固体中の拡散

固体中の拡散

基礎と方法,異種物質中の拡散,拡散律速過程
原書名 Diffusion in Solids
著者名 藤川 辰一郎
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年06月
判型 A5変
ページ数 704ページ
ISBN 978-4-621-06501-3
Cコード 3042
NDCコード 428
ジャンル 物理学 >  物性物理

内容紹介

原子拡散とは、固体中の原子が熱によってランダムに跳躍し、原子の移動が起きる過程を研究するもので、熱力学・統計熱力学・格子欠陥理論などと密接に関係し、材料科学だけでなく、材料開発にも不可欠な研究分野である。 本書は、著者の40年以上にわたる拡散研究の全てがつぎ込まれており、この分野の解説書の決定版とも言うべき書。 固体内の拡散全般について特定の項目に偏ることなく、バランスよくわかりやすく解説されており、適切な図を多く用いて読者の理解度が高まるよう工夫されている。また、最近の成果も取り入れられていて、大学院生・研究者・企業の技術者にとって必携の書。

目次

 第1章 拡散研究の歴史と文献目録
  1.1 拡散のパイオニアとランドマーク
  1.2 固体拡散についての参考書目録
第I部 拡散の基礎
 第2章 拡散の連続体理論
  2.1 等方的な媒体中のフィックの法則
  2.2 異なる座標系における拡散方程式
  2.3 異方性のある媒体中のフィックの法則
 第3章 拡散方程式の解
  3.1 定常状態の拡散
  3.2 1次元での非定常状態の拡散
  3.3 1次元,2次元および3次元での点ソース
 第4章 ランダムウォーク理論と原子ジャンプ過程
  4.1 ランダムウォークと拡散
  4.2 原子ジャンプ機能
 第5章 結晶中の点欠陥
  5.1 純金属
  5.2 置換型二元合金
  5.3 イオン化合物
  5.4 金属間化合物
  5.5 半導体
 第6章 拡散機構
  6.1 格子間機能
  6.2 集団機構
  6.3 空孔機構
  6.4 複空孔気候
  6.5 準格子間機構
  6.6 格子間サイト―格子サイト交換機構
 第7章 固体拡散中の相関
  7.1 格子間機構
  7.2 準格子間機構
  7.3 自己拡散の空孔機構
  7.4 自己拡散の相関因子
  7.5 空孔を介しての溶質拡散
  7.6 総括
 第8章 拡散の温度および圧力依存性
  8.1 温度依存性
  8.2 圧力依存性
  8.3 拡散と材料のバルクの性質の間の相関
 第9章 拡散の同位体効果
  9.1 単一ジャンプ機構
  9.2 集団機構
  9.3 同位体効果実験
 第10章 相互拡散とカーケンドール効果
  10.1 相互拡散
  10.2 固有拡散とカーケンドール効果
  10.3 ダーケンの式
  10.4 ダーケン―マニングの関係式
  10.5 カーケンドール面のミクロ構造安定性
 第11章 拡散と外部駆動力
  11.1 概説
  11.2 ドリフトが存在する場合のフィックの式
  11.3 ネルンスト―アインシュタインの関係式
  11.4 イオン伝導体に対するネルンスト―アインシュタインの関係式およびハーベン比
  11.5 ネルンスト―プランクの式――イオン結晶中の相互拡散
  11.6 ダーケンの式 対 ネルンスト―プランクの式
 第12章 不可逆過程の熱力学と拡散
  12.1 概説
  12.2 等温拡散の現象論的な式
  12.3 現象論的係数
第II部 実験方法
 第13章 直接的な拡散研究
  13.1 直接法 対 間接法
  13.2 各種の拡散係数
  13.3 トレーサー拡散係数
  13.4 同位体制御したヘテロ構造
  13.5 二次イオン質量分析法(SIMS)
  13.6 X線マイクロアナライザー
  13.7 オージェ電子分光法
  13.8 イオンビーム分析:RBSおよびNRA 
 第14章 メカニカル・スペクトロスコピー
  14.1 総説
  14.2 擬弾性および内部摩擦
  14.3 メカニカル・スペクトロスコピーの手法
  14.4 拡散に関係した擬弾性の例
  14.5 磁気緩和
 第15章 核物性的手法
  15.1 概説
  15.2 核磁気緩和(NMR)
