数学の認知科学

数学の認知科学

著者名 植野 義明
重光 由加
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年12月
判型 四六 188×128
ページ数 664ページ
ISBN 978-4-621-06504-4
Cコード 3041
NDCコード 410
ジャンル 数学・統計学 >  数学一般・基礎数学
数学・統計学 >  数学読み物 >  その他数学読み物

内容紹介

☆著者のジョージ・レイコフは、認知言語学の創設者の一人であり、すでに『レトリックと人生』、『肉中の哲学』、『認知意味論』など主要著書が邦訳。 本書は、数学の概念の美しさに長年魅せられてきた著者達が、数学的概念や抽象的概念とはどういうもので、人間はそれをどのようにして体得していくのかを論じた。たとえば、有限であるはずの人間が、どうして無限を扱ったり理解したりできるのかを、数学的概念の無限を通して、わかりやすく説明。さらに、言語心理学的な立場から、数学をする脳が人間に生得的であるのか?や、数学は人間固有の文化であるのか?など興味深い話題が考察。

目次

序論 認知科学はなぜ数学にとって重要なのか
 心の本質に関する最近の発見
第I部 基本的な計算能力の身体化
 第1章 生まれながらの計算能力
  1.1 乳幼児は数を判別できる
  1.2 スービタイズ
  1.3 動物にも数がわかる
  1.4 下頭頂皮質
  1.5 脳から心へ,そして,基本的計算から数学へ
 第2章 身体化された心の認知科学
  2.1 認知的無意識
  2.2 日常の認知と数学の認知
  2.3 空間的関係概念とイメージ・スキーマ
  2.4 運動制御と数学的概念
  2.5 《起点–経路–着点スキーマ》
  2.6 概念の合成
  2.7 概念メタファー
  2.8 恋愛は共同事業である—–要素を導入するメタファー
  2.9 概念メタファーにかかわる先行研究
  2.10 数学的概念
 第3章 身体化された四則演算を基礎付ける4つのメタファー
  3.1 数学の特殊性
  3.2 四則演算に必要な認知能力
  3.3 ものの集まりとしての四則演算
  3.4 初等的な四則演算の拡張
  3.5 ものの組み立てとしての四則演算
  3.6 《物差し》メタファー
  3.7 経路に沿った移動としての四則演算
  3.8 代数学の基本メトニミー
  3.9 0と1のメタファー的な意味
 第4章 四則演算の法則の生まれたところ
  4.1 4つのGの重要性
  4.2 数は「もの」である
  4.3 閉性
  4.4 数と数字
  4.5 同値結果フレームと四則演算の法則
  4.6 4つのGの拡張
  4.7 現実世界における四則演算の有効性とメタファー・ブレンド 
  4.8 まとめ
  4.9 これらのメタファーに到達した論拠
第II部 代数,論理,集合
 第5章 「本質」と代数
  5.1 「本質」と公理
  5.2 一般の代数的本質メタファー
  5.3 まとめ
 第6章 ブールのメタファー
  6.1 ブールのクラス
  6.2 ブールのメタファー
  6.3 ブール代数の性質
  6.4 クラスに関する演算の記号化
  6.5 認知的視点から見たブール
  6.6 記号論理学
  6.7 推論法則の写像
  6.8 まとめ
第7章 集合と超集合 
  7.1 集合論におけるいくつかの概念的な問題
  7.2 公理的集合論と超集合
  7.3 数は集合であり,集合はグラフである
  7.4 集合の本当の素顔
第III部 無限の身体化
 第8章 無限の基本メタファー
  8.1 身体化された無限
  8.2 継続プロセスは反復プロセスである
  8.3 実無限
  8.4 BMIの起源
  8.5 「もの」としてのプロセス
  8.6 無限とは何か
  8.7 「すべて」という概念
  8.8 基本的な結論
第9章 実数と極限
  9.1 自然数の数表記
  9.2 無限小数
  9.3 無限多項式
  9.4 無限数列の極限
  9.5 BMIを用いた極限の一般的概念
  9.6 無限和
  9.7 関数の極限
  9.8 最小上界
