ソーシャルイノベーション

ソーシャルイノベーション

地域公共圏のガバナンス
著者名 松行 康夫
松行 彬子
松行 輝昌
発行元 丸善出版
発行年月日 2011年07月
判型 A5 210×148
ページ数 262ページ
ISBN 978-4-621-08426-7
Cコード 3034
NDCコード 335
ジャンル 社会科学 >  経営学
社会科学 >  ビジネス

内容紹介

現代の社会では、自然環境の破壊、人口の少子高齢化、労働市場の不安定化、所得格差の拡大、地域医療の崩壊など、複雑な社会的問題が渦巻いている。市民が安心して生活できる居場所づくりの視点から、地域公共圏を再生させるにはイノベーションという思考の枠組みが必要である。ここでいう「ソーシャルイノベーション」とは、地域公共圏に存在する社会的課題を理性的に認識して、その解決を目的としたソーシャルビジネスを創出することで、新しい公共におけるライフスタイルを創り出す理念と方法である。本書では、市民と地域社会が、その逆境を転じて繁栄を築いていく仕組みについて解明。

目次

第1章 サービス概念の本質と経営力の創成
 1.情報・知識・サービスの生産を基軸とする知識資本主義
 2.経営力の源泉としてのサービス経営
  2‐1.グローバル市場における企業間競争の変貌
  2‐2.企業競争力の3層構造 
  2‐3.中小企業の競争力の源泉
 3.サービスの基本的属性
  3‐1.サービスに関する基本的概念 
  3‐2.サービスの基本的属性
  3‐3.サービス業と製造業の比較 
  3‐4.サービス経営システムの理論的枠組み
 4.サービス経営イノベーションの実現
  4‐1.サービス業における生産性の向上
  4‐2.サービス効率の向上 
  4‐3.サービスの付加価値の増加
 5.ソーシャルイノベーションを促進させるサービス経営
第2章 組織的創造性の開発とイノベーション・マネジメント
 1.経営組織における創造性の開発
 2.創造性とは何か
 3.創造的な個人の特性
 4.創造のプロセス
 5.創造的な組織の環境
 6.イノベーション・マネジメント
  6‐1.シュンペーターによるイノベーションの概念 
  6‐2.ドラッカーによるイノベーションの概念
  6‐3.企業家の役割とイノベーションの本質
 7.創造性の開発に向けたイノベーション・マネジメント
 8.イノベーションの基礎としての創造性の開発
第3章 企業のイノベーション・マネジメントと多元的価値創造
 1.自由と規律を尊重するイノベーション・マネジメント
 2.3Mにおけるイノベーション
 3.3Mにおけるイノベーション・マネジメントの発展
  3‐1.企業文化とイノベーション
  3‐2.制度と仕組み 
  3‐3.1990年代における3Mの新製品開発体制
 4.3Mのイノベーション・マネジメントにおける自由と規律
  4‐1.3Mのイノベーション・プロセスにおける自由と創造性 
  4‐2.財務部門による規律と調整 
 5.21世紀におけるイノベーション・プロセスの革新
  5‐1.5つのイニシアティブ 
  5‐2.研究開発におけるイニシアティブ 
 6.多元的価値と知識創造プロセス
 7.強力な企業文化と企業価値の創造
第4章 地域公共圏におけるNPOの使命と役割
 1.地域公共圏における「小さな公」の役割
 2.新しい公共の創生
 3.新しい公共経営の場とNPOの社会的使命
 4.新しい公共におけるパートナーシップの形成
 5.NPOを中心としたパートナーシップの形成
 6.行政,NPO,企業間におけるパートナーシップ
  6‐1.新しい公共経営における行政,NPO,企業の役割
  6‐2.NPOと企業のパートナーシップ
  6‐3.行政とNPOのパートナーシップ
第5章 地域公共圏を担う社会的起業家の使命と役割
 1.社会的起業家の使命と企業家精神
 2.社会的起業家による社会的価値の創造
第6章 孤独なボウリングとソーシャルキャピタルの衰退
 1.市民的支えあいとソーシャルキャピタル
