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互いに憎まれ口をたたき合いながら次第に恋に落ちていく男女の滑稽なロマンスと、愛にあふれた結婚式が突然崩壊する衝撃を描いた喜劇。案内役のヘレン・ハントは当時にしては珍しく気が強く口が達者で才気煥発なビアトリスを二度演じている。この魅力的な役の背後にはどんな謎が隠されていたのか。シェイクスピアの故郷を訪れ、彼が持っていた“賢い女性像”の姿に光を当て、謎が解明される。シェイクスピア劇によくみられる盗み聞きや、悪党の策略など、さまざまな面白さを紹介する。

シリーズ３　第2巻　ヴェニスの商人

案内役：F・マーリー・エイブラハム

ユダヤ人の高利貸しシャイロックが受けてきた屈辱的差別とそれに対する復讐を描いた物語。シャイロックを何度も演じてこの役の魅力を十全に理解するF・マーリー・エイブラハムがさらに作品を深く掘り下げていく。現代ではシャイロックに同情的な見方がされることが多いが、初演当時はどう見られていたのか？　シェイクスピアのロンドンにはユダヤ人がいたのだろうか。「1ポンドの肉」でシャイロックが求めたこととは何か？　作品は単に民族差別だけでなく、同性愛、男女格差など現代に通じるさまざまな問題を内包している。

シリーズ３　第3巻　尺には尺を

案内役：ロモーラ・ガライ

権力、ジェンダー、倫理、宗教など現代にも通じる社会問題を取り上げたこの問題劇は、時代によって様々な姿を観客に見せている。タイトルは聖書から引用された文句であり、他を裁く者は己も裁かれることを意味する。ロモーラ・ガライはストラトフォードの修道院を訪ね、自身が演じたイザベラのモデルと思われる女性の存在を知る。権力を握る男性のパワハラが続くかぎり、この作品は常に現代的であり続ける。

シリーズ３　第4巻　ジュリアス・シーザー

案内役：ブライアン・コックス

ブルータスが暴君シーザーを暗殺するに至るまでとその後を描いた悲劇。1977年にブルータスを演じたブライアン・コックスは、今でも若ければこの役をもう一度演じたと言う。リンカーンの暗殺劇にもなぞらえ、最近ではドナルド・トランプに似せたシーザー殺害が物議を醸した。民主主義とは、英雄とは、名誉とは、正義とは何か。高潔なブルータスが周りから影響を受けて決断するまでの葛藤を研究者や精神科医、役者たちが分析していく。

シリーズ３　第5巻　冬物語

案内役：サイモン・ラッセル・ビール

シシリア国王リオンティーズの激しい嫉妬による悲劇とその後の絶望と再生の物語。シェイクスピアの晩年期に執筆されたロマンス劇の一つ。シェイクスピア作品に多数出演してきたサイモン・ラッセル・ビールは2009年に主演した。一筋縄ではいかない厄介な役で、一度演じると忘れられない印象深い役だと彼は言う。タイトルに秘められた秘密を作家に尋ねたり、《赦し》の概念を英国国教会の友人に聞いたりして、この物語の大きな魅力を伝えていく。

シリーズ3　第6巻　リチャード三世

案内役：アントニー・シャー

ばら戦争の時代、体に障害をもつグロスター公リチャードが世を恨み、復讐のため王位を奪う史劇。多くの名優が主演してきた役で、アントニー・シャーは30年以上前に松葉杖を巧みに用いて演じた。今でも彼を惹きつけてやまないこの人物像の魅力とは何か。リチャード三世は残忍で狡猾な人物でありながら、なぜ観客の大きな人気を得ているのか？　リチャードが王位奪取を勝ち得た理由は？　専門家や役者たちの見解を聞く。

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