  15.3 メスバウアー分光法(MBS)
  15.4 準弾性中性子散乱(QENS)
 第16章 電気的な方法
  16.1 インピーダンス分光法
  16.2 広がり抵抗プロファイリング
第III部 金属材料中の拡散
 第17章 金属中の自己拡散
  17.1 総説
  17.2 立方晶金属
  17.3 六方晶最密充填金属および正方晶金属
  17.4 相転移のある金属
 第18章 金属中の侵入型溶質原子の拡散
  18.1 「重い」侵入型溶質原子C,N,およびO
  18.2 金属中の水素の拡散
 第19章 希薄な置換型合金中の拡散
  19.1 不純物の拡散
  19.2 「隙間の広い」金属中の不純物拡散――解離機構 
  19.3 合金中の溶質原子拡散および溶媒原子拡散
 第20章 二元金属間化合物中の拡散
  20.1 総説
  20.2 規則―不規則転移の影響
  20.3 B2金属間化合物
  20.4 L12金属間化合物
  20.5 D03金属間化合物
  20.6 一軸性金属間化合物
  20.7 ラーヴェス相
  20.8 Cu3Au則
 第21章 準結晶合金中の拡散
  21.1 準結晶についての総説
  21.2 準結晶の拡散性
第IV部 半導体中の拡散
 第22章 半導体についての総説
  22.1 「半導体時代」と拡散
  22.2 半導体拡散の特徴
 第23章 元素半導体中の自己拡散
  23.1 固有点欠陥と拡散
  23.2 ゲルマニウム
  23.3 シリコン
 第24章 シリコンおよびゲルマニウム中の不純物拡散
  24.1 固溶度とサイト占有度
  24.2 拡散係数と拡散モード
  24.3 自己拡散および不純物原子の拡散――総括 
 第25章 格子間サイト‐格子サイト交換拡散
  25.1 解離拡散とキックアウト拡散の組合せ
  25.2 キックアウト機構
  25.3 解離拡散
第V部 イオン性物質中の拡散と伝導
 第26章 イオン結晶
  26.1 総説
  26.2 イオン結晶中の点欠陥
  26.3 欠陥および輸送の諸性質の研究方法
  26.4 アルカリハロゲン化物
  26.5 ハロゲン化銀AgClおよびAgBr  
 第27章 高速イオン伝導体
  27.1 高速銀イオン伝導体
  27.2 PbF2および他のハロゲン化物イオン伝導体
  27.3 安定化ジルコニアおよび関連した酸化物イオン伝導体
  27.4 ペロフスカイト酸化物イオン伝導体
  27.5 ナトリウムβアルミナおよび関連材料
  27.6 リチウムイオン伝導体
  27.7 高分子電解質
第VI部 ガラス中の拡散
 第28章 ガラス状態
  28.1 ガラスとは何か?
  28.2 体積―温度線図
  28.3 時間―温度変態(TTT)線図
  28.4 ガラス群
 第29章 金属ガラス中の拡散
  29.1 総説
  29.2 構造緩和と拡散
  29.3 金属ガラスの拡散的性質
  29.4 ガラス形成合金中の拡散と粘性
 第30章 酸化物ガラス中の拡散とイオン伝導
  30.1 総説
  30.2 実験方法
  30.3 ガスの透過
  30.4 拡散およびイオン伝導の例
第VIII部 高速拡散経路に沿っておよびナノ材料中の拡散
 第31章 金属中の高速拡散経路
  31.1 総説
  31.2 拡散のスペクトル
  31.3 粒界拡散に対する経験則
  31.4 格子拡散とミクロ構造欠陥
 第32章 粒界拡散
  32.1 総説
  32.2 粒界
  32.3 孤立した粒界に沿っての拡散(フィッシャーモデル)
  32.4 多結晶中の拡散運動論
  32.5 粒界拡散と粒界偏析
  32.6 粒界拡散の原子的構造
 第33章 転位パイプ拡散
  33.1 転位パイプモデル
  33.2 平均薄膜濃度に対する解
 第34章 ナノ結晶材料中の拡散
  34.1 総説
  34.2 ナノ結晶材料の合成
  34.3 多結晶およびナノ結晶中の拡散
  34.4 ナノ結晶金属中の拡散
  34.5 ナノ結晶セラミックス中の拡散およびイオン伝導
付録1 アルミニウム中の各種元素の拡散データ
付録2 銅中の各種元素の拡散データ

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