内容紹介
地球物理学的観測データから地下の物質や物理条件を推定するためには岩石物性の理解が欠かせない。本書は岩石物性を学ぶための入門書である。通常、岩石は鉱物の集合体でモデル化され、その特性は物理学や物理化学を適用して解釈される。本書には岩石の力学物性や電磁物性、輸送特性、熱物性などを理解するために必要な物理的手法が体系的に記述されている。また、古典的な力学や電磁気学のほかに、フラクタルやパーコレーションなどの新しい概念も岩石物性の解釈に導入されている。地質学や地球観測学だけでなく、資源・環境、社会基盤などの工学分野に関連した岩石物性も扱っている。
目次
第Ⅰ章 岩石
Ⅰ．１ 鉱物と岩石
Ⅰ．２ 火成岩
Ⅰ．３ 堆積岩
第Ⅱ章 多孔質媒質
Ⅱ．１ 空隙率
Ⅱ．２ 空隙率の変遷
Ⅱ．３ 表面エネルギー
Ⅱ．４ 吸収と排出
Ⅱ．５ 表面吸着
Ⅱ．６ 表面粗さ
第Ⅲ章 不均質媒質
Ⅲ．１ ミクロ，ミニ，マクロのスケール
Ⅲ．２ 有効物性値の算出
Ⅲ．３ パーコレーション
Ⅲ．４ 割れ目を含む媒質のパーコレーション
第Ⅳ章 無水岩石の力学的性質
Ⅳ．１ 応力とひずみ
Ⅳ．２ 弾性的挙動
Ⅳ．３ 破壊
Ⅳ．４ 塑性
第Ⅴ章 流体の循環：浸透率
Ⅴ．１ ダルシーの法則と浸透率
Ⅴ．２ 浸透率モデル
第Ⅵ章 流体飽和岩石の力学的挙動
Ⅵ．１ 線形多孔質弾性論
Ⅵ．２ 破壊
Ⅵ．３ 塑性
第Ⅶ章 音波（弾性波）物性
Ⅶ．１ 弾性波測度
Ⅶ．２ 弾性波の減衰
Ⅶ．３ 弾性波測度異方性
第Ⅷ章 電気伝導
Ⅷ．１ 法則と物性プロセス
Ⅷ．２ 岩石の伝導度
Ⅷ．３ 伝導度モデル
第Ⅸ章 誘電特性
Ⅸ．１ 誘電分極
Ⅸ．２ 電磁波
Ⅸ．３ 岩石の誘電特性
第Ⅹ章 熱伝導
Ⅹ．１ 熱伝導の法則
Ⅹ．２ 鉱物の熱伝導度
Ⅹ．３ 岩石の熱伝導
第Ⅺ章 磁気特性
付録：記号一覧
