスラームに特質的な相続問題
  8.1 最初の相続問題
  8.2 二番目の相続問題
  8.3 喜捨の計算について
 練習問題
 参考文献
第3章 イスラーム世界の幾何学
 1 幾何学的作図
 2 イスラーム幾何学にとってのギリシャ文献
 3 アポロニオスの円錐曲線論
  3.1 パラボラの特性
  3.2 ハイパボラの特性
 4 アブー・サフル・クーヒーによる正七角形についての考察
  4.1 アルキメデスによる正七角形の作図
  4.2 アブー・サフルによる解析
 5 正九角形の作図
  5.1 ネウシス作図
  5.2 対立する静的幾何学と動的幾何学
  5.3 アブー・サフルによる角の3等分
 6 円錐曲線の作図
  6.1 イブラーヒーム・イブン・シナーンの生涯
  6.2 イブラーヒーム・イブン・シナーンによるパラボラの考察
  6.3 イブラーヒーム・イブン・シナーンによるハイパボラの考察
 7 幾何光学の問題
 8 劣化コンパスの幾何学
 9 ムウタマン・イブン・フードの『イスティクマクール』
 10 実用的な計量幾何学
 練習問題
 参考文献
第4章 イスラーム世界の代数学
 1 未知量に関する問題
 2 イスラーム代数学の源泉
 3 フワーリズミーの代数学
  3.1 フワーリズミーの代数学の中にある基本的な考え方
  3.2 フワーリズミーによるx^2+21=10xの考察
 4 サービトの2次方程式に関する証明
  4.1 サービトの証明
 5 アブー・カーミルによる代数学に関する考察
  5.1 フワーリズミーとの類似性
  5.2 フワーリズミーを超える
  5.3 アブー・カーミルからの問題
 6 カラジーによる代数学の算術化
  6.1 序
  6.2 サマウアルによる指数法則の考察
  6.3 サマウアルによる多項式の除法
 7 サマウアルによる二項係数表の考察
 8 マグリブの代数学
  8.1 イブン・バンナーによる2次方程式の考察
  8.2 マグリブの代数表記
 9 ウマル・ハイヤームと4次方程式
  9.1 ウマル・ハイヤーム作品の背景
  9.2 ウマル・ハイヤームによる3次方程式の分類
  9.3 ウマル・ハイヤームによるx^3+mx=nの取り扱い
  9.4 考察の中心
  9.5 根の数に関するウマル・ハイヤームの考察
 10 イスラーム的側面:遺産の代数学
 練習問題
 参考文献
第5章 イスラーム世界の三角法
 1 古代の背景:弦と正弦の表
 2 六つの三角関数の導入
 3 7番目の三角関数
 4 アブル・ワファーによる正弦に関する加法定理の証明
 5 ナスィールッディーンによる正弦定理の証明
 6 ビールーニーによる地球の計測
 7 三角関数表:計算と補間
 8 補助関数
 9 補間の手順
  9.1 線形補間
  9.2 2次補間
 10 カーシーによるSin 1^∘の近似
 練習問題
 参考文献
第6章 イスラーム世界の球面三角法
 1 古代の背景
 2 天球上の重要な円
 3 黄道十二宮の星座が昇る時間
 4 立体投影とアストロラーブ
 5 太陽と星から現在の時刻を調べる
 6 イスラームの球面三角法
 7 球面天文学のための表
 8 イスラーム的側面:礼拝の方角
 練習問題
 参考文献
第7章 イスラーム世界の数論と組合せ論
 1 数論
  1.1 有理数を平方の和として表現する
  1.2 図形数
  1.3 魔方陣
 2 組合せ論
  2.1 n文字のアルファベットのうち異なるk文字を用いてできる単語の総数を数える
  2.2 イブン・ムンインによる高々10文字からなるアラビア語単語の数え上げ
  2.3 イブン・マジュディーによる多項方程式の数え上げ
 参考文献

監訳者あとがき
事項索引
人名索引

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