内容紹介
量子光学は過去10〜20年間に注目されるようになった分野。今日、この分野に対する関心が大幅に高まっており、量子情報処理への応用に量子光学を用いる展望が開け、強い関心が持たれている。本書は、複雑な数学的記述を極力避けて、物理的内容の直感的な記述が多く用いられ、この分野全般の知識を広く求める人への最良の入門書。また学生向けの教科書であると同時に、研究者や技術者が、この分野全般にわたる基本知識と最新の進歩を正確に、かつ容易に得ることができる。
目次
第I部 基本概念と科学的背景
第１章 基本概念
１．１ 量子光学とは？
１．２ 量子光学小史
１．３ 本書の内容
第２章 古典光学
２．１ Maxwell方程式と電磁波
２．２ 回折と干渉
２．３ コヒーレンス
２．４ 非線形光学
第３章 量子力学
３．１ 量子力学の定式化
３．２ Schrodinger方程式
３．３ 原子の量子状態
３．４ 調和振動子
３．５ Stern-Gerlachの実験
３．６ 固体のバンド理論
第４章 原子の放射遷移
４．１ Einsteinの係数
４．２ 放射遷移速度
４．３ 選択則
４．４ スペクトル線の幅と形状
４．５ 固体中の線幅広がり
４．６ 半導体の光特性
４．７ レーザ
第II部 光子
第５章 光子統計
５．１ まえがき
５．２ 光子計数統計
５．３ コヒーレント光：Poisson光子統計
５．４ 光子統計による光の分類
５．５ 超Poisson光
５．６ サブPoisson光
５．７ 損失による光子統計の劣化
５．８ 光検出理論
５．９ フォトダイオードのショット雑音
５．10 サブPoisson光子統計の観測
第６章 光子の反バンチング
６．１ はじめに
６．２ Hanbury Brown-Twiss実験と古典的強度揺らぎ
６．３ ２次相関関数g(2)(τ)
６．４ 光子によるHanbury Brown-Twissの実験
６．５ 光子のバンチングと反バンチング
６．６ 反バンチング光子の実証的実験
６．７ 単一光子光源
第７章 コヒーレント状態とスクイーズド光
７．１ 古典調和振動子としての光波
７．２ 位相ベクトル図と直交位相電界
７．３ 量子調和振動子としての光
７．４ 真空場
７．５ コヒーレント状態
７．６ ショット雑音と光子数・位相間の不確定性
７．７ スクイーズド状態
７．８ スクイーズド光の検出
７．９ スクイーズド状態の発生
７．10 増幅器における量子雑音
第８章 光子数状態
８．１ 調和振動子の演算子解法
８．２ 光子数状態表現
８．３ 光子数状態
８．４ コヒーレント状態
８．５ Hanbury Brown-Twiss実験の量子論
第III部 原子・光子相互作用
第９章 光・原子間の共鳴相互作用
９．１ まえがき
９．２ 予備的概念
９．３ 時間依存Schrodinger方程式
９．４ 弱電界極限：EinsteinのB計数
９．５ 強電界極限：Rabi振動
９．６ Bloch球
第10章 共振器中の原子
10．１ 光共振器
10．２ 原子・共振器間の結合
10．３ 弱結合
10．４ 強結合
10．５ 共振器効果の応用
第11章 冷却原子
11．１ まえがき
11．２ レーザ冷却
11．３ Bose-Einstein凝縮
11．４ 原子レーザ
第IV部 量子情報処理
第12章 量子暗号
12．１ 古典暗号
12．２ 量子暗号の基本原理
12．３ ＢＢ84プロトコルによる量子鍵配送
12．４ システム誤りと個人認証
12．５ 単一光子光源
12．６ 量子暗号の具体的実験
第13章 量子計算
13．１ まえがき
13．２ 量子ビット（ｑビット）
13．３ 量子論理ゲートと回路
13．４ コヒーレンス緩和と誤り訂正
13．５ 量子コンピュータの応用
13．６ 量子毛さん実験の実装
13．７ 展望
第14章 もつれ状態と量子テレポーテーション
14．１ もつれ状態
14．２ もつれ光子対の発生
14．３ 単一光子干渉実験
14．４ Bellの定理
14．５ テレポーテーションの原理
14．６ テレポーテーションの実証実験
14．７ 議論
付録
Ａ．Poisson統計
Ｂ．パラメトリック増幅
Ｃ．状態密度
Ｄ．低次元半導体構造
Ｆ．核磁気共鳴
Ｅ．Bose-Einstein凝縮
