内容紹介
インテリジェンス・ダイナミクス(動的知能学)は、脳科学で得られた知見を大幅に取り入れて「作り込みによる限界」を打破した新しいロボットの設計論を確立すること、そして、さらに精度の高いロボットの出現と、その自立システムを検証することによって、脳の計算モデルの理解を深め、脳科学の進展に貢献することを目的としている。身体性認知科学、認知発達ロボティクス、計算論的神経科学、構成論的脳科学などを統合し、共通の学問として世に問う。世界の第一人者たちが書き下ろす、注目のシリーズ第一巻。
目次
序章 人間とロボット
インテリジェンス・ダイナミクス
ロボットは意識をもつか?
人間の能力とロボットの進化
第1章 認知発達ロボティクスによる脳と心の理解
はじめに
発達の多様相
認知発達ロボティクス
強調行動学習における内部モデルの構築と学習スケジュール
行動学習のための環境の複雑度制御
ロボットと養育者の相互作用に基づく発達的学習モデルによる共同注視の獲得
視覚注視と自己評価型学習の機能に基づくブートストラップ学習を通した共同注視の創発
母子相互作用モデルに基づくロボットによる音声模倣
第2章 脳と人間型ロボットを創ることにより脳を知る
計算論的神経科学とは何か
モザイクとヒト知性
小脳内部モデルと教師あり学習
モザイクを支持する実験データ
階層モジュール強化学習
人間型ロボット研究の未来
第3章 力学系に基づく構成論的な認知の理解
認知における新しい視点:力学系に基づく構成論的アプローチ
ナビゲーション行動に伴う,認知マップの埋め込み学習
複数の運動スキーマの学習と生成
分節化と階層
言語と行動の相互作用的学習
見まねに基づく共同注意
議論
第4章 身体と運動と知能をつなぐ力学的情報処理
知能の構成論について
力学系の非線形挙動
力学的情報処理
ミメシスの統計的情報処理
第5章 デザインされた」自律行動 対 創発する自律行動
はじめに
小型ヒューマノイドロボットQRIO
自律行動をデザインする
記号に意味をもたせる:情動接地とEGOアーキテクチャ
創発する自律行動
自律行動全体の創発をめざして