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生命倫理の課題を問う映像教材『終わりのない生命の物語3』上映会レポート

大学の看護学部や医学部向けに制作された、生命倫理について考えるための映像教材『終わりのない生命の物語3』の完成記念上映会とトークイベントを、2023年11月20日にユーロライブ(東京都渋谷区)で開催しました。

上映会では『終わりのない生命の物語3』全5編のうち以下3編を上映。その後のトークイベントでは、聖路加国際大学教授で本作監修の鶴若麻理氏、日本生命倫理学会第11期代表理事・会長で本作の一部を監修協力した香川知晶氏、演出を担った映像ディレクターの畔柳恵輔氏の3名に登壇いただき、テーマ選考や制作の背景、我々の身近な「生命倫理」などについて語っていただきました。

 

上映作品

「本人」の意思 【アドバンスケアプランニング】(15分)

救える命 【トリアージ】(14分)

未来からの選択肢 【ゲノム編集】(16分)

 

   

 

現役看護師や学生、大学教員や病院関係者、また映像制作関係者らなど多くの方々にご来場いただき、会場はほぼ満席。上映会後のトークイベントでは、本作品の本質に迫る質問も寄せられ、熱気と温かさに満ちたイベントとなりました。

 

 

この度、このトークイベントの模様を撮影した動画を公開いたします。

「“生命倫理”とは誰のためのものなのか」

「なぜ“映像”として生命倫理の教材が作られたのか」

「映像を教材に取り入れたことについて映像を制作する側が感じたことは」

「制作にあたっての難しさや苦労したこと」

「この教材を効果的に利用するには?」

 ……など、有意義なお話や、質疑応答の様子をぜひご覧ください。

 

本ページの最後には、参加者の声も掲載しています。

様々な立場の方から感想をいただきましたのでぜひご覧ください。

 

 

 

 

ー トークイベント登壇者 ー

鶴若 麻理
聖路加国際大学 教授


聖路加国際大学教授(生命倫理学・看護倫理学)、同公衆衛生大学院兼任教授。生命倫理の分野から本人の意向を尊重した保健、医療の選択や決定を実現するための支援や仕組みについて、臨床の人々と協働しながら研究・教育に携わっている。編著書に『看護師の倫理調整力 専門看護師の実践に学ぶ』(日本看護協会出版会)、ヨミドクター『看護師のノートから~倫理の扉をひらく』(コラム)連載中。『ナラティヴでみる看護倫理』(南江堂)、『認知症ケアと日常倫理』(日本看護協会出版会,11月末刊行)がある。本作監修。

香川 知晶
日本生命倫理学会 第11 期代表理事・会長


山梨大学名誉教授、日本学術会議連携会員(第23期~)、日本生命倫理学会代表理事・会長(第11期)。専門はフランス哲学、生命倫理学。生命倫理学関係の著書に『生命倫理の成立』『死ぬ権利』(ともに勁草書房)、『命は誰のものか』(ディスカヴァー携書)、共編著に『生命倫理の源流』(岩波書店)などがある。本作 Case4 監修協力。

畔柳 恵輔
映像ディレクター


国内外のCM、WEBムービー、ドキュメンタリー、MVを企画・演出しながら、近年はドラマ演出や演劇の脚本・演出にも活動の幅を広げている。人生を描くドラマからシュールな瞬間を切り取るコメディまで、ジャンル・形式を問わない説得力のある演出に定評があり、国内外の広告賞や放送賞を受賞。本作演出。

 

 

参加者の声(一部抜粋し、補足を加えている箇所があります) 

 


 

様々なバックグラウンドの人が、同じ時間に映像を見れたことを幸せに思います。倫理について考えるとき、感情をコントロールして考えることは重要です。しかし、人が考える動機づけとなるのは、やはりエモーションだというのも分かりました。

(大学院生)  

 


 

映像に心打たれ、涙をこらえました。

同時に、再び視野が狭くなっていた自分に気づくことができ、上映会に参加させて頂いて本当によかったと思いました。

(看護師)

 


 

映像ですが、丁寧に作りこまれていて、前作よりグレードアップしているなあと思いました。そして、ゲノム編集は、広い層の方が考えることができる内容だと思いました。

ディスカッションを聴きながら、こういう問題に向き合う文化?を醸成していくうえで、これを倫理的な問いとして意識して向き合うべきか、まずは考えることから始めることでよいか、などぼんやり考えていました。

(大学教員)

 


 

2名の医師が同一人物で、心の声を表している特殊映像なのだとわかりました。これがとても印象的だったです。始めの登場シーンでは、似ている同僚の医師だな…と思ってしまいましたが、すぐに化身だとわかりました。面白い構成になっていると思いました。注:「Case4 未来からの選択肢 【ゲノム編集】」についてのご感想

(大学生)

 


 

映像に関してはとても臨床の現場において存在する倫理的葛藤の場面が分かりやすく映像化されていたように感じました。終始、自身の臨床での経験を想起しながら「あるある」とうなずきながら拝見しておりました。

また映像の趣旨からそれているかもしれませんが、「Case 3 救える命 【トリアージ】」での医師との電話で家族が何とか命を救ってほしいと懇願する場面や、「Case4 未来からの選択肢 【ゲノム編集】」の御子柴さんの息子に関する思いの表出の場面は感動して泣きそうになってしまいました。