 2.ソーシャルキャピタルの先駆的研究
 3.パットナムのソーシャルキャピタル研究
 4.民主主義の活力の源泉
第7章 まちづくりにおける行政とNPO・ボランティア団体の連携75
 1.新しい公共の担い手
 2.新しい公共をめぐるNPOと地方自治体のパートナーシップ
 3.パートナーシップの基本的原則
 4.市民参加のまちづくりにおけるNPOと地方自治体の新しい連携協働
  4‐1.NPO・ボランティア活動における人材の確保と育成 
  4‐2.活動資金 
  4‐3.活動拠点
  4‐4.ボランティア活動に必要な情報
  4‐5.ボランティア活動と行政システムとの接点
 5.NPO・ボランティア団体等との連携協働に関する制度の整備
 6.透明性とアカウンタビリティを確保した行政システムの構築
第8章 地域公共圏における新しい保健福祉方式の実践
 1.人口構造の変動と少子高齢社会の到来
 2.少子高齢社会に対応した北九州市の新しい公共経営
 3.「北九州方式」による地域福祉のまちづくり
  3‐1.「北九州方式」と3層構造 
  3‐2.市民に身近な「小学校区レベル」の取り組み
  3‐3.「行政区レベル」における取り組み
  3‐4.「市レベル」における取り組み
  3‐5.「北九州方式」におけるNPO・ボランティア活動 
  3‐6.地域福祉における「北九州方式」の可能性 
 4.地域の絆の中でいきいきと暮らしたい市民の願い
第9章 組織間連携による地域医療サービスの再生
 1.地域医療を再生させる選択的代替案
 2.公立病院改革のガイドライン
  2‐1.持続可能な病院経営 
  2‐2.「公立病院改革ガイドライン」とシームレスな公民連携 
 3.組織間連携に関する経営学的方法論
  3‐1.企業経営における組織間連携に関する先行研究
  3‐2.組織間連携に基づく経営資源の獲得方法
  3‐3.組織間連携による組織間学習の効果 
  3‐4.地域医療ネットワークにおける学習する組織 
 4.地域医療の再生における医療・保健・福祉の連携
  4‐1.地域医療の再生における自治体病院と開業医との連携 
  4‐2.地域医療の再生における医療・保健・福祉の連携 
  4‐3.地域医療の再生における住民との連携 
 5.遠野市における公民連携事業の展開
  5‐1.交易・交流の歴史に根差す地域文化
  5‐2.グリーンツーリズムにおける先駆的実践
 6.遠野市における地域医療サービスの再生
  6‐1.遠野市と岩手県立遠野病院による公公連携 
  6‐2.地域の医療難民を救済する在宅医療システムの実現
  6‐3.遠野方式による地域包括ケア・システムの構築
  6‐4.遠野方式による助産院ネットワーク化の構想 
  6‐5.遠野市助産院を中心とした地域医療連携ネットワークの展開
 7.遠野市の地域医療を再生させる好循環の生成
 8.地域の医療を守る
第10章 地域産業クラスターの形成とケンブリッジ現象の創発
 1.知を中心とする協力と競争の時代
 2.産業クラスターの概念
 3.産業クラスターにおける知識連鎖による組織間学習
 4.産業クラスター形成とイノベーション創出
  4‐1.産業クラスター形成の目的 
  4‐2.産業クラスター形成の効果
 5.欧米の産業クラスターの戦略的形成
  5‐1.欧米の産業クラスター計画 
  5‐2.日本の産業クラスター計画
 6.市場原理主義の欠陥を異質・信頼・協力の精神で補う
第11章 環境経営イノベーションと都市経営の再生
 1.世界の環境首都に向けたグランドデザイン
 2.国連大学のゼロエミッション研究計画とローマクラブによる提言
  2‐1.国連大学のゼロエミッション研究計画 
  2‐2.ローマクラブによる提言『成長の限界』 
  2‐3.ゼロエミッション世界会議における新しいビジネス・モデルの提案
 3.チャタヌガ市と北九州市における環境共生を通した産業再生
  3‐1.チャタヌガ市における環境共生を通した産業再生 
  3‐2.北九州市における環境共生を通した産業再生 
