内容紹介
本書は、看護の意味の現象学的な研究から生まれた稀有な「看護倫理」の書。著者らは、実践されるがままの看護を探求し、看護とはケアリング実践であると解釈するに至る。「看護倫理」は看護実践に本来的に内在し、看護の道徳観はケアする者としての看護師の存在を通して実現することを、豊富な実践例と対話を通して解き明かす。看護学生にも、経験豊かな看護師にも、看護の本質を深く問いながら、看護倫理を学ぶことができる絶好のテキスト。付録にサラ・T・フライ博士の看護倫理の概説(発展・教育・研究・理論)付き。
目次
第1章 なぜ,もう一つの看護倫理の本を?
対話的解釈
学習のためのヒント
学習課題
第2章 一人の良い看護師であるということについて
看護実践の相補的性質
優れた看護師
有能さ〔技能を持つこと〕の道徳観
有能さ〔技能を持つこと〕から卓越性へ
実践的な知恵
“良い看護師というもの”ではなく,一人一人の良い看護師であること
学習課題
第3章 全体的で全人的なケア
全体的ケア
保健医療(ヘルスケア)を改革するための道徳的命令
全人的ケア
学習課題
第4章 ケアする存在〔ケアする者として居合わせること〕
ブーバー:人としての関係
我―それ(汝)関係
三元対話
ノディングズ:ケアリング
倫理的なるもののうちにある自然なケアリング
葛藤を呼び起こす道徳的な願望と限られた時間
実践におけるケアリング
ゼイナー:居合わせることへのケアとしての応答
生きられた身体を映す出す存在
生き生きと居合わせること
学習課題
第5章 ケアへと呼びかけられること
ケアと呼びかけられること
ケアへの呼び声に対する“もちろん”という応答
ペレグリノ:専門職への呼び声
ジェイムズ:具体的な呼びかけ
イエス・キリスト:隣人の苦境によって呼びかけられること
ワーナー・マークス:同情によって呼びかけられること
テイラー:<ほんもの>の相補的な呼びかけ
学習課題
第6章 全人的な実践における倫理的な事柄
ゼイナーの臨床倫理
全人的ケアにける倫理
学習課題
第7章 倫理と看護についての内省的対話
内省的対話
一人の良い看護師であるということについて
全体的で全人的なケア
ケアする存在:ミドリとビヴァリー
ケアへと呼びかけられること
実践倫理
締めくくりの対話
学習課題
付録:看護倫理(サラ・T・フライ)