改めて、この映像からその家族一人ひとりに今まで生きてきた生活史や抱えている思いがあることに気が付かされました。この映像作品は学生や医療関係者等の一部の人にしか見られないのは、とてももったいないと感じました。私個人としては、一般社会的関心も強く反映している内容だと感じました。

(看護師) 

 



結末は見た本人が考えるということで、他の人がどういう考えをするのか知りたい私にとっては、もやもやしつつみんなでディスカッションしたいという気持ちになりました。

Case 3 救える命 【トリアージ】」に関しては、実際の現場も想像でき、生命倫理の授業の最終レポートにも記載しましたが、事例から検討することで、入職後にどう対応すればいいのかの引き出しができるのではないかと思いました。また、引き出しを増やすことで、精神的負担も少しは軽減できるのではないかと思います。「Case4 未来からの選択肢 【ゲノム編集】」に関しては、正直私は難しく感じ、もう一度改めてどういうことが対応として正しいのか、また医療におけるゲノムとは何なのかをしっかりと学びなおしたいと感じました。

(大学生) 

 



学生が臨床の場に出た際は、急性期や慢性期等のフィールドは問わず、映像のような確かな答えのない選択が必要な場面が存在することを、この映像からまず学んでほしいと感じました。

(大学教員) 

 



とても丁寧に作り込まれたことが伝わりました。とくにリアルであるという点が素晴らしいと思いました。トークも大変楽しく、質問も活発で活気がありました。

私は監督に質問してみたいことがあったのですが(ふたりの天田医師がサンドイッチを一つずつ分ける演出がリアルでとても良かった・・何を意図したのかなど)注:「Case4 未来からの選択肢 【ゲノム編集】」の中のシーン

DVDは、大学の図書館に購入希望を出します。チャンスがあれば私も講義で使ってみたいと思います。

(大学教員)

 


 

Case 3 救える命 【トリアージ】」は、コロナ化ではこのような難しく苦しい判断を医療者の方々はされていたのだなと思い、胸が痛みました。今回のコロナでクローズアップされた、年齢で命を選別して良いのかという問題について、年齢では判断するのは不公平だと思っていましたが、リアルな現場を見ることで、簡単には判断できない問題だと感じました。あの状況で最善を尽くすにはどうしたらよいのか、、と答えがなかなか出ませんでした。

(学生) 

 


 

本当に考えさせられる映像で、短時間でありながらも、引き込まれると言いますか、とても関心深い作品でした。

あまり詳しくはないですが、私は映画が好きでよく観に行くのですが、今回の作品の中での画角や構図と言いますか、観ていてとてもリアルで世界に入りやすい感覚がありました。また演者の方も皆さんそれぞれに個性を感じられる部分が演出されていて、とても良かったと思います。

内容に関しては、特にパンデミック下での「Case 3 救える命 【トリアージ】」が印象的でした。物語の中にACPや家族と本人の思いの葛藤、状況設定など細かないくつものドラマが織り込まれていて、同時に複数の倫理的な問題が生じ、混沌の中で決断を迫られるといった、実際に起こりうる情景がとてもリアルで、改めて考えさせられる内容でした。

(看護教員)

 


 

私は最初に拝見したストーリー(注:「Case2 「本人」の意思 【アドバンスケアプランニング】」)が印象的でした。まさしく看護師の価値観の押し売りのように感じました。患者を人として見ているのか、寄り添うとはなんなのかと思いました。実は一番患者さんの近くにいる看護師が一番物事が見えていないのかもしれないと気づきました。こうした気づきが第一歩なのだと考えます。

(看護教員)

 


  

一見、対照的にも思える最初と最後の患者さんのお話は、(注:「Case4 未来からの選択肢 【ゲノム編集】」)どちらも私が患者となったら当てはまるだろうな…と考えながら拝見しました。(治療の選択肢はわからないことが多いのでお任せしたいという気持ちもあります。にもかかわらず、自分が最新の情報を知ったら、とにかく試してみたくなると思います)

(会社員)

  


  

現在、私は基礎看護学に在籍しており、主に1年次生を対象に講義をしておりますが、上映会の映像がとても印象的であったため大学の講義に活かしたいと考えています。

(大学教員) 

 


 

姪(看護師)と二人で参加いたしました。

生命倫理の映像は3編とも考えさせられる内容でした。

ACP(注:「Case2 「本人」の意思 【アドバンスケアプランニング】」)では、臨床現場では良く出会う患者さんだと思います。田辺さんが受診されなかったのは、その後どこかで亡くなられたのではないか・・・と思いました。

トリアージ(注:「Case 3 救える命 【トリアージ】」)では、両方の患者を救う手立てを試みると思いますが、災害時であるという言葉はとても重い言葉だと思い、どこでも起こりうること、現実にあることと思います。

ゲノム編集(注:「Case4 未来からの選択肢 【ゲノム編集】」)は、もし自分の家族だったらと・・・いう思いが強く出ました。かすかな望みにもかけたいという思い。

映像は、様々な感情を呼び起こし、考えさせられる素材だと思いました。正解はないけど、答えを出さないとならないこともある。それは考えた結果の答えだと納得するのだろうと思います。(後悔することも多々あると思いますが・・・)

(病院勤務)

 


 

 

 

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