植物生化学

植物生化学

原書名 PFLANZENBIOCHEMIE
著者名 金井 龍二
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年06月
判型 B5 257×182
ページ数 526ページ
ISBN 978-4-621-06547-1
Cコード 3045
ジャンル 生物・生命科学 >  動物学・植物学

内容紹介

専門的な的確さと斬新さ、叙述の明解さと理解しやすさを兼ね備えた植物の生化学・分子生物学の最新テキスト。光合成・一次代謝と二次代謝・植物ホルモン・分子遺伝学や遺伝子技術など、植物の生理・生化学から分子生物学まで、詳細にかつバランスよくまとめられている。見やすい2色刷と多数の図版が内容の理解を助ける。

目次

序章
第1章 葉細胞の代謝系はいくつかの区画に分かれている
 1.1 細胞壁は植物細胞
 1.2 液胞にはさまざまな機能がある
 1.3 色素体の起源はシアノバクテリアである
 1.4 ミトコンドリアも内部共生により生じた
 1.5 ペルオキシソーム内で有毒な中間産物が生じる反応系が行われる
 1.6 小胞体とゴルジ体は生合成産物を分配するためのネットワークである
 1.7 植物細胞から完全に機能する細胞オルガネラが単離できる
 1.8 代謝区間の間で物質交換を助けるさまざまな輸送のしくみがある
 1.9 トランスロケーターは代謝基質や産物を特異的に輸送する
 1.10 イオンチャンネルは輸送能力が非常に高い
 1.11 ポーリンはβシート構造で組み立てられている
第2章 光合成による太陽エネルギー利用は地球上の生命の基礎である
 2.1 どのようにして光合成は始まったか?
 2.2 太陽光のエネルギーは色素によってとらえられる
 2.3 クロロフィル分子は光を吸収して励起状態になる
 2.4 光をとらえるためにアンテナが必要である
第3章 光合成は電子伝達過程である
 3.1 光合成装置はモジュールで組み立てられている
 3.2 光合成では還元剤と酸化剤が生じる
 3.3 光合成反応中心の基本構築はX線構造解析によって解明された
 3.4 反応中心はどのように機能するか?
 3.5 シアノバクテリアと植物の光合成では二つの光合成反応中心が直列に連なっている
 3.6 光化学IIによって水が分解される
 3.7 シトクロムb6/f複合体は光化学系IとIの間の電子伝達を仲介する
 3.8 光化学系IはNADPを還元する
 3.9 他に受容体がないときは,光化学系Iから電子は酸素に転移される
 3.10 二つの光化学系で捕らえられた光子のエネルギーを有効に分配するための調節過程がある
第4章 光合成ではATPが生産される
 4.1 ATP合成ではプロトン勾配が高エネルギー中間状態の役割をする
 4.2 脱共役剤により電気化学的プロトン勾配は熱となって解消される
 4.3 細菌,葉緑体やミトコンドリアのH+-ATPシンターゼは共通の基本構造をもつ
 4.4 ATP合成はタンパク質のコンホメーション変化によりひき起こされる
第5章 ミトコンドリアは細胞の発電所である
 5.1 生体酸化の前段階では,基質に結合した水素と二酸化炭素が離脱する
 5.2 ミトコンドリアは細胞呼吸の場である
 5.3 生体酸化の基質はマトリックス内で分解される
 5.4 NADHの酸化でどれだけのエネルギーが得られるか?
 5.5 ミトコンドリアの呼吸鎖は光合成の電子伝達鎖と共通性がある
 5.6 呼吸鎖の電子伝達はプロトン輸送を仲介にしてATP合成と共役する
 5.7 植物のミトコンドリアには特有の代謝機能がある
 5.8 ミトコンドリア代謝の区画化には特異な膜トランスロケーターが必要である
第6章 光合成のCO2同化経路はカルビン回路である
 6.1 CO2同化は光合成の暗反応で行われる
 6.2 リブロースビスリン酸カルボキシラーゼはCO2固定を触媒する
 6.3 3―ホスホグリセリン酸の還元によりトリオースリン酸ができる
 6.4 トリオースリン酸からリブロースビスリン酸が再生される
 6.5 還元的ペントースリン酸経路の他に酸化的ペントースリン酸経路もある
 6.6 酸化的および還元的ペントースリン酸は調節されている
