内容紹介
量子力学の原理を初学者向けにわかりやすく解説するとともに、典型例を用いてシュレーディンガー方程式を具体的に解き、いかにして波動関数を求めるかを丁寧に解説する。古典論とは異なる考え方や手法を身につけ、量子力学を使えるようになることを目指すテキスト。また、摂動論等の近似解法も解説。 さらに関連する数学的話題や最先端トピックスもコラムで紹介する。
目次
1 はじめに
1.1 量子力学の原理
1.2 波動関数の振幅と位相
1.3 フーリエ変換とデルタ関数
2 箱の中の粒子
2.1 1次元の井戸型ポテンシャル(1)
2.2 波動関数の時間発展
2.3 1次元の井戸型ポテンシャル(2)
2.4 1次元の井戸型ポテンシャル(3)
2.5 1次元系の束縛状態の性質
2.6 3次元の箱の中の粒子
3 伝播する粒子
3.1 1次元の自由粒子
3.2 3次元の自由粒子
3.3 粒子の反射と透過
3.4 トンネル効果
3.5 平面波の規格化
3.6 1次元問題のまとめ
3.7 1次元散乱問題のS行列
4 調和振動子
4.1 シュレーディンガー方程式の級数解
4.2 エルミート多項式
4.3 演算子法
4.4 不確定性関係を用いた考察
4.5 ビリアル定理
5 中心力場
5.1 角運動量
5.2 2次元中心力場
5.3 3次元中心力場
5.4 本章のまとめ
6 水素原子
6.1 二体問題の扱い方
6.2 水素原子のエネルギー準位
6.3 ラゲール陪多項式
6.4 不確定性関係を用いた考察
6.5 周期表
6.6 水素分子
6.7 2次元,3次元の井戸型ポテンシャル
7 磁場中の荷電粒子,対称性と保存則
7.1 古典電磁気学
7.2 シュレーディンガー方程式
7.3 アハラノフ‐ボーム効果
7.4 保存量
7.5 時間発展演算子
7.6 対称性と保存法則
8 角運動量の一般化とスピン
8.1 角運動量の代数
8.2 演算子の行列表示
8.3 ディラックの表記(1)
8.4 スピン
8.5 スピノル空間とパウリ行列
8.6 スピンの回転操作
9 角運動量の合成
9.1 角運動量の合成則
9.2 二つのスピンs=1/2の合成
9.3 スピン軌道相互作用
9.4 軌道角運動量とスピンの合成
10 ブラベクトルとケットベクトル
10.1 8.3節の補足説明
10.2 ディラックの表記(2)
10.3 ディラックの表記(3)
10.4 ハイゼンベルク表示
11 摂動論I
11.1 時間に依存しない摂動論(1)
11.2 水素原子の分極率(2次のシュタルク効果)
11.3 時間に依存しない摂動論(2)
11.4 2準位系
11.5 変分法
12 摂動論II
12.1 時間に依存する摂動論
12.2 時間によらないVでの遷移確率
12.3 調和摂動での遷移確率
12.4 電磁場中の原子
12.5 光学遷移の選択則
12.6 ラビ振動
12.7 時間に依存する摂動論の補足
13 散乱理論
13.1 散乱断面積
13.2 古典力学での散乱問題
13.3 量子力学での散乱問題
13.4 ボルン近似
13.5 部分波展開の方法
13.6 部分波展開の方法の応用
13.7 リップマン‐シュウィンガー方程式
13.8 光学定理
付録A ガウス積分,Γ関数,デルタ関数
A.1 ガウス積分
A.2 Γ関数
A.3 デルタ関数
付録B 微分方程式の級数解法
B.1 ベッセル関数
B.2 ルジャンドル方程式
付録C 特殊関数
C.1 エルミート多項式
C.2 ルジャンドル多項式と陪関数
C.3 ラゲール陪多項式
付録D 曲線直交座標でのラプラシアン