内容紹介
本書は,現代の解析学を支える大きな礎石のひとつである測度と積分論について,その基本事項を函数解析学との接点とともに丁寧に解説した.また,積分論に基づく函数空間の基本事項およびいくつか特殊な主題(可積分函数空間の弱位相,可積分函数の空間上で定義される非線形積分作用素の連続性,確率測度のつくる空間の*弱位相)を詳述する.さらに,今日,数理経済学や,最適制御理論,発展方程式論,変分解析においても用いられる多価函数について,その可測性および積分の理論を解説する.
改訂にあたっては,旧版にあった誤記・誤植を訂正することに加えて,大きくは次の追加・変更を行った.第一に,Riesz-Markov-Kakutaniの定理を拡充し,より一般的に述べた.第二に,いわゆる測度の積分々解(Young測度)の基礎を最終章(第13章)として加えた.第三に,積分法における変数変換公式の証明法を簡便な方法に切り換えた.
目次
第一部 測度と積分
第1章 測度
§1.可測空間と測度
§2.外測度と測度の拡張
§3.測度ゼロの集合と非可測集合の例
付記:選択公理
第2章 可測函数
§1.可測函数
§2.概収束と測度収束
第3章 積分
§1.積分の定義
§2.収束定理
§3.Fubiniの定理
§4.Riemann積分とLebesgue積分
第4章 測度としての積分
§1.複号測度
§2.Radon–Nikod´ymの定理
第5章 R^l上の積分
§1.有界変動函数の微分可能性
§2.微分積分学の基本定理
§3.変数変換の公式
第二部 函数空間
第6章 可積分函数の空間
§1.可積分函数の空間:L^p(X, R)
§2.L^p(X, R) の双対空間
第7章 L^1における弱コンパクト性と非線形積分汎函数の連続性
§1.L^1(X, R) における弱相対コンパクト性
§2.非線形積分汎函数の連続性
第8章 連続函数空間の双対と確率測度の∗弱収束
§1.連続函数の空間の双対――Riesz–Markov–Kakutani の定理
§2.確率測度の∗弱収束(その1)
§3.確率測度の∗弱収束(その2)
第9章 Bochner積分とベクトル測度
§1.Bochner積分
§2.ベクトル測度
第三部 多価函数
第10章 位相数学からの準備
§1.コンパクト集合族
§2.Polish空間とSouslin空間
第11章 可測多価写像の理論
§1.多価写像の可測性
§2.可測選択子とCastaing表現
§3.射影定理,Sainte-Beuveの定理の証明
§4.Filippovの可測陰函数定理
第12章 多価写像の積分
§1.積分の定義とその基本性質
§2.F_Γの端点――Karlin–Castaingの理論
§3.収束定理
第13章 測度の積分々解
§1.測度の可測族
§2.L_1(Ω, C_∞(X, R)) の双対
§3.積分々解定理
付論I 位相空間
§1.位相
§2.収束
§3.連続函数
§4.位相の生成と直積空間
§5.Urysohnの定理と距離づけ定理
§6.コンパクト
§7.多価写像の連続性
付論II 函数解析
§1.群
§2.線形位相空間
§3.有界線形作用素
§4.凸集合の幾何学
§5.弱位相と*弱位相
参考文献
人名索引
事項索引
出版社からのメッセージ
本書は『積分と函数解析』(2006年1月刊)の改訂版です。
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