内容紹介
有機統合体としての建築、および時代について人間の生活環境に働く諸力を究明し、その時代の空間意識を、とくに現代におけるそれを浮彫りにした名著であり、ギーデオンの思想の骨子があますところなく盛り込まれている。初版刊行以来60年以上もの年数を重ねて読み継がれてきた、まさに次の世代へと引き継ぐ価値のある復刻版。
目次
序論 1960年代の建築:希望と危惧
混乱と倦怠
発展する伝統の徴候
都市の発展
普遍的な建築
普遍的な建築と地域的な発展
構造とその空間的な意味
過去への異なる接近法
建築の現状
空間におけるヴォリューム/建築と彫刻/ヴォールト架構問題/壁体の生気の回復/有機的と幾何学的
3つの空間概念
I 生活の一部としての歴史
はじめに
歴史家とその時代との関係
連続性に対する要求
現代の歴史
方法の一致
過渡的事実と構成的事実
有機体としての建築
この書の手順
II われわれの建築的遺産
新しい空間概念としての遠近法
遠近法と都市計画
都市成長の先行条件/星状型都市
遠近法と都市の構成要素
壁体と広場と外路/ブラマンテと屋外階段/ミケランジェロと外部空間の構成/アレア・カピトリーナの真の重要性とは何であろうか?
レオナルド・ダ・ヴィンチと地方計画の発端
シクストゥス5世(1585〜1590年)とバロック・ローマの計画
中世とルネサンス期のローマ/シクストゥス5世とその司教在位期間/総合計画/社会的な観点
後期バロック
うねりのある壁体と柔軟な平面
フランチェスコ・ボロミーニ,1599〜1667年/グァリーノ・グァリーニ,1624〜1683年/南ドイツ:フィヤツェーンハイリゲン
外部空間の組織化
住居集団と自然/単独広場/相互に結び付けられた一連の広場
III 新しい可能性の発展
基本的事象としての工業化
鉄
イギリスにける初期の鉄構造/サンダーランド橋/ヨーロッパ大陸における初期の鉄構造
鋳鉄柱から鋼軸組へ
鋳鉄柱
鋼鉄軸組へ
ジェームズ・ボガーダス/セント・ルイス河畔/初期の骨組式建物/エレベーター
建築と工学との離間
当時の討論/エコール・ポリテクニーク:科学と生活との連携/新建築への要望/建築と工学との相互関係
アンリ・ラブルースト,建築家―構造家,1801〜1875年
新しい建築の問題―新しい解決
マーケット・ホール/デパートメント・ストア
大博覧会
ロンドンの大博覧会,1851年/パリの万国博覧会,1855年/1867年のパリ博,1878年のパリ博/1889年のパリ博/1893年のシカゴ
ギュスターヴ・エッフェルと彼の塔
IV 建築における倫理性の要求
90年代:現代建築の先駆者たち
現代芸術の中心,ブリュッセル,1880年〜1890年/ヴィクトル・オルタの貢献/ベルラーへの株式取引所と倫理性の要求/オットー・ワグナーとウィーン派
鉄筋コンクリートとその建築への影響
オーギュスト・ペレー/トニー・ガルニエ
V アメリカの発展
アメリカ製品に対するヨーロッパの注視/アメリカの工業組織
バルーン構造と工業化
バルーン構造と西部の建設/バルーン構造の発明/ジョージ・ワシントン・スノウ,1797〜1870年/バルーン構造とウィンザー椅子
アメリカ建築における平坦な面
融通性のある自由な平面
シカゴ派
アパートメント・ハウス
純粋な形態へ
ライター・ビルディング,1889年/リライアンス・ビルディング,1894年/サリヴァンのカーソン・ピリー・スコット・ストア,1899〜1906年/1893年のシカゴ万国博の影響
フランク・ロイド・ライト
ライトとアメリカの発展/長く延びた十字形の平面/有機的なものへの衝動/事務所建築/フランク・ロイド・ライトの影響/フランク・ロイド・ライトの晩年
VI 美術・建築・構造における時―空間
新しい空間概念:時―空間
われわれは芸術家を必要とするか?