  9.9 0.9999 · · · = 1.0000 · · · か
  9.10 区間縮小法
  9.11 まとめ
 第10章 超限数
  10.1 カントルの対角線論法
  10.2 超限算術
  10.3 ℵ0を越えて
  10.4 超限基数のヒエラルキー
  10.5 順序数
  10.6 まとめ
 第11章 無限小
  11.1 芥子粒のようなもの
  11.2 無限小
  11.3 BMIの暗黙の使用
  11.4 ロビンソンによる超実数
  11.5 グラニュー数
  11.6 超実数
  11.7 すべてのグラニュー数を超えて
  11.8 差を無視することが数学では重要である
  11.9 閉性という原動力
  11.10 2つのタイプの無限大の数
  11.11 数学的概念分析は無限小の議論にどのように貢献するか
第IV部 禁じられた空間と運動
 第12章 点と連続体
  12.1 空間の2つの概念化
  12.2 点はどのように概念化されているか
  12.3 限りなく小さな点
  12.4 離散化された数学における点の概念化
  12.5 ここまでのまとめ
  12.6 「実数直線」が直線ではない理由
  12.7  「空間充填曲線」が空間を埋め尽くさない理由
  12.8  「連続体」とは何か
  12.9  数学の概念分析がもたらす違い
 第13章 数の連続性
  13.1 デデキントの切断と連続性
  13.2 量と測度
  13.3 デデキントによる実数の完備性の幾何学的な基礎
  13.4 数の完備性としての連続性
 第14章 空間も運動もない微積分
  14.1 離散化とモンスターの「克服」
  14.2 再び1872年のドイツへ
  14.3 関数の極限
  14.4 ワイエルシュトラスの算術化に隠されている幾何学
  14.5 ワイエルシュトラスとモンスターたち
  14.6 ピアポントの講演
  14.7 ワイエルシュトラスが成し遂げたこと
  14.8 連続性とその対極としての離散性
 口直しの一品—–無限の古典的パラドックス
  T.1 長さのパラドックス
  T.2 集合の長さとは
  T.3 長さの関数
  T.4 見かけ上のパラドックスの由来
  T.5 まとめ
第V部 数理哲学への影響439
 第15章 「身体化された数学」の理論
  15.1 予告篇eπi +1 = 0 の意味の事例研究へ
  15.2 ロマンとの出会い 
  15.3 信条の問題
  15.4 唯一の数学が身体化された数学である理由
  15.5 推論の安定性と見かけの上の不朽不滅性
  15.6 等しく妥当だが互いに矛盾する数学の研究領域
  15.7 どのようにして文化は「もう1つの数学」を生み出すのか
  15.8 身体化された数学の歴史的次元
  15.9 身体化された数学とポストモダン主義
 第16章 「身体化された数学」の哲学
  16.1 数学の身体性
  16.2 存在論と真理
  16.3 いくつかの例
  16.4 ここまでのまとめ
  16.5 形式的還元メタファー
  16.6 数学的概念と「直観」
  16.7 等しいとは
  16.8 数学の姿
第VI 部 eπi + 1 = 0 古典数学の認知構造の事例研究
 事例研究A 解析幾何学と三角法
  A.1 問題は何か
  A.2 解析幾何学
  A.3 数の意味
 事例研究B eとは何か
  B.1 底
  B.2 指数
  B.3  b0とは何か
  B.4 変化の数学的メタファー
  B.5 e とは何か
  B.6 補遺
 事例研究C  iとは何か
  C.1 複素数と通常の認知
  C.2 方程式と閉性
  C.3 iはどこから生まれ,何が「想像上」なのか
  C.4 90◦ 回転平面
 事例研究D eπi + 1 = 0 古典数学の基本的概念の統合
  D.1 パズルのピースを嵌め合わせる
  D.2 数学的概念の分析学
  D.3 eπi +1 = 0 のための概念ネットワーク
  D.4 eyi = cosy + i sin y となる理由
  D.5 最後の結論

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