第7章 Rubiscoのオキシゲナーゼ活性で生じたホスホグリコール酸は光呼吸経路によりリサイクルされる
 7.1 2-ホスホグリコール酸のリサイクルによりリブロース―1,5ビスリン酸が再生される
 7.2 光呼吸経路で放出されたアンモニウムイオンは効率よく再固定される
 7.3 ペルオキシソームはヒドロキシピルピン酸還元のため,外から還元当量の供給をうける
 7.4 ペルオキシソームのマトリックスは有害物質を解毒処理する
 7.5 植物にとってリブロースビスリン酸オキシゲナーゼ反応の経費はどれくらいかかるか?
 7.6 CO2補償点では純CO2固定は起こらない
 7.7 エネルギーを浪費する光呼吸経路は植物にとって役立つこともある
第8章 光合成は水利用と密接に関連している
 8.1 葉内にCO2を取り込む際に葉から水が水蒸気となって失われる
 8.2 気孔は葉のガス交換を調節する
 8.3 植物細胞内のCO2拡散
 8.4 C4植物のCO2同化はC3植物より水の消費が少ない
 8.5 多肉植物型の物質代謝[CAM]により多くの植物は極端な水不足に耐えて生き続ける
第9章 多糖類は光合成でつくられた炭水化物の貯蔵と輸送の役割をする
 9.1 デンプンの形で細胞内にきわめて多量の炭水化物が貯蔵できる
 9.2 ショ糖は細胞質で合成される
 9.3 光合成でできたトリオースリン酸の利用はきびしく調節されている
 9.4 葉の同化産物を糖アルコールまたはラフィノース族オリゴ糖の形で輸送する植物もある
 9.5 フルクタンは貯蔵物質として液胞に貯えられる
 9.6 セルロースは細胞膜の酵素により合成される
第10章 硝酸の同化は生体物質合成のために必要である
 10.1 硝酸からNH3への還元は二つの部分反応で行われる
 10.2 硝酸同化は根でも行われる
 10.3 硝酸同化はきびしく調節されている
 10.4 硝酸同化の終産物は多彩なアミノ酸である
 10.5 グルタミン酸はクロロフィルおよびシトクロム合成の出発物質である
第11章 N2固定により植物は空気中の窒素を利用できる
 11.1 マメ科植物は根粒細菌と共生関係をつくる
 11.2 N2固定が起こるのは酸素濃度が非常に低いときに限る
 11.3 窒素源としてN2を利用するとNO3-よりもエネルギー経費は高くつく
第12章 硫酸同化により硫黄化合物の合成が可能になる
 12.1 光合成により硫酸同化が起こる
 12.2 グルタチオンは抗酸化および有害物質の解毒に役立つ
 12.3 システインからメチオニンが合成される
 12.4 過剰な二酸化硫黄は植物にとって有害である
第13章 光合成産物は師部輸送により消費場所に運ばれる
 13.1 師部への積み込み方法は二つある
 13.2 師部輸送は分子集団の圧流によって行われる
 13.3 師部から積み下ろしてシンク組織に供給される
第14章 硝酸同化産物はタンパク質の形で植物体内に貯蔵される
 14.1 グロブリンは最も広く分布する貯蔵タンパク質である
 14.2 プロラミンは草本植物の貯蔵タンパク質である
 14.3 2Sタンパク質は双子葉植物の種子にある
 14.4 動物に食べられないゆに種子を防護するタンパク質がある
 14.5 貯蔵タンパク質の合成は粗面小胞体で行われる
 14.6 貯蔵タンパク質はプロテアーゼにより分解されアミノ酸が流通する
第15章 グリセロ脂質は膜構成要素としてはたらき、また炭素貯蔵の役割もする
 15.1 極性脂質は膜の構築素材である
 15.2 トリアシルグリセロールは貯蔵物質である
 15.3 新規の脂肪酸合成は色素体で行われる
 15.4 グリセロール―3―リン酸はグリセロ脂質合成の出発基質である
 15.5 トリアシルグリセロールは小胞体膜でつくられる
 15.6 発芽種子では貯蔵脂質から炭素の移動にグリオキシソームが関与する
 15.7 リポキシゲナーゼは芳香,防護,シグナル物質の合成に関与する
第16章 二次代謝産物は植物特有の生態的機能に役立つ
 16.1 二次代謝産物はしばしば病原微生物や草食動物に対する防護の役割をする
 16.2 アルカロイド類は多彩な複素環の二次代謝産物を含む
 16.3 多くの植物は動物により傷つけられると青酸を出す
 16.4 損傷により芳香のからし油を放出する植物もある
