内容紹介
ブルバキに代表される公理的な取り扱いと高度な抽象化が特徴的な「近代的な解析」の達成した理論体系を背景に、個々の取り扱いを要する具体的な問題にも力点をおいた「ポストモダン」解析学-新しい解析学の入門書。一変数の微分積分からはじまり、ルベーグ積分・楕円型偏微分方程式まで広い範囲をカバー。抽象化のための抽象化を避け、偏微分方程式、変分法、関数解析、その他諸々の解析の基礎となる事柄を科学における解析的な問題への応用とともに、とりわけ非線形的要素を含んでいるものを中心に紹介。
目次
第I部 一変数の微積分
第0章 準備
実数の性質/実数列の収束と極限/指数関数と対数関数
第1章 関数の極限と連続性
連続性,一様連続性の定義/連続関数の性質/中間値の定理/ヘルダー連続性とリプシッツ連続性
第2章 微分可能性
微分可能性の定義/微分の基本公式/微分可能関数の連続性/高階微分
第3章 微分可能関数の性質・微分方程式
微分を用いた極値の特徴付け/平均値の定理/微分方程式f'=γf/微分方程式の解の一意性/2階微分による極大値,極小値の特徴付け/テイラー展開
第4章 バナッハの不動点定理・バナッハ空間の概念
第5章 一様収束
関数列の収束/ベキ級数/収束定理/一様収束列/関数空間のノルム/一様有界かつ同等連続な関数列に関するアルツェラ―アスコリの定理
第6章 積分と常微分方程式
原始関数/リーマン積分/積分の基本公式/部分積分/置換積分/平均値の低利/積分と面積/ODE/ODEの局所解の存在と一意性に関するピカ―ルーリンデレーフの定理
第II部 位相空間論の概念
第7章 距離空間:連続性,位相空間論の基本的概念,コンパクト集合
距離空間の定義/開集合/閉集合/凸集合/連結集合/コンパクト集合/点列コンパクト性/距離空間の連続写像/有界線形作用素/ℝdのノルムの同値性/位相空間の定義
第III部 ユークリッド空間,バナッハ空間における微積分
第8章 バナッハ空間における微分
バナッハ空間の写像の微分可能性の定義/微分の基本公式/高階微分/テイラー展開
第9章 ℝdにおける微積分
A スカラー値関数
勾配/偏微分/ヘッセ行列/極値/:ラプラス作用素/偏微分方程式
B ベクトル値関数
ヤコビ行列/ベクトル場/発散/回転
第10章 陰関数定理とその応用
陰関数定理/逆関数定理/条件付極値/ラグランジュの未定係数法
第11章 ℝdの曲線・常微分方程式系
正則曲線と特異曲線/長さ/求長可能性/弧/ジョルダン弧の定理/高階常微分方程式と常微分方程式系
第IV部 ルベーグ積分
第12章 準備・半連続関数
ディニの定理/上半連続関数と下半連続関数/集合の特性関数
第13章 半連続関数のルベーグ積分・コンパクト集合の体積
連続関数/半連続関数の積分/フビニの定理/体積/回転対称関数の積分
第14章 関数,集合のルベーグ積分
上積分/下積分/ルベーグ積分/ルベーグ積分の近似/集合の可積分性
第15章 零関数と零集合・フビニの定理
零関数/零集合/カントール集合/積分可能関数の同値性/L1空間/積分可能関数に関するフビニの定理
第16章 ルベーグ積分論における収束定理
レビの単調収束定理/ファトウの補題/ルベーグの優収束定理/パラメーター付きの積分/積分と微分の交換可能性
第17章 可測関数と可測集合・イェンセンの不等式・エゴロフの定理
可測関数とその性質/可測集合/単関数の極限としての可測関数/可測関数列の一様収束性に関するエゴロフの定理
第18章 変換公式
重積分の変数変換/極座標による積分
第V部 Lp空間とソボレフ空間
第19章 Lp空間
Lp関数/ヘルダーの不等式/ミンコフスキーの不等式/Lp空間の完備性/Lp関数の滑らかな関数(正則化)による近似/テスト関数
第20章 部分積分・弱微分・ソボレフ空間
部分積分の公式により定義される弱微分/弱微分がLp空間に属するソボレフ関数/弱微分が十分高いベキ乗まで可積分であるソボレフ関数の連続性に関するソボレフの埋め込み定理/ポアンカレの不等式/ソボレフノルムが有界な関数列のLp収束性に関するレリッヒ―コンドラショフのコンパクト性定理
第VI部 変分法と楕円型偏微分方程式入門
第21章 ヒルベルト空間・弱収束
ヒルベルト空間の定義と性質/リースの表現定理/弱収束/有界列の弱収束性/有界関数列の算術平均の収束に関するバナッハ―サックスの補題
第22章 変分原理と偏微分方程式
ディリクレの原理/弱調和関数/ディリクレ問題/オイラー―ラグランジュ方程式/変分問題/被積分関数が凸な汎関数の弱下半連続性/物理・連続体力学からの例/ハミルトンの原理/平衡状態/安定性/ラプラス作用素の極座標表示
第23章 弱解の正則性
弱調和関数および楕円型偏微分方程式の弱階の正当性/境界の正則性/古典解
第24章 最大値原理
楕円型偏微分方程式の弱最大値原理と強最大値原理/ホップの境界線補題/勾配の評価/リウヴィルの定理
第25章 ラプラス作用素の固有値問題
レリッヒのコンパクト性定理の応用によるラプラス作用素の固有関数のなすL2空間の完全正規直交基底
出版社からのメッセージ
本書は、2009年6月にシュプリンガー・ジャパン株式会社より出版された同名書籍を再出版したものです。
本書籍は価格変更に伴い、ISBNを変更しました。
旧ISBN::978-4-621-06194-7
内容に変わりはありません。
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本書は、少部数印刷にて重版が可能です。
在庫僅少の場合でもご注文いただけますので、お問い合わせください。
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