内容紹介
本書は,調和解析(Fourier解析)の抽象化の議論を追うことによって,局所コンパクト位相群上に拡張された抽象調和解析の基礎事項を整理したものである.本書の狙いとしては次の2つがある.
第一には,Bochnerの定理,スペクトル合成,Plancherelの定理,Pontrjaginの双対性定理といった事例の抽象化を紹介することで,古典調和解析との対比を読者に促し,抽象調和解析の基礎が明確になるよう努めた(第5章).
第二には,第一の狙いを達成するために必要となる理論について,過不足なく厳密な説明を行ったことである.具体的には,位相群の基礎理論(第1章)はもちろんのこと,Banach代数(第2章)やHaar測度の存在や運用(第3,4章)について,基礎的事項から解説している.
目次
序
第1章 位相群
1 群
2 位相群の概念
3 位相群の位相
4 距離づけ定理
5 位相群の準同型写像
6 位相群の部分群
7 位相群の商群
第2章 Banach 代数
1 定義と例
2 位相群A^{−1}
3 スペクトル
4 極大イデアル
5 Gelfandの表現論
第3章 局所コンパクト空間上の積分
1 外測度
2 C_0(X, C)上の正値線形汎函数
3 C^+(X, R) 上の汎函数
4 一般の非負函数への拡張
5 外測度の構成
6 零集合
7 可測集合
8 積分(その1)
9 Radon–Nikodymの定理およびLusinの定理
10 積分(その2)
記号覚え書
第4章 Haar測度
1 Haar積分
2 Haar測度の存在
3 別証
4 Modular函数
5 閉イデアルとしてのL^1(G, C)
6 準同型写像の可測性と連続性
第5章 抽象調和解析
1 指標群
2 指標群の位相
3 Fourier変換
4 Bochnerの定理
5 スペクトル合成
6 Plancherelの定理
7 Pontrjaginの双対性定理
参考文献
索引
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