 16.5 植物は変わったアミノ酸をもつことで草食動物から身を守る
第17章 多彩なイソプレノイドがさまざまな植物代謝機能を果たす
 17.1 高等植物のイソプレノイド合成には二つの経路がある
 17.2 プレニルトランスフェラーゼはイソプレン単位の結合を触媒する
 17.3 空気中にイソプレンを放出する植物もある
 17.4 ゲラニルピロリン酸から奥の芳香物質が派生する
 17.5 ファルネシルピロリン酸はセスキテルペン生成の出発化合物である
 17.6 ゲラニルゲラニルピロリン酸は防護物質,植物ホルモンやカロテノイドの出発物質である
 17.7 多くの物質はプレニル側鎖をもつため膜に可溶性である
 17.8 イソプレノイド合成の調節
 17.9 イソプレノイドは非常に安定な物質である
第18章 フェニルプロパノイド類は植物の多彩な二次代謝産物と細胞壁構成要素を含む
 18.1 フェニルアラニンアンモニアリアーゼはフェニルプロパノイド代謝の最初の反応を触媒する
 18.2 フェノール合成にはモノオキシゲナーゼが関与している
 18.3 フェニルプロパンは重合して高分子になる
 18.4 フラボノイドとスチルベン生成のため,アセチル基から第二の芳香族環ができる
 18.5 フラボノイドは植物体内でさまざまな機能をする
 18.6 アントシアンは花の色素であり、植物を光阻害から守るのにも役立つ
 18.7 タンニンはタンパク質にしっかり結合して防護作用をする
第19章 さまざまなシグナルが協調して植物の成長や器官発達および環境変化への順応にはたらく
 19.1 動物で解明されたシグナル伝達鎖は植物シグナル伝達のモデルになる
 19.2 植物ホルモンには多種多様な物質が含まれる
 19.3 オーキシンは芽の伸長成長を促進する
 19.4 ジベレリンは茎の伸長成長を調節する
 19.5 サイトカイニンは細胞分裂を促進する
 19.6 アブシジン酸は植物の水利用を制御する
 19.7 エチレンは果実を成熟させる
 19.8 植物もステロイドホルモンのブラシノステロイドをもっている
 19.9 フィトクロムは光センサーとしてはたらく 
第20章 植物細胞には3種類のゲノムがある
 20.1 核内の遺伝子は多数の染色体に分配されている
 20.2 核ゲノムのDNAは3種類の特異的RNAポリメラーゼによって転写される
 20.3 DNA多型は植物育種の遺伝的識別マーカーとなる
 20.4 跳躍する遺伝子がゲノム中を放浪する
 20.5 たいていの植物細胞はウィルスを含む
 20.6 色素体は環状ゲノムをもつ
 20.7 植物ミトコンドリアのゲノムサイズは実にさまざまである
第21章 タンパク質の生合成はいろいろな場所で行われる
 21.1 タンパク質の合成はリボソームによって行われる
 21.2 タンパク質は折りたたみ方が制御されて固有の立体構造になる
 21.3 核にコードされたタンパク質はさまざまな細胞区画に分配される
第22章 遺伝子技術により農業、食糧や工業の需要に応じた植物がつくり出される
 22.1 遺伝子は単離される
 22.2 植物細胞は最近アグロバクテリウムにより形質転換される
 22.3 Tiプラスミドは形質転換ベクターとして利用される
 22.4 プロモーター選択により目的にかなう導入遺伝子の発現が可能になる
 22.5 形質転換により遺伝子発現を抑えることもできる
 22.6 植物の遺伝子技術はさまざまな分野に応用できる

出版社からのメッセージ

本書は、2000年6月にシュプリンガー・ジャパン株式会社より出版された同名書籍を再出版したものです。
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本書は、書籍からスキャナによる読み取りを行い、印刷・製本を行っています。
一部、装丁が異なったり、印刷が不明瞭な場合がございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
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定価:15,400円
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