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HGS分子構造模型使い方ガイド

皆様にご活用いただくために

HGS分子構造模型シリーズをご利用いただきありがとうございます。このページではこれからHGSを活用したい方や授業でどのように利用すべきかを考えていらっしゃる皆様に向けて商品属性やパーツの属性などを随時紹介していきます。

 

HGS分子構造模型とは

HGS分子構造模型は、タマ(原子)とボンド(結合)を組み合わせて精度よく分子の立体構造を作成することができるキットです。発売開始以来、その精度と使いやすさから多くの研究者、学生に支持をいただいてきました。コンピューター上の3Dモデルとは異なり、実際に自らの手で作ることで、分子の形を学び体感することができます。その学習効果は計り知れません。

   

各セットの「たま」と「ボンド」の種類について

A型 有機化学入門用

最も初学者向きのセットです。高校化学レベルの基礎的な有機化学物を理解するために最適です。基本的な脂肪族炭化水素や芳香族を含む基本的な環状炭化水素を作ることが可能です。本セットではパーツが少ないため複数の化合物を同時に作成して比較するという用法には向いておりません。

 

内容物

①タマ…水素24個・炭素12個・酸素2個・窒素2個

②ボンド…C-H(110pm)25本、C-C(154pm)20本、C=C(133pm)6本

 

B型 有機化学研究用

大学で有機化学を学んでいる学生や研究者に向けた最もハイエンドなセットです。炭素原子が計52個含まれているので生体分子や天然有機化合物など分子量が大きい化合物を作成することができます。基本的な分子以外にもハロゲンや硫黄、金属の原子を含むため錯体や有機金属化学までを含めた研究に利用することもできます。

 

内容物

①タマ…水素60個、炭素(穴4)38個、炭素(穴5)14個、窒素(穴4)4個、窒素(穴5)2個、酸素6個、ケイ素2個、リン2個、硫黄2個、塩素4個、ホウ素2個、金属2個

②ボンド…O-H(96pm)10本、C-H(110pm)60個、C=C(133pm)白10本、C=C(133pm)青30本、C-C(154pm)60本、C-C(140pm)20本(共鳴構造用)、C-O(N)(145pm)10本、C-Cl(S)(180pm)10本、C-Br(190pm)10本、C-I(210pm)10本

③原子軌道板…p原子軌道板(青6個、緑6個)、π原子軌道板(青3個、緑3個)

④pm単位の物差し1個

 

C型 有機化学実習用

大学で有機化学を学んでいる学生向けのスタンダートなセットです。様々な元素を含むため基本的な分子以外も作成可能で、構造や反応機構の勉強に最適なセットになっています。国内外の多くの大学で指定採用品としての実績を積み上げてきた商品です。有機化学のテキストを読む傍らで、取り上げられた化合物を組み立てることでより高い学習効果が期待できます。

 

内容物

①タマ…水素30個、炭素(穴4)30個、炭素(穴5)14個、窒素(穴4)4個、窒素(穴5)2個、酸素4個、塩素4個、金属2個
②ボンド…C-H(110pm)30本、C-C(140pm)16本(共鳴構造用)、C-C(154pm)40本、C-Cl(S)(180pm)6本、C=C(133pm)16本
③原子軌道板…p原子軌道板(青6個、緑6個)
④pm単位の物差し1個

 

有機化学学生用セット

高校化学で学ぶ化合物のうち約90%を作成することが可能なセットです。高校でしっかりと化学を学びたい学生や、高校で化学を履修しなかった理工・バイオ・家政系の学生に最適です。酸素原子がA型セットよりも多く入っているため、複数の官能基を持つ化合物を作成することもできます。

 

内容物

①タマ…水素30個、炭素(4穴)9個、炭素(5穴)6個、窒素2個、酸素4個、硫黄1個、塩素2個

②ボンド…C-H(120pm)30本、C-C(140pm)7本(共鳴構造用)、C-C(154pm)20本、C=C(133pm)12本

③軌道板…p原子軌道板(青2個・緑2個)

 

 

「たま」と「ボンド」の取り付け方・取り外し方

タマとボンドを取り外しする際は必ず、真っすぐ取り扱うようしましょう。無理に曲げたりねじったりするとボンドがタマの中に残り、再利用することができなくなります。セットの中には「ボンドプラー」という黒いゴムがあり、これを使うこととでスムーズに抜くことが可能です。

ボンドの取り外し方(GIF動画)

ボンドプラーを使った、正しいボンドの取り外し

 

 

 

 

 

 

 

ボンドの長さの選び方

ボンドの長さは結合させるタマの種類によって異なります。それぞれの結合に対して適切なボンドの長さを選ぶことが、分子の形を考える非常に大切な練習となります。下記はボンドの型番とそれに対応する用途、結合距離を一覧にしたものです。ぜひ参考にしながら模型を組み立ててみてください。

 

No.

用途

結合距離

(pm)

備考

1

O-H

96

 

2

C-H

110

 

3

C=C

133

 

4

CC

140

共鳴結合用

5

C-O

C-N

145

 

6

C-C

154

 

7

C-Cl

C-S

180

 

8

C-Br

190

 

9

C-I

210

 

10

C=C

133

ベント型

 

構造の違いを見比べてみよう

分子模型を使うことの利点の一つに、似ているものを見比べることができることが挙げられます。例えば、分子の中の位置取りの違いや、光学異性体なども見比べられます。

下記のプロパンについて、2つの写真を掲載しました。この写真から考察をしてみましょう。

 

写真1:プロパンの投影式と分子模型を縦から撮影

 

写真2:プロパンの投影式と分子模型を横から撮影

 

プロパンを投影式の通りに、ねじれ型と重なり型で写真1を撮ってみました。これはただの投影式の模倣です。しかしそれを横にして写真2を取り直してみると、重なり型の方が10pmほど上部の水素原子が近づいていることがわかります。また、ねじれ型は水素分子がほぼ均等になるように配置されていることもわかりました。これは、安定しそうですね。

 

写真3:ブタンの投影式と分子模型を横から撮影

 

ブタンでも同様の試みを写真3に納めました。回転のパターンが多いので極端な例を写真に納めました。やはり重なっていると窮屈ですし、同じ構造が近づいているので反発しそうに見えます。奥山格・石井昭彦・箕浦真生 著『有機化学 改訂2版』によると、20KJ/molのエネルギーがアンチ型から重なり型になるまでに必要になります。

分子模型を作ってコロコロと回転させるだけでなく、その回転に何が障壁になるのか?そういったことを考えながら、分子を眺めてみるとより面白さが深まると思います。

 

 

今後下記のコンテンツを随時更新していく予定です。

 

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基本的な形を作ってみよう

構造を動かしてみよう

 

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