内容紹介
おいしいものを食べつけると「舌が肥える」が、これは舌の機能がよくなるのではなく、さまざまな味が脳に記憶されたことを意味する。おいしさで刺激され発達した脳は、同時に「脳で食べる」機能を発揮し、その結果、健全な心身の維持・成長を保証する。本書では、食の歴史や文化、医学や栄養学などを視野に、「おいしい」をキーワードに何をどのように食べたらよいのか、「食文法」の骨格を提示しつつ、「体と心に通じる胃の道」の案内を試みる。
目次
I おいしさを求めて
1 おいしさの系譜
食べるために生きる
食いものの恨み
軍旗は大鍋
2 昆布から始まった
昆布輸入国から輸出国へ
昆布はヨードの倉庫
縁起物となった昆布
精進料理の誕生
沖縄と昆布
おいしさの組合わせ
沖縄の味
鰹節文化
3 おいしさを求めて
「うま味」は日本十大発明の一つ
うま味は万国共通
グルタミン酸の働き
化学調味料と風味調味料
良い食品のために
おいしさと食育
II おいしさの生理
1 脳で食べる
味覚の認識
おいしさのホルモン
舌を肥やす
味蕾は味のセンサー
咀嚼が脳を育てる
咀嚼の効能
若々しい脳のために
唾液の効能
2 おいしさの味
甘味は旨味
甘味とともに
油脂のおいしさ
倹約遺伝子の働き
ピマインディアンと糖尿病
メタボリックシンドローム
塩は命の素
酸味のおいしさ
苦味は大人の味
辛味は痛み
温かな食事はゼイタクな食事
匂いのおいしさ
腹八分目に医者いらず
美味から滋味へ
III 日常茶飯の食卓から
1 五穀で養う
主食は五穀
粕と糠
コメは一番
生存の黄金率
ダイズはマメの王様
ダイズ食品を食卓に
伝統食の見直しを
2 植物性食品と第七の栄養素
山菜の生命力
ファイトケミカルの効用
野菜の起源
ヨーロッパのヨモギ
中国のヨモギ
日本のヨモギ
茶の広がり
薬から日常茶飯へ
茶の薬効
まずは一杯
3 加薬はおいしい
サプリメントとは
興隆するサプリメント産業
サプリメントはまずくて危険
日常茶飯が原点
イソフラボンの摂取量
配合の妙
スパイスの効能
ハーブの効能
IV 食べものは心を結ぶ
1 食べものは心を結ぶ
初めに共食あり
火を囲んで
神様と一緒に
パンを分け合う仲間
映画に観る食卓
自己家畜化現象
文明化と人間の退行
個食化する社会
スローフードと食育
茶の間の復活を
隣人の命を食べる
いただきます
2 病める人の食卓から
生きることは食べること
植物人間から動物人間へ
心の通う食卓
3 母乳はなぜおいしいか
ネオテニーとは
子宮外の胎児
口が脳を育てる
母乳はおいしい
スキンシップは心を育てる
優しさという薬
謎の微笑
燃え上がるおまけの愛
離乳食は母子同食を
成人病胎児期発症説
心を結ぶおむすび
おふくろ・おやじの味