架橋反応ハンドブック 第2版

架橋反応ハンドブック 第2版

著者名 中山 雍晴
発行元 丸善出版
発行年月日 2022年05月
判型 B5 257×182
ページ数 470ページ
ISBN 978-4-621-30714-4
Cコード 3058
NDCコード 578
ジャンル 化学・化学工学 >  材料化学 >  有機材料・高分子材料

内容紹介

 高分子化合物は分子量が高いほど高性能で成形が困難である。この矛盾を解消するために成形後の架橋による高分子化・ゲル化が行われており、架橋技術は、機能性材料の開発に欠かせない要素のひとつである。本書は規範的な技術の発展をとげてきた塗料分野の成果を中心に、架橋剤の性質・反応機構・副反応・架橋結合の性質など必要な基本的知見を体系的にまとめ、他分野でも応用できる知識をもれなく収載している。

 第2版では、その後の動向として、材料面での酸素原子・窒素原子から硫黄原子へのシフト、性能面での自己修復性・再利用性に必要な再分解性機能および生理学的な目的で用いるゲルの作製と解体に利用する生理学的な環境での反応をコントロールする技術の開発研究、さらに精密電子工学に利用するヘテロ原子を含まない架橋系・精密な造形のためのダブル架橋・作業の安全を高めるためのUV→可視光→赤外光への変換等の研究について加筆している。

目次

第1編 架橋反応の基礎知識
 1 架橋する目的
 2 塗布材の構成
 3 塗布樹脂の分子量
 4 架橋効果
 5 架橋反応に必要な条件
5・1 反応速度
5・2 官能基間の接触
 6 塗布膜架橋方法
6・1 架橋反応系の構成
6・2 架橋反応推進手段
 6・2・1 1液常温硬化型
 6・2・2 2(または 3)液常温硬化型
 6・2・3 1液加熱硬化型
 6・2・4 エネルギー線照射による架橋
 7 水系樹脂架橋の特徴
7・1 水系樹脂の構造と定義
7・2 水系樹脂の架橋
 7・2・1 低分子添加剤の架橋
 7・2・2 エマルション塗膜の架橋
 7・2・3 ラテックス塗膜の架橋

