内容紹介
「ナノスケールの物体を流れる電流」のエッセンス。ナノサイズ以下の半導体素子で重要となる量子輸送について,工学系の読者に向けて記述。日本語版では読みやすさに配慮し基礎編、応用編の2分冊とした。 基礎編である本書では「ナノスケールの物体を流れる電流とは何か」という問題提起に続いて、量子力学の復習とその固体理論への応用がなされる。輸送現象の記述とそのもとになるバンド構造に重点をおき、ナノスケール物性の基礎が解説される。
目次
1 原子からみた電気抵抗
1.1 エネルギー準位図
1.2 何が電流を流すのか?
1.3 量子化コンダクタンス
1.4 ポテンシャル図
1.5 クーロン閉塞
1.6 オームの法族へ
2 シュレーディンガー方程式
2.1 水素原子
2.2 有限差分法
2.3 いくつかの数値計算例
3 自己無撞場の方法
3.1 自己無撞場の方法
3.2 多電子描像との関係
3.3 原子間の結合
3.4 補足:多電子描像
4 基礎関数
4.1 計算手法としての基底関数
4.2 考え方としての基底関数
4.3 平行状態での密度行列
4.4 補足
5 バンド構造
5.1 簡単な系を使った例
5.2 一般的な結果
5.3 一般的な半導体
5.4 スピン―軌道相互作用の影響
5.5 補足:ディラック方程式