内容紹介
近代の結晶科学は、結晶構造から原子配列を解き明かすことで飛躍的に発展を遂げた。しかし、結晶中の不純物・触媒の反応中心・界面の原子構造・光合成の反応中心といった、現在のテクノロジーにとって重要であるにもかかわらず、立体的な原子構造などを直接見るのが難しい物質も多く存在している。これらのような結晶ではない物質の原子構造の可視化は、機能発現のメカニズムを理解するために重要である。同時に新たな研究や応用、産業につなげていくために必要な知見である。本書では、このような機能材料の中で、機能発現を担う「活性サイト」に注目して、広範にわたる必要な知識を学べるように工夫した。無機材料・有機材料・バイオ材料などの物質の機能と構造に注目して開発・研究に携わる人に価値ある一冊となる。
目次
1 局所機能構造科学の登場
1.1 活性サイトと局所機能構造
1.2 ホログラフィーの発明と分解能
1.3 原始分解能ホログラフィーの夜明け
1.4 日本でのホログラフィーのルネッサンス
1.5 原子立体写真法
1.6 「3D活性サイト科学」による局所機能構造科学の登場
2 光電子ホログラフィーと蛍光X線ホログラフィー
2.1 概論
2.2 光電子ホログラフィー測定装置
2.3 光電子励起過程
2.4 光電子散乱
2.5 原子像の再構成
2.6 光電子ホログラフィーの展開
2.7 蛍光X線ホログラフィーの概要
2.8 蛍光X線ホログラフィーの原理
2.9 実験装置
2.10 データ処理
2.11 原子の揺らぎと原子像
2.12 応用事例
3 表面・界面ホログラフィー
3.1 表面からのX線回析
3.2 表面近傍の構造変化による散乱強度
3.3 CTR散乱ホログラフィーの原理
3.4 ホログラフィーによる界面構造モデルの構築
3.5 複雑な構造をもつ物質の表面・界面
3.6 手法の特徴と限界
4 ナノ構造体・1分子イメージング
4.1 回折イメージング
4.2 量子ビームにおける1分子イメージング
5 第一原理電子状態計算法と分子動力力学法
5.1 電子状態計算手法
5.2 固体表面・界面での構造と化学反応に関する第一原理電子状態計算
5.3 生体分子の分子シミュレーション
6 電気伝導理論
6.1 はじめに:半導体素子における電子伝導理論とその課題
6.2 有機半導体
6.3 有機半導体の結晶構造計算
6.4 有機半導体の伝導理論
6.5 おわりに
7 無機材料
7.1 無機材料とは
7.2 無機材料の合成法
7.3 無機材料の構造評価
7.4 無機材料の構造と機能の関係:酸化物半導体への遷移金属ドーピング
8 有機デバイス・バイオ材料
8.1 有機デバイス
8.2 バイオ材料
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