はかってなんぼ 分析化学入門

はかってなんぼ 分析化学入門

著者名 河合 潤
樋上 照男
発行元 丸善出版
発行年月日 2000年02月
判型 A5 210×148
ページ数 206ページ
ISBN 978-4-621-04707-1
Cコード 3043
NDCコード 433
ジャンル 化学・化学工学 >  分析化学

内容紹介

関西を中心に活躍する中堅の分析化学研究者15人が、勉強会や議論を行う中で、正しい分析値を得ることがどれだけ大変なのか、自分で工夫し苦労の末に作り上げた分析装置・分析法ではかることがいかに重要か、原理を理解してはかることの重要性、実際に自分の手足を動かすことがいかに大変なのかを実体験をもとに記した。大学に入学して分析化学を学び始めた学生、大学院の研究で”はかる”ことを始めた人を対象にしているが、実社会で分析実務に携わる方にも有益な一冊。

目次

第1章 知ることとはかること
 1.1 われ思う、故に、われ間違う
 1.2 知ることとはかること
 1.3 どうはかるか
 1.4 空白の中世
 1.5 近代科学の誕生
 1.6 小氷期
 1.7 科学の終焉
第2章 ダイオキシンをどうはかる
 2.1 ダイオキシン類の分析
  2.1.1 "取り出す”
  2.1.2 ”分ける”
  2.1.3 ”はかる”
 2.2 分析例
 2.3 結語
第3章 無酸素な世界を探る
 3.1 水圏での無酸素層の出現
 3.2 無酸素層をみる
 3.3 多種類の元素を同時にはかる
 3.4 化学種に分けてはかる
 3.5 懸濁物の中での元素の分布をはかる
 3.6 おわりに
第4章 環境中でのフミン物質(腐植物質)の働きを探る
 4.1 水道水のトリハロメタンとフミン物質
 4.2 酸性雨とフミン物質
 4.3 おわりに
第5章 海水中の微量元素をはかる
 5.1 海水中の微量元素分析に特有の問題
 5.2 海水中の微量元素分布の特徴
 5.3 なぜ微量元素をはかるのか
 5.4 海水中の微量元素の分析法に求められているもの
 5.5 これからの課題
 5.6 おわりに
第6章 電気と分析 〜10円玉の分析から”地球の気候変動”の解明まで〜
 6.1 電気を用いた分析とは
 6.2 環境中の金属イオンスペシエーションとは
 6.3 活性錯体,不活性錯体と錯化容量
 6.4 スペシエーションに用いられる濃縮ボルタンメトリー
 6.5 ボルタンメトリーによるスペシエーション
 6.6 二酸化炭素とスペシエーション
[囲み記事] ネルンスト式
       キャラクタリゼーションとスペシエーション
第7章 イオンセンサー〜錬金術から科学技術へ〜
 7.1 錬金術の時代
 7.2 科学技術へのステップ
 7.3 新たな展開
 7.4 おわりに
第8章 膜をはかる〜人工膜から生体膜まで〜
 8.1 膜の機能
 8.2 膜が機能をもつのはなぜか
  8.2.1 従来の膜電位の考え方
  8.2.2 生体膜による物質認識と膜電位
  8.2.3 もう一つ膜電位の考え方
  8.2.4 界面での電荷移動反応とは
  8.2.5 膜を動的に見るということ
 8.3 イオン移動ボルタンメトリーによる膜反応の動的考察
  8.3.1 イオン移動と電子移動の共役
  8.3.2 膜電位振動と界面イオン移動 
 8.4 おわりに
第9章 光から音が生まれる〜光音響分光法の原理と応用〜
 9.1 光とは何か
 9.2 赤外線と分子の連動 
 9.3 可視光線と分子中の電子の運動
 9.4 失活と熱の発生
 9.5 光音響分光法の原理と特徴
第10章 光電子を使って表面をはかる
 10.1 われわれの身近にある表面
 10.2 表面の特異性はどこからくるのか
 10.3 表面をはかる
 10.4 X線光電子分光法の歴史
  10.4.1 電子,光電効果の発見とその理解
  10.4.2 光電子分光法の発展
 10.5 X線光電子分光法の原理と実際
  10.5.1 X線光電子分光法の原理
  10.5.2 X線光電子分光装置
  10.5.3 X線光電子スペクトル
 10.6 どうして光電子分光法は表面の情報を与えてくれるのか
 10.7 表面元素の化学状態を知る
 10.8 深さ方向の原子分布をはかる
 10.9 おわりに
第11章 X線分析〜新しい分析法はいかにして開発されるか〜
 11.1 無機分析の基礎
 11.2 蛍光X線分析
 11.3 シンクロトン放射光
 11.4 全反射蛍光X線分析法
 11.5 X線吸収分光法
 11.6 EXEFS法
 11.7 蛍光X線ホログラフィー
 11.8 帯電によるX線発生
 11.9 おわりに
第12章 混ざることと混ざらないことの間にあるものはなに?〜液―液界面の分光法〜
 12.1 液―液界面をみる方法は
 12.2 液―液界面分光法
 12.3 おわりに
第13章 マイクロ化がひらく新しい分析化学
 13.1 微小領域分析―細かく分けると何がわかる?
 13.2 マイクロクロマトグラフィー―分れてうれしい分離分析
 13.3 マイクロフロー分析―根性無用のフィールド分析を!
第14章 生薬,天然物成分の分離分析
 14.1 試料の抽出と分配による精製
 14.2 HPLCによる分析と分取
  14.2.1 溶離系の選択
  14.2.2 最適分離条件の設定
  14.2.3 試料中の化合物の種類と存在量の推定
  14.2.4 分取の実際
 14.3 LC―MSとLC―UV ―ナンテンのアルカロイドの分析と分取を例に取って―
 14.4 LC―NMRの発達
 14.5 生薬,天然物分析の今後の展望
第15章 分析結果と誤差について 〜酸性雨のpH測定の場合〜
 15.1 酸性雨について
 15.2 清浄な雨水のpH
 15.3 汚染された雨水のpH
 15.4 測定データの誤差
 15.5 熊本市の雨水のpHデータが教えてくれるもの
 15.6 ガラス電極を用いたpH測定の原理と誤差
付録1 量の単位と濃度の単位について
 付1.1 量の基本単位
 付1.2 重量比や体積比に基づいた濃度の単位
  付1.2.1 パーセント
  付1.2.2 プロミル
  付1.2.3 ppm
  付1.2.4 ppb
  付1.2.5 ppt
 付1.3 物質量を用いた濃度の単位
  付1.3.1 容量(容積)モル濃度[M=mol dm-3]
  付1.3.2 重量モル濃度[M=mol kg-1]
  付1.3.3 活量と活量係数について
付録2 検出限界と定量限界について
 付2.1 検量線(calibration curve)
 付2.2 第1種の誤り,第2種の誤りと三つの限界値
  付2.2.1 判定限界(critical level)
  付2.2.2 検出限界(detection limit)
  付2.2.3 定量限界(quantification limit)

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