接触と摩擦の物理学

接触と摩擦の物理学

原書名 Contact Mechanics and Friction: Physical Principles and Applications, 2nd Ed
著者名 中野 健
発行元 丸善出版
発行年月日 2023年01月
判型 A5変
ページ数 354ページ
ISBN 978-4-621-30771-7
Cコード 3042
NDCコード 423
ジャンル 物理学 >  応用物理
機械・金属・材料 >  機械工学一般

内容紹介

世界で最も読まれているトライボロジーの名著を日本語に完訳。接触力学に軸足を置き、固体摩擦の本質を鮮やかに説明する本書は、原子レベルの摩擦から、地球サイズの地震に至るまで、あらゆるスケールにおける摩擦現象(およびその関連現象)を理解するためのガイドとして、理工系の様々な分野で参考となる一冊である。

目次

第1章 はじめに
 1.1. 接触と摩擦:現象と応用
 1.2. 接触と摩擦の物理学の歴史
 1.3. 本書の構成
第2章 接触問題の定性的な解法:凝着のない接触
 2.1. 材料特性
 2.2. 簡単な接触問題
 2.3. 半無限弾性体の接触問題
 問 題
第3章 接触問題の定性的な解法:凝着を伴う接触
 3.1. 物理的な背景
 3.2. 曲面に働く凝着力
 3.3. 弾性体に働く凝着力
 3.4. 凝着に及ぼす表面粗さの影響
 3.5. 粘着テープ
 3.6. Van der Waals 力と表面エネルギー
 問 題
第4章 毛管力
 4.1. 表面張力と接触角
 4.2. 接触角のヒステリシス
 4.3. 圧力と曲率半径
 4.4. 毛管架橋
 4.5. 球と平面の間に働く毛管力
 4.6. 粗面と接触する液体
 4.7. 毛管力とトライボロジー
 問 題
第5章 接触問題の厳密な解法:凝着のない接触
 5.1. 表面力を受ける半無限弾性体の変形
 5.2. Hertz の接触理論
 5.3. 曲面を持つ弾性体同士の接触
 5.4. 円錐圧子と半無限弾性体の接触
 5.5. Hertz 接触の内部応力
 5.6. 次元削減法
 問 題
第6章 接触問題の厳密な解法:凝着を伴う接触
 6.1. JKR 理論
 6.2. 次元削減法
 問 題
第7章 粗面の接触
 7.1. Greenwood-Williamson モデル
 7.2. 突起の塑性変形
 7.3. 電気接点
 7.4. 熱接点
 7.5. 接触剛性
 7.6. シール
 7.7. 粗さと凝着
 問 題
第8章 接線力を伴う接触問題
 8.1. 接線力を受ける半無限弾性体の変形
 8.2. 接線力分布を受ける半無限弾性体の変形
 8.3. 接触面が滑らない場合
 8.4. 接触面が滑る場合
 8.5. 部分滑りが生じない場合
 8.6. 次元削減法
 問 題
第9章 転がり接触
 9.1. 転がり接触の定性的な議論
 9.2. 転がり接触の応力分布
 問 題
第10章 Coulomb の摩擦則
 10.1. はじめに
 10.2. 静摩擦と動摩擦
 10.3. 摩擦角
 10.4. 摩擦係数の接触時間依存性
 10.5. 摩擦係数の法線力依存性
 10.6. 摩擦係数の滑り速度依存性
 10.7. 摩擦係数の表面粗さ依存性
 10.8. 摩擦の起源に関するCoulomb の見解
 10.9. Bowden とTabor の理論
 10.10. 摩擦係数の温度依存性
 問 題
第11章 乾燥摩擦:Prandtl-Tomlinson モデル
 11.1. はじめに
 11.2. Prandtl-Tomlinson モデルの基本特性
 11.3. 弾性不安定性
 11.4. 超潤滑
 11.5. ナノマシン:超微小なアクチュエータの概念
 問 題
第12章 摩擦励起振動
 12.1. 速度弱化型の摩擦力により生じる不安定性
 12.2. 弾性体に生じる不安定性
 12.3. 臨界減衰と完全吸収
 12.4. 不安定性の能動制御
 12.5. スキール音の強度
 12.6. 安定性に及ぼす剛性の影響
 12.7. スプラッグスリップ
 問 題
第13章 接触部の摩擦熱
 13.1. はじめに
 13.2. 微小接触部の閃光温度
 13.3. 摩擦熱により生じる不安定性
 問 題
第14章 潤 滑
 14.1. 平行平板間の流れ
 14.2. 流体潤滑
 14.3. 粘性凝着
 14.4. 潤滑油のレオロジー
 14.5. 境界潤滑
 14.6. 弾性流体潤滑
 14.7. 固体潤滑剤
 問 題
第15章 エラストマーの粘弾性
 15.1. はじめに
 15.2. 応力緩和
 15.3. 複素弾性率
 15.4. 複素弾性率の性質
 15.5. 粘弾性体のエネルギー散逸
 15.6. 複素弾性率の測定
 15.7. レオロジーモデル
 15.8. ゴムのレオロジーモデル:標準モデル
 15.9. レオロジー特性に及ぼす温度の影響
 15.10. マスターカーブ
 15.11. Prony 級数モデル
 15.12. 次元削減法
 問 題
第16章 エラストマーの接触と摩擦
 16.1. エラストマーと粗面の摩擦
 16.2. 転がり抵抗
 16.3. 凝着を伴うエラストマーの接触
 問 題
第17章 摩 耗
 17.1. はじめに
 17.2. アブレシブ摩耗
 17.3. 凝着摩耗
 17.4. 低摩耗の条件
 17.5. 摩擦領域からの物質移動
 17.6. エラストマーの摩耗
 問 題
第18章 摩擦に及ぼす振動の影響
 18.1. 巨視的な視点
 18.2. 微視的な視点
 18.3. 静摩擦に及ぼす超音波振動の影響
 18.4. 動摩擦に及ぼす超音波振動の影響
 問 題
第19章 接触と摩擦の数値計算法
 19.1. 多体系
 19.2. 有限要素法
 19.3. 境界要素法
 19.4. 境界要素法:接線力を伴う接触
 19.5. 境界要素法:凝着を伴う接触
 19.6. 粒子法
 19.7. 次元削減法
第20章 地震と摩擦
 20.1. はじめに
 20.2. 地震の定量化
 20.3. 岩石の摩擦則
 20.4. 速度状態依存型摩擦則と安定性
 20.5. 地震の核形成と余効滑り
 20.6. 前震と余震
 20.7. 粒状体の連続体力学と断層の構造
 20.8. 地震の予知は可能か?
 問 題
付 録
 付録A. 代表的な圧力分布による法線変位
 付録B. 軸対称体の接触
 付録C. 軸対称体の接触:凝着を伴う場合
 付録D. 軸対称体の接触:接線力を伴う場合
参考文献
索 引

定価:5,500円
(本体5,000円+税10%)
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