内容紹介
相対論的量子力学を学ぶための教科書。I巻で典型例を具体的に解くことで古典論と異なる考え方や手法を身につけたのに続き、II巻では、量子力学と相対論を融合して場の量子論へ至る過程を学ぶ。まず、スピン角運動量の解説から始め、相対論に基づく量子力学の定式化、特にディラック方程式の理論を解説し、さらにその発展としての場の量子論へと進む構成となっている。
目次
1 スピン
1.1 スピンの量子性
1.2 スピン角運動量の合成
1.3 スピンと統計
1.4 同種粒子系の波動関数
1.5 調和振動子の生成消滅演算子表示
1.6 角運動量のシュヴィンガー表示
2 特殊相対論と量子力学
2.1 特殊相対論
2.2 電磁場中での荷電粒子の運動
2.3 非相対論量子力学のまとめ
3 クライン‐ゴルドン方程式
3.1 相対論的量子力学の試み
3.2 クライン‐ゴルドン方程式の自由粒子解
3.3 負エネルギー解の解釈
3.4 自由粒子解の非相対論極限
3.5 クーロン力による束縛状態
4 ディラック方程式
4.1 電子の磁気双極子モーメント
4.2 ディラック方程式
4.3 ディラック方程式のハミルトニアン
4.4 平面波解
4.5 保存する流れ
4.6 電磁場中でのディラック方程式
4.7 非相対論的極限
5 ディラック方程式のローレンツ共変性
5.1 共変性:非相対論におけるスピンの場合
5.2 ローレンツ共変性
5.3 ディラック・スピノルの空間回転変換
5.4 ディラック・スピノルのローレンツ・ブースト変換
5.5 ローレンツ不変量
5.6 空間反転に対する性質:パリティ
5.7 双一次形式の性質
6 ディラック方程式の解とその性質
6.1 ローレンツ変換によって得られる平面波解
6.2 ハミルトニアンと交換する保存量
6.3 ディラック粒子の速度演算子
6.4 スピンと軌道角運動量
6.5 負エネルギー解の解釈とディラックの空孔理論
6.6 荷電共役変換
6.7 反粒子の固有パリティ
7 水素原子の問題
7.1 球対称静電場中のディラック粒子
7.2 スピノル球関数
7.3 クーロン力による束縛状態
7.4 水素原子のエネルギー単位
8 場の量子論
8.1 クライン‐ゴルドン場の量子化
8.2 場の理論のラグランジアン形式
8.3 ディラック場の量子化
8.4 電磁場の量子化
8.5 摂動論による遷移確率
8.6 電磁波の放射
付録 A.1 クロネッカー・デルタ,反対称テンソル,パウリ行列
A.2 ディラックのガンマ行列
A.3 クレプシュ‐ゴルダン係数