  3‐3.ゼロエミッションに向けた環境共生パートナーシップの展開 
 4.北九州市における「モノづくり」による地域産業の再生
  4‐1.わが国の豊かな持続可能社会に向けた産業技術政策振興の背景 
  4‐2.わが国の産業技術政策と北九州市のテクノクラスターの形成 
 5.北九州市の製造業を基幹とする新しいモノづくり
 6.北九州市の都市経営資源を利用したモノづくり
 7.北九州市における企業競争力の強化による価値創造経営
  7-1.モノづくりによる価値創造経営 
  7-2.企業間関係の変革を通した価値創造経営
  7-3.マーケティング職能の強化による価値創造経営
 8.コンプライアンス精神による地域産業の再生
第12章 社会から信頼される企業と交渉による問題解決
 1.コーポレートガバナンスを揺るがす企業不祥事の発生
 2.コーポレートガバナンスと企業不祥事
 3.企業不祥事と企業倫理の推進体制
 4.企業不祥事の発生と原因
 5.企業不祥事に対する危機管理:雪印乳業の事例
 6.企業不祥事に対する危機管理:参天製薬の事例
 7.分配型交渉と統合型交渉
 8.分配型交渉とアンカリング
 9.利益交換型交渉
 10.創発的問題解決型交渉
 11.問題解決能力をもつ創造的経営管理者の育成
第13章 地方都市における心の文化と美しいまちづくり
 1.新しい公共経営と地方都市のまちづくり
 2.都市経営戦略と見えざる資産
 3.「グリーンツーリズム」のビジネス・スキーム
 4.「人間の顔」をした「ソフト・ツーリズム」
 5.小布施の「弱み」を「強み」に替えた歴史
 6.高井鴻山と葛飾北斎の交遊
 7.「おもてなし」の心と新しい群居の創造
 8.心の文化と美しいまちづくり
 9.「持続可能なまちづくり」を目指す長野県信濃町
 10.「美の原則」と真鶴町のまちづくり
 11.「配慮が息づくまち」をつくる美観の形成
 12.カントリーサイド・マネジメントと美しいまちづくり
第14章 地域公共圏における商店街の戦略的再生
 1.地域再生における大学の役割
 2.洪福寺松原商店街の特質
 3.横浜国立大学における高度実践的人材育成プログラム
 4.商学連携事業の経過に伴う合意の形成
  4‐1.商学連携におけるパートナーシップの形成
  4‐2.商学連携における合意の形成 
  4‐3.都市デザインマネジメントによる経済的価値の創造 
  4‐4.合意形成による問題解決 
  4‐5.大学をプラットフォームにした商学公連携の成果
 5.「市民の知」を用いた社会的還元の可能性
第15章 地域産学連携の構築とインターンシッププログラム
 1.インターンシップにおける起業家教育と人材育成
  1‐1.インターンシップにおける起業家教育と人材育成の重要性 
  1‐2.横浜発研究開発ベンチャーインターンシップの目的と構成
 2.長期ベンチャーインターンシップの実施上の課題
  2‐1.学内実施体制の整備 
  2‐2.学外との産学連携によるネットワーク構築 
 3.横浜発研究開発ベンチャーインターンシップ実施体制と取り組み
  3‐1.実施体制 
  3‐2.学内におけるインターンシッププログラムの位置づけ
  3‐3.学生に対する参加意欲の喚起 
  3‐4.インターンシップの受入企業 
 4.インターンシップの成果と課題
 5.米国との比較検討
 6.インターンシッププログラムに対する新たな制度設計
第16章 起業家教育の改革と大学発ベンチャーの育成
 1.大学発ベンチャーの育成と新産業の創出
 2.シリコンバレー型産業政策と起業家教育
 3.産学連携と好循環の創出
 4.起業家教育の改革と産学連携の事例
  4‐1.ユタ大学の事例研究
  4‐2.レンセラー工科大学の事例研究 
  4‐3.起業家教育改革の条件
  4‐4.その他の起業家教育の先進事例
 5.起業家教育と大学発ベンチャー方式の相互関係

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