内容紹介
最近発見されたヒッグス粒子は果たして標準模型のものなのか。現時点で明らかではないそうした問題意識に基づき、これまでに提案されてきた標準模型を超える理論の代表的なシナリオについて、その基本的なアイデアを紹介し、本質的に重要と思われる概念や事項に焦点をしぼって議論する。 また、標準模型を超える理論を強く動機づけているニュートリノ質量とそれにより引き起こされるニュートリノ振動の話題についても解説している。
目次
第1章 素粒子の標準模型
1.1 クォーク,レプトンと素粒子の四つの相互作用
1.2 標準模型
1.3 SU(2)Lはなぜ必要?
1.4 U(1)Yはなぜ必要?
1.5 ヒッグスはなぜ必要?
1.6 ゲージ対称性の自発的破れとNGボソン
1.7 NGボソンの非線形実現
1.8 ヒッグス機構
1.9 世代の導入と世代間混合,FCNC過程
1.10 CP対称性の破れと3世代模型――小林‐益川模型
第2章 標準模型の抱える問題点
第3章 ニュートリノ質量とニュートリノ振動
3.1 スピノールの2成分表示とスピノールのタイプ
3.2 三つのタイプのニュートリノ
3.3 小さなニュートリノ質量のモデル
3.4 レプトンセクターにおけるフレーバー混合
3.5 真空中のニュートリノ振動
3.6 物質中の共鳴的ニュートリノ振動
3.7 3世代模型におけるニュートリノ振動
3.8 大気ニュートリノ異常および太陽ニュートリノ問題
第4章 大統一理論
4.1 ひな形としてのSU(5)GUT
4.2 running couplingとGUTスケール,ワインバーグ角
4.3 バリオン数の保存則を破る相互作用と陽子崩壊
4.4 宇宙における物質の起源とGUT
第5章 階層性問題
5.1 古典レベルでの階層性問題
5.2 量子レベルでの階層性問題
第6章 超対称理論
6.1 超対称性と素粒子物理学
6.2 超対称性の代数と群
6.3 超空間と超場の導入
6.4 カイラル超場
6.5 Wess-Zumino模型
6.6 ベクトル超場
6.7 超対称ヤン‐ミルズ理論
6.8 MSSM
6.9 超対称性の自発的破れ
第7章 余剰次元をもつ高次元理論
7.1 統一場理論(カルツァ‐クライン理論)
7.2 ヒッグス的機構
7.3 高次元とフェルミオンのカイラリティ
7.4 コンパクト化と場の境界条件
7.5 大きな余剰次元の理論
7.6 ランドール‐サンドラム理論
7.7 universal extra dimension
7.8 ゲージ・ヒッグス統一理論
第8章 ヒッグス粒子の複合模型
8.1 テクニカラー
8.2 dimensional deconstruction
8.3 little Higgs
第9章 ヒッグス粒子発見の意味するもの
9.1 ヒッグス粒子の発見
9.2 決定されたヒッグス質量の意味するもの
9.3 ヒッグスの以上相互作用
第10章 標準模型を超える理論の精密テスト
10.1 BSM理論の間接的検証
10.2 S,T ,Uパラメータ
10.3 FCNC過程による精密テスト