情報科学のための自然言語学入門
著者名 | 畠山 雄二 著 |
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発行元 | 丸善出版 |
発行年月日 | 2003年08月 |
判型 | A5 210×148 |
ページ数 | 168ページ |
ISBN | 978-4-621-07269-1 |
Cコード | 1055 |
ジャンル | 電気・電子・情報工学 > 情報・コンピュータ |
内容紹介
我々ヒトの脳の中には「文法」がある。この「脳内文法」のおかげで、われわれは言葉を生み出し、それを理解することができるのである。では、この「脳内文法」のメカニズムは、はたして、どうなっているのか。本書では、具体例をあげながら、理科系で役立つ話題を中心に議論を展開していく。この上なく明解に解説された「理論言語学」の入門書。
目次
第1章 なんでだろう?脳が勝手に判断してしまう!
1 はじめに
2 語順の変化と意味の変化
3 「誰が何を食べたの?」を英語に訳すとどうなるか
4 1字違いで大きな違い
5 「人の嫌がることをすすんでしよう!」さて、この文の意味は?
6 「自分」の指せるものを探せ!
7 意外に難しい日本語の動詞活用変化
第2章 科学とは?理論とは?理論言語学とは?
1 はじめに
2 科学とは何か?
3 科学するのに必要なものは何か?
4 理論とは色眼鏡である
5 理想化
6 仮説の立て方
7 疑似科学
8 科学理論:反証可能性のある理論
9 仮説の裏付け
10 仮説の妥当性:状況証拠
11 科学と学問の組織図
12 理論言語学の学問としての位置づけ
13 まとめ
第3章 自然言語の統語構造
1 はじめに
2 理論言語学の色眼鏡
3 日本語の統語構造
3.1 よく見るために眼鏡をかけよう
3.2 ペアを探そう
3.3 二つの可能性を一つに絞れ
3.4 句を探そう
3.5 ペアとはかたまりだ
3.6 ペアは崩せない
4 まとめ
第4章 句構造規則
1 はじめに
2 自然言語と文法規則
3 句構造規則
3.1 良い表現と悪い表現
3.2 文の句構造規則:S→NP VP
3.3 名詞句の句構造規則:NP→(Det)N
3.4 動詞句の句構造規則:VP→(NP)V
3.5 形容詞句の句構造規則:AP→(NP)A
3.6 後置詞句の句構造規則:PP→NP P
4 句構造規則を使って文をつくってみよう
5 句構造規則で満足してはいけない
6 まとめ
第5章 X'理論
1 はじめに
2 共通項を抽出しろ
3 句構造規則からX'理論へ
4 主要部と補部と指定部
5 まとめ
第6章 X'理論の妥当性を検証する
1 はじめに
2 日本語と英語の構造の違い
3 後置詞:一筋縄ではいかない格助詞
4 まとめ
第7章 ことばの獲得
1 はじめに
2 子供の言語獲得
2.1 子供はことばの何をどのようにマスターしているのか
2.2 氏か育ちか:Nature vs. Nature
2.3 言語獲得の五つのなぞ
3 まとめ
第8章 言語獲得のなぞを解く
1 はじめに
2 脳内スイッチ:主要部パラメータ
3 言語獲得の五つの問題を解く
3.1 「質の問題」を解く
3.2 「量の問題」を解く
3.3 「入力ゼロの問題」を解く
3.4 「スピードの問題」を解く
3.5 「母語無指定の問題」を解く
4 まとめ
第9章 外国語の習得と言語の系統発生
1 はじめに
2 日本人はなぜ英語が苦手化か?
3 ことば、脳、そして進化論
3.1 ことば:脳の最高傑作
3.2 言語の進化論
第10章 理論言語学から複雑系へ、そして人工知能へ
1 はじめに
2 例外を処理する
3 自然言語の中に見るフラクタル
4 語の獲得
5 まとめ