内容紹介
本書は、著者ナイアがコロンビア大学とニューヨーク市立大学で行った場の量子論の講義をもとに書き下ろした教科書(原著は2004年刊行)。場の量子論のごく入門的な部分から解きほぐし、さまざまなトピックスを現代的な視点から系統的に概観することが目指した一冊。この基礎編では、場の量子論の標準的な内容が扱われており、特に汎関数積分表示による摂動的な場の理論の取り扱い方に重点が置かれている。この表示法を習得することで、ゲージ理論や自発的対称性の破れを場の理論として系統的に理解することができ、特に、素粒子物理学の標準模型の理解に役立つ好著。
目次
第1章 相対論的量子力学のまとめ
1.1 表記法
1.2 スピン0粒子
1.3 ディラック方程式
第2章 場の構成法
2.1 粒子と場の対応関係
2.2 スピン0ボーズ粒子
2.3 ラグランジアンとハミルトニアン
2.4 汎関数微分
2.5 フェルミ粒子の場の演算子
第3章 正準量子化
3.1 ラグランジアン,相空間,ポアソン括弧
3.2 量子化の規則
3.3 自由スカラー場の量子化
3.4 ディラック場の量子化
3.5 対称性と保存則
3.6 エネルギー運動量テンソル
3.7 電磁場
3.8 エネルギー運動量テンソルと一般相対論
3.9 スカラー場の光錐量子化
3.10 マクスウェル方程式の共形不変性
第4章 交換子と伝播関数
4.1 スカラー場の伝播関数
4.2 フェルミ粒子の伝播関数
4.3 グラスマン数とフェルミ粒子の生成汎関数
第5章 相互作用とS 行列
5.1 S行列の一般公式
5.2 ウイックの定理
5.3 S行列の摂動展開
5.4 崩壊確率と散乱断面積
5.5 スカラー場以外への一般化
5.6 N点関数の演算子公式
第6章 電磁場
6.1 量子化と光子
6.2 荷電粒子との相互作用
6.3 量子電磁力学(QED)
第7章 散乱過程の例
7.1 光子と荷電スカラー粒子の散乱
7.2 クーロン場での電子散乱
7.3 媒質中での低速中性子散乱
7.4 コンプトン散乱
7.5 π0中間子の崩壊
7.6 チェレンコフ放射
7.7 p中間子の崩壊
第8章 汎関数積分表示
8.1 ボソン場の汎関数積分
8.2 汎関数積分としてのグリーン関数
8.3 フェルミ粒子の汎関数積分
8.4 S行列汎関数
8.5 ユークリッド化とQED
8.6 非線形シグマ模型
8.7 連結グリーン関数
8.8 量子的な有効作用
8.9 有効作用とS行列
8.10 ループ展開
第9章 繰り込み
9.1 繰り込みの一般的な手続き
9.2 スカラー場の理論の1ループ繰り込み
9.3 繰り込まれた有効ポテンシャル
9.4 次数の数え上げ規則
9.5 QEDの1ループ繰り込み
9.6 高次の繰り込み
9.7 カウンター項と繰り込み群方程式
9.8 スカラー場の繰り込み群方程式
9.9 繰り込み群方程式の解と臨界現象
第10章 ゲージ理論
10.1 ゲージ原理
10.2 平行移動
10.3 電荷とゲージ変換
10.4 ゲージ理論の汎関数量子化
10.5 具体例
10.6 BRST対称性と物理的状態
10.7 対称性に関するウォード‐高橋恒等式
10.8 非アーベル型ゲージ理論の繰り込み
10.9 フェルミオン作用とQED再考
10.10 伝搬回数と有効電荷
第11章 対称性
11.1 対称性の表示法
11.2 ウォード‐高橋恒等式
11.3 電磁力学のウォード‐高橋恒等式
11.4 離散的対称性
11.5 コンプトン散乱の低エネルギー定理
第12章 自発的対称性の破れ
12.1 連続的大域対称性の自発的破れ
12.2 基底状態の直交性
12.3 ゴールドストンの定理
12.4 コセット空間
12.5 非線形シグマ模型
12.6 南部‐ゴールドストン粒子の動力学
12.7 自発的対称性の破れに関する結果のまとめ
12.8 スピン波
12.9 QCDにおけるカイラル対称性の破れ
12.10 QCDカイラル対称性の破れの有効作用
12.11 有効ラグランジアンとS行列のユニタリー性
12.12 ゲージ対称性とヒッグス機構
付録 相対論的不変性
A‐1 ポアンカレ代数
A‐2 ポアンカレ代数のユニタリー表現
A‐3 質量粒子
A‐4 スピン0粒子の波動関数
A‐5 スピン1/2粒子の波動関数
A‐6 スピン1粒子
A‐7 無質量粒子
A‐8 位置演算子
A‐9 等長変換,ユニオン
出版社からのメッセージ
本書は、2009年12月にシュプリンガー・ジャパン株式会社より出版された同名書籍を再出版したものです。