内容紹介
世界で最も読まれているトライボロジーの名著を日本語に完訳。接触力学に軸足を置き、固体摩擦の本質を鮮やかに説明する本書は、原子レベルの摩擦から、地球サイズの地震に至るまで、あらゆるスケールにおける摩擦現象(およびその関連現象)を理解するためのガイドとして、理工系の様々な分野で参考となる一冊である。
目次
第1章 はじめに
1.1. 接触と摩擦:現象と応用
1.2. 接触と摩擦の物理学の歴史
1.3. 本書の構成
第2章 接触問題の定性的な解法:凝着のない接触
2.1. 材料特性
2.2. 簡単な接触問題
2.3. 半無限弾性体の接触問題
問 題
第3章 接触問題の定性的な解法:凝着を伴う接触
3.1. 物理的な背景
3.2. 曲面に働く凝着力
3.3. 弾性体に働く凝着力
3.4. 凝着に及ぼす表面粗さの影響
3.5. 粘着テープ
3.6. Van der Waals 力と表面エネルギー
問 題
第4章 毛管力
4.1. 表面張力と接触角
4.2. 接触角のヒステリシス
4.3. 圧力と曲率半径
4.4. 毛管架橋
4.5. 球と平面の間に働く毛管力
4.6. 粗面と接触する液体
4.7. 毛管力とトライボロジー
問 題
第5章 接触問題の厳密な解法:凝着のない接触
5.1. 表面力を受ける半無限弾性体の変形
5.2. Hertz の接触理論
5.3. 曲面を持つ弾性体同士の接触
5.4. 円錐圧子と半無限弾性体の接触
5.5. Hertz 接触の内部応力
5.6. 次元削減法
問 題
第6章 接触問題の厳密な解法:凝着を伴う接触
6.1. JKR 理論
6.2. 次元削減法
問 題
第7章 粗面の接触
7.1. Greenwood-Williamson モデル
7.2. 突起の塑性変形
7.3. 電気接点
7.4. 熱接点
7.5. 接触剛性
7.6. シール
7.7. 粗さと凝着
問 題
第8章 接線力を伴う接触問題
8.1. 接線力を受ける半無限弾性体の変形
8.2. 接線力分布を受ける半無限弾性体の変形
8.3. 接触面が滑らない場合
8.4. 接触面が滑る場合
8.5. 部分滑りが生じない場合
8.6. 次元削減法
問 題
第9章 転がり接触
9.1. 転がり接触の定性的な議論
9.2. 転がり接触の応力分布
問 題
第10章 Coulomb の摩擦則
10.1. はじめに
10.2. 静摩擦と動摩擦
10.3. 摩擦角
10.4. 摩擦係数の接触時間依存性
10.5. 摩擦係数の法線力依存性
10.6. 摩擦係数の滑り速度依存性
10.7. 摩擦係数の表面粗さ依存性
10.8. 摩擦の起源に関するCoulomb の見解
10.9. Bowden とTabor の理論
10.10. 摩擦係数の温度依存性
問 題
第11章 乾燥摩擦:Prandtl-Tomlinson モデル
11.1. はじめに
11.2. Prandtl-Tomlinson モデルの基本特性
11.3. 弾性不安定性
11.4. 超潤滑
11.5. ナノマシン:超微小なアクチュエータの概念
問 題
第12章 摩擦励起振動
12.1. 速度弱化型の摩擦力により生じる不安定性
12.2. 弾性体に生じる不安定性
12.3. 臨界減衰と完全吸収
12.4. 不安定性の能動制御
12.5. スキール音の強度
12.6. 安定性に及ぼす剛性の影響
12.7. スプラッグスリップ
問 題
第13章 接触部の摩擦熱
13.1. はじめに
13.2. 微小接触部の閃光温度
13.3. 摩擦熱により生じる不安定性
問 題
第14章 潤 滑
14.1. 平行平板間の流れ
14.2. 流体潤滑
14.3. 粘性凝着
14.4. 潤滑油のレオロジー
14.5. 境界潤滑
14.6. 弾性流体潤滑
14.7. 固体潤滑剤
問 題
第15章 エラストマーの粘弾性
15.1. はじめに
15.2. 応力緩和
15.3. 複素弾性率
15.4. 複素弾性率の性質
15.5. 粘弾性体のエネルギー散逸
15.6. 複素弾性率の測定
15.7. レオロジーモデル
15.8. ゴムのレオロジーモデル:標準モデル
15.9. レオロジー特性に及ぼす温度の影響
15.10. マスターカーブ
15.11. Prony 級数モデル
15.12. 次元削減法
問 題
第16章 エラストマーの接触と摩擦
16.1. エラストマーと粗面の摩擦
16.2. 転がり抵抗
16.3. 凝着を伴うエラストマーの接触
問 題
第17章 摩 耗
17.1. はじめに
17.2. アブレシブ摩耗
17.3. 凝着摩耗
17.4. 低摩耗の条件
17.5. 摩擦領域からの物質移動
17.6. エラストマーの摩耗
問 題
第18章 摩擦に及ぼす振動の影響
18.1. 巨視的な視点
18.2. 微視的な視点
18.3. 静摩擦に及ぼす超音波振動の影響
18.4. 動摩擦に及ぼす超音波振動の影響
問 題
第19章 接触と摩擦の数値計算法
19.1. 多体系
19.2. 有限要素法
19.3. 境界要素法
19.4. 境界要素法:接線力を伴う接触
19.5. 境界要素法:凝着を伴う接触
19.6. 粒子法
19.7. 次元削減法
第20章 地震と摩擦
20.1. はじめに
20.2. 地震の定量化
20.3. 岩石の摩擦則
20.4. 速度状態依存型摩擦則と安定性
20.5. 地震の核形成と余効滑り
20.6. 前震と余震
20.7. 粒状体の連続体力学と断層の構造
20.8. 地震の予知は可能か?
問 題
付 録
付録A. 代表的な圧力分布による法線変位
付録B. 軸対称体の接触
付録C. 軸対称体の接触:凝着を伴う場合
付録D. 軸対称体の接触:接線力を伴う場合
参考文献
索 引
(本体5,000円+税10%)
在庫:在庫あり
▼ 補足資料
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