内容紹介
モノとしての書物(メディア)を通して、「文献文化」および「知の枠組み」を考察するテキスト。世界の各地域・時代において、文献はどのような媒体(メディア)に載せられ、どのように読まれてきたかについて、図版も豊富に交えながら解説する。具体的には、「媒体(メディア)の制約と文献の仕組み」「媒体(メディア)の特性と知の枠組み」という切り口から「書物」にまつわる様々な現象を読み解く。
目次
第1章 東洋の書物史
1 文字の発生から紙の発明まで:中国の書物史I
●漢字はいつコミュニケーションの道具となったか(著者と読者の関係)
――甲骨文字という記号
●知の編成
2 紙の普及と抄本の時代:中国の書物史II
●神の普及とその影響
●文字支持体の制作費低減と文献の拡大
●装丁の変遷
●紙普及に関わる書物の文化史
3 印刷以後:中国の書物史III
●印刷の始まりと展開
●民間出版の隆盛
●文献世界を把握する
4 朝鮮出版文化の始まりとその展開:朝鮮の書物史
●古代三国(前57〜686)と統一新羅(677〜935)
●高麗時代(918〜1392)
●朝鮮時代(1392〜1910)
コラム1 漢籍を求めて日本へ
コラム2 社会的ステータスと蔵書文化:中国と日本
第2章 日本の書物史
1 日本の書物の始まり
●日本の書物の起源
●本格的文献の発生
2 本を書く:さまざまな写本
●古典の写本
●草稿本・自筆本
●刊本の転写
●写本の絵本
●実録写本
●日記・記録
●紙背文書
3 印刷と出版の歴史
●一枚もの木版(製版)による印刷
●活字の登場
●出版のひろがり
4 書物のつくりとその用途:装丁
●巻く――巻いてつくる本
●折る――折ったり、それを糊付けしてつくる本
●綴じる――糸で綴じる本
コラム3 書物の読まれ方
コラム4 「ローマ字」と「ローマ字入力」
コラム5 カラオケとMMO
第3章 オリエントの書物史
1 記憶と知の継承:エジプトの書物史
●4つの文字と媒体のコンビネーション――目的と用途
●「書物」の存在/知の蒐集――収蔵と管理について
2 楔形文字と粘土板:メソポタミアの書物史
●楔型文字の誕生
●楔形文字の伝播
●書材としての粘土板
●アーカイブとライブラリー
●ニネヴェの発掘と「アッシュルバニパル図書館」
●アッシュルバニパルと書記術
●「アッシュルバニパル図書館」の文書蒐集
●「アッシュルバニパル図書館」の始まりと終焉
コラム6 書かれたものとイスラーム
第4章 西洋の書物史
1 ギリシャ・ローマ時代
●媒体手段としての蝋版、獣皮、パピルス
●巻子本の成立
●出版業の成立
●図書館の成立
●巻子本から冊子本への移行
2 中世以後の欧州の書物
●キリスト教の伝播
●中世型大学の出現
●写本文化の隆盛
●書物に対する考え方
3 活版印刷以後の書物
●グーテンベルク 『42行聖書』
●1500年代ヨーロッパの印刷物の状況
●人文主義者の活躍
●宗教改革と反宗教改革
●ラテン語書籍の衰退化と聖書の日常言語化
●クリストフ・プランタンの『多言語聖書』
●17世紀の出版状況
●18世紀の出版状況
●19世紀の出版状況
コラム7 グーテンベルク『42行聖書』の出版とアジアへの変遷
コラム8 焚書と禁書
コラム9 草稿研究
コラム10 円形図書館と書籍評価サイト
第5章 近代・現代のメディア史
1 東洋の近代化と印刷
コラム11 書物の東西交流:近世・近代の中・欧間の書物の往き来
コラム12 編集と組版のあいだ
コラム13 21世紀の活版印刷ルネサンス
2 コンピュータのメディア
●データベースの登場
●図書館で
●日本語の壁
●紙か電子か
●記録媒体
●データ量
コラム14 書籍の電子化
コラム15 光ディスクファイルシステム:OAの黒歴史
コラム16 縁穴カードとピーカブー
3 音のメディア
●エジソンとベルリナー
●電気き吹込み
●蓄音機は電蓄に
●多様な録音方式
●LPレコード
●電蓄はステレオに
●マルチトラック、マルチチャンネル録音
●デジタル録音
●メディアと曲の関係
4 画像・映像のメディア
●写真技術
●活動写真
●アニメ
●無声映画
●映画、映写機の仕組み
●トーキー
●ニュース映画
●テレビからビデオへ
●技術の進歩
●絵の出るレコード
コラム17 「ひょっこりひょうたん島熱中記」と「スヴェトラーノフの悲愴」
コラム18 失われた映画音楽
第6章 知っておきたい書物の雑学
1 執筆と読書
2 文書と記録
●文書と記録と編纂物・著作物
●機能論
●1次史料と2次史料
●研究論文・史料整理と歴史的時間軸
3 個人蔵書と図書館
●日本の図書館の時代区分
●図書館史
●米国の個人蔵書と図書館
●米国議会図書館の歴史
●国会と図書館
●個人文庫と図書館:蔵書票と蔵書印の発祥と発達の歴史
4 出版と流通
●出版の倫理綱領とその定義と機能そして特徴
●現代社会のコミュニケーションとは
●日本出版販売(日販)の戦略
●書籍・雑誌と電子書籍の出版販売の相違について
●再販制度について
●学術出版における、資料取集と出版流通
●出版文化と流通の広がり
●貝原益軒の思想と出版メディア
コラム19 帳簿というメディア
コラム20 楽譜と演奏
コラム21 思考の抽象化と形式化:数式の世界
コラム22 看板文字の誘惑
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