内容紹介
本書は格子上の場の理論に関する基礎的な教科書。第I部の基礎編は、格子理論の定義から始まり、その基礎的な概念や特徴を解説。格子理論で一番重要な概念「連続極限」の説明後、格子理論がその有効性を発揮する場合の格子ゲージ理論を定義から詳説。後半では、格子上のフェルミオンを取り扱う。現在も研究が進行中のホットな話題の重要な内容を厳選。 第II部は格子QCDの数値計算の実践編「モンテカルロ法によるハドロン質量の計算」を解説。熱浴法の一般原理と応用、ハイブリッド・モンテカルロ法の原理と実際の応用を紹介。一連の手順で得られたハドロン質量のクォーク質量に対する依存性から物理的なクォーク質量を決める方法を述べ、具体例で実際にその方法を適用。最後にハドロン質量以外の物理量としてハドロンの行列要素の計算方法を簡単に触れる。付録に、重要な点の幾つかを掲載。格子上の場の理論の研究の教科書・参考書として好適の書。
目次
第I部 格子理論:基礎編 第1章 格子上の場の理論とは? 第2章 格子上の場の理論の連続極限 第3章 繰り込み群と連続極限 第4章 格子上のゲージ場の理論 第5章 格子フェルミオン 第6章 ウィルソン・フェルミオンを用いた格子QCDの解析 第7章 新しいフェルミオンの定式化:ドメインウォール・フェルミオン 第8章 ギンスパーグ・ウィルソン関係式とカイラル対称性 第9章 第II部のまとめ第III部 実践編:モンテカルロ法によるハドロン質量の計算 第10章 基本的な手順 第11章 ゲージ場U の生成 (モンテカルロ法) 第12章 確率過程とモンテカルロ計算法 第13章 クォーク伝搬関数 第14章 ハドロン質量の評価法 第15章 フィットと誤差解析 第16章 ハドロン質量のクォーク質量依存性および連続極限 第17章 パイ中間子の崩壊定数の計算付録A d 次元λφ4理論の繰り込み変換の計算付録B 長方形のループを含む格子ゲージ理論の作用の連続極限付録C Elitzurの定理付録D ウィルソン・フェルミオンによるカイラル・アノマリーの計算付録E N → ∞でのSU(N)積分付録F 格子 Gross-Neveu 模型の解析付録G ドメインウォール・フェルミオンの伝搬関数の計算付録H ドメインウォール・フェルミオンに対するウォード・高橋恒等式の導出付録 I ドメインウォール・フェルミオンを用いたoverlap 演算子の導出付録J GW関係式を満たす演算子の固有値と固有関数付録K ゲージ固定の計算方法付録L 参考文献