内容紹介
乳幼児はとても不思議な生き物です。生まれたての乳児は、次第に他人を意識し、仲間を見分け、社会の一員となるように行動していきます。それはなぜでしょうか。世界のどのような暮らしの中でも起こる現象ですが、その仕組みについては誰も知りません。
本書では、これらの発達についてわれわれの祖先に最も近い類人猿(チンパンジー・ボノボ)と乳幼児の比較実験を紹介しながら人間独自の発達の仕組みを解明していきます。著者自身を含む最近の研究から、乳幼児は、他者がどのように考えているかという意識を始めるだけでなく、ある年齢を超えると仲間を尊重し、その中で平等に扱われることを期待し、その一員として振る舞うように行動を選択するということがわかってきました。
人間だけがもつ人間らしさを生み出す心の仕組みとは何か。発達に興味をもつすべての人にお贈りしたい1冊です。
目次
第 I 部 バックグラウンド
第1 章 人の独自性の探究
第2 章 進化の基盤
人の進化/人の個体発生/発達心理学における説明
第 II 部 ユニークな人の認知の個体発生
第3 章 社会的認知
類人猿から――他者が知覚するものの想像/共同注意 /視点の協応/「客観的」になる
第4 章 コミュニケーション
類人猿から――意図的なコミュニケーション/協力的コミュニケーション/慣習的コミュニケーション /シンボリックになる
第5 章 文化学習
類人猿から――社会的学習/模倣と同調 /教示学習/知識が豊富になる
第6 章 協力的思考
類人猿から――個人的思考/ 協働的推論/ 協応した意思決定/ 合理的になる
第III 部 ユニークな人の社会性の個体発生
第7 章 協働
類人猿から――他者と並行する行為 /二重レベルの協働/共同コミットメント/二人称的になる
第8 章 向社会性
類人猿から――基本的な共感/スミス流の援助と共有/公平性/協力的になる
第9 章 社会的規範
類人猿から――集団生活/社会的規範 /正義 /集団心性的になる
第10 章 道徳的アイデンティティ
類人猿から――社会的評価/自己提示と自己意識的情動/道徳的正当化とアイデンティティ/責任ある存在になる
第IV部 結論
第11 章 新ヴィゴツキー学派の理論
グローバルな理論と人の個体発生/共有意図性理論/問題と展望
第12 章 共有主体性の力
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