空間の探求:立体派
芸術手段
今日の絵画
構造と美学:スラブとプレーン
ロベール・マイヤールの橋梁/結び
ワルター・グロピウスとドイツの発展
19世紀のドイツ/ワルター・グロピウス/第1次大戦後のドイツとバウハウス/デッサウのバウハウスの建物,1926年/建築上の目標
ワルター・グロピウスのアメリカでの活動
1930年以降の移住の意義/ワルター・グロピウスとアメリカの舞台/建築活動/教育者としてのグロピウス/最近の発展/アテネのアメリカ大使館,1956〜1961年
ル・コルビュジエとその建築的表現手段
サヴォイ邸,1928年〜1930年/国際連盟設計競技,1927年:現代建築の表面化/大構築物とその建築上の目標/社会的構想力/ユニテ・ダビタシオン,1947〜1952年/チャンディガール/晩年の作品/ハーヴァード大学の視覚芸術のためのカーペンター・センター,1963年/ル・コルビュジエと依頼者/ラ・トゥーレットのサント・マリー修道院,1960年/ル・コルビュジエの遺産
ミース・ファン・デル・ローエと形態の完璧さ
ミース・ファン・デル・ローエの建築の諸要素/田園住宅,1923年/シュトゥットガルトのワイセンホーフ集団住宅地,1927年/イリノイ工科大学,1939年以降/高層アパート/事務所建築/形態の完璧さについて
アルヴァ・アアルト:非合理性と標準化
生活と建築との結合/根源的なものと分化再生されたものとの相互補足/1930年以前のフィンランドの建築/アアルトの最初の建物/パイミオのサナトリウム,1929〜1933年/うねらせた壁面/スニラ:工場と風景,1937〜1939年/マイレア/有機的な都市計画/市民センターと文化センター/標準単位の家具/建築家としてのアアルト/人間的側面
ヨーン・ウッツォンと第3の世代
過去との関係/ヨーン・ウッツォン/構成要素としての水平な面/表現の権利:シドニー・オペラ・ハウスのヴォールト/敷地環境との同調:チューリッヒ劇場,1964年/無名の依頼者に対する共感/構想力と実行力
近代建築国際会議(シアム)と現代建築の形成
VII 19世紀の都市計画
19世紀初期/ナポレオン1世のリュ・ド・リヴォリ
緑地が支配的なものとなる:ロンドンのスクェア
ブルームズベリのガーデン・スクェア
大規模な住宅開発:リージェント公園地区
街路が支配的なものとなる:パリの改造計画,1853〜1868年
19世紀前半のパリ/ユージェヌ・オースマンの「3つの計画」/スクェア,ブールヴァール,庭園と植樹/技術的な問題としての都市/オースマンによる財政面の近代的な方法の採用/街路の基本単位/街路のスケール/オースマンの先見:彼の影響
VIII 人間的な問題としての都市計画
19世紀後期/エベニーザー・ハワードと田園都市/パトリック・ゲデズとアルトゥロ・ソリア・イ・マタ/トニー・ガルニエの工業都市,1901〜1904年
アムステルダムと都市計画の再生
ベルラーヘによるアムステルダム南部の計画/アムステルダムの総合拡張計画,1934年/住居地と個人生活との相互関係
IX 都市計画における時-空間
都市計画に対する現代の傾向
破壊か改造か?
都市計画にける新しいスケール
30年代におけるアメリカのパークウェイ/空地をめぐらした高層建築/歩行者のための自由/市民センター:ロックフェラー・センター,1931〜1939年
変りつつある都市の概念
都市と国家/都市,それはもはや閉じられた組織体ではない/持続と変化/個と集団の領域/変化の兆候と不変の徴候
X 終わりに臨んで
建築にける有機性の限界について/政治と建築
出版社からのメッセージ
本書籍は価格変更に伴い、ISBNを変更しました。
旧ISBN::978-4-621-08078-8
内容に変わりはありません。
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