第2編 架橋反応各論
 8 アミノ樹脂による架橋(主としてメラミン樹脂による架橋)
8・1 反応機構
 8・1・1 メラミン樹脂の分解
 8・1・2 完全アルキル化メラミン樹脂による架橋
 8・1・3 部分アルキル化メラミン樹脂による架橋
8・2 ヒドロキシ基以外の官能基との反応
8・3 塗膜内架橋剤分布
8・4 水系での使用
 8・4・1 中和剤
 8・4・2 水溶性
 8・4・3 相溶性
 8・4・4 潜在触媒
 8・4・5 その他
8・5 耐候性
8・6 耐酸性
8・7 耐酸性雨性
8・8 N-メチロールアクリルアミドによるラテックスの架橋
8・9 尿素樹脂による架橋
 9 酸化重合による架橋
9・1 反応機構
9・2 ドライヤー
 9・2・1 一次ドライヤー
 9・2・2 二次ドライヤー
 9・2・3 対イオン
 9・2・4 貯蔵安定性
 9・2・5 コバルトドライヤーの代替
9・3 感光性化合物の添加効果
9・4 アルキド樹脂
 9・4・1 合成法
 9・4・2 架橋反応
 9・4・3 反応速度に影響する外的要因
 9・4・4 着 色
 9・4・5 アルデヒドの発生
9・5 水系アルキド樹脂の特徴
 9・5・1 アルキドエマルションの合成
 9・5・2 水系アルキド樹脂の硬化
 9・5・3 ドライヤーの添加方法
 9・5・4 水系の利点
9・6 アルキド樹脂:アクリル樹脂複合
9・7 酸化硬化型基をもった水系樹脂
 9・7・1 酸化硬化型アクリル樹脂
 9・7・2 酸化硬化型ウレタン樹脂
 9・7・3 酸化硬化型エポキシ樹脂
9・8 乾性油脂肪酸以外の基による酸化硬化
9・9 漆およびカシュー塗料
 10 炭素-炭素二重結合の重合反応
10・1 エネルギー線照射による重合
 10・1・1 エネルギー線
 10・1・2 構成成分
 10・1・3 二量化をともなう架橋
 10・1・4 チオール-エン逐次成長反応による架橋
 10・1・5 水系紫外線硬化
 10・1・6 紫外線照射技術のその他改善策
10・2 レドックス開始剤を主としたラジカル開始剤による架橋
 10・2・1 不飽和ポリエステル樹脂の架橋(スチレンおよびビニルエーテルとの共重合)
 10・2・2 アリル基による架橋
10・3 チオール-マイケル反応およびアザ-マイケル反応による架橋
 11 イソシアナート基による架橋
11・1 イソシアナート化合物の反応性・特徴
11・2 反応触媒
 11・2・1 触媒作用のある化合物
 11・2・2 ヒドロキシ基と水に対する反応比率をかえる触媒
 11・2・3 水系における触媒使用に関する問題点
11・3 生成した架橋結合の特性
11・4 各種架橋系の構成
 11・4・1 2液常温乾燥塗料
 11・4・2 1液湿気硬化型塗料
 11・4・3 二酸化炭素を発生しない湿気硬化型塗料
11・5 硬化反応に対する湿気の影響
11・6 水系でのイソシアナート架橋
 11・6・1 水系樹脂
 11・6・2 水系イソシアナート架橋剤
 11・6・3 水系での触媒の使用
 11・6・4 水系のポットライフ
 11・6・5 水系塗料での湿度の影響
 11・6・6 水系2液ウレタン塗料の実用化検討
11・7 その他の反応および反応方法
11・8 イソチオシアナート基による架橋
11・9 シアナートエステルの反応
 12 ブロックイソシアナート基による架橋
12・1 イソシアナート基再生反応
12・2 イソシアナート基再生に影響する触媒およびその他の外的因子
12・3 バインダーの構成
 12・3・1 溶剤系
 12・3・2 水 系
12・4 ブロック剤を発生しない架橋
 13 エポキシ基による架橋
13・1 各種エポキシ基の架橋反応性および触媒
 13・1・1 脂肪族エポキシ基
 13・1・2 脂環式エポキシ基
13・2 エポキシ基の重合
13・3 エポキシ基の反応制御
 13・3・1 官能基のブロック
 13・3・2 触媒による制御
13・4 水系でのエポキシ基とアミノ基の架橋反応
 13・4・1 エポキシ基含有エマルションの架橋
 13・4・2 エポキシ基含有ラテックスの架橋
13・5 水.系でのエポキシ基とカルボキシ基およびヒドロキシ基との架橋反応
 13・5・1 脂肪族エポキシ基
 13・5・2 脂環式エポキシ基
13・6 その他官能基とエポキシ基の反応
13・7 エポキシ基とチイラン基の違い
13・8 エポキシ基とオキセタン基の違い
 14 シラノール基による架橋
14・1 シラノール架橋の特徴と耐熱性・耐候性
14・2 水溶液中でのアルコキシシリル基の反応
14・3 水系樹脂へのアルコキシシリル基導入の方法・効果
 14・3・1 導入方法
 14・3・2 架橋による高分子化効果
 14・3・3 付着性改善および表面改質効果
14・4 水系での架橋反応コントロール手段
 14・4・1 アルコキシシリル基の反応性
 14・4・2 pH調整
 14・4・3 物理的手段
14・5 その他のシランカップリング剤による変性と効果
 14・5・1 溶剤系
 14・5・2 水 系
14・6 ゾルゲル反応を利用する架橋
14・7 ポリシラザンからのセラミックスの合成
14・8 ヒドロシリル化反応
14・9 オキサシラサイクル化合物による架橋
 15 ヒドラジド基による架橋
15・1 反応機構
15・2 架橋剤の選択
15・3 カルボニル基含有ラテックスの1液常温架橋
 15・3・1 1液常温架橋に必要な要素
 15・3・2 改善報告例
15・4 各種ラテックス塗膜および各種樹脂の架橋例
 15・4・1 異なるガラス転移温度,粒子径をもつアクリルラテックスの混合
 15・4・2 ポリウレタンディスパージョン
 15・4・3 フッ素樹脂-アクリル樹脂ハイブリッドラテックス
15・5 2液架橋型エマルション
15・6 ア.ルキド-アクリル複合樹脂エマルションの安定性および塗膜性能の改善
15・7 再溶解性塗膜
 15・7・1 再溶解性塗膜の消失機構
 15・7・2 プラスチック基材にダメージを与えない脱塗膜方法
15・8 塗膜に浸透する架橋剤による架橋反応
 15・8・1 浸透架橋の原理
 15・8・2 進行速度測定法
 15・8・3 浸透架橋成立の条件と各要素の効果
 15・8・4 適用性
 16 カルボジイミド基による架橋
16・1 反応機構
16・2 水系での利用
 16・2・1 水との反応
 16・2・2 架橋反応
 16・2・3 水系での実用例
 17 オキサゾリン基による架橋
17・1 反応機構
 18 アセトアセチル基による架橋
18・1 溶剤系での架橋
 18・1・1 メラミン樹脂による架橋
 18・1・2 イソシアナート基による架橋
 18・1・3 マイケル反応による架橋
 18・1・4 アミンとの反応
18・2 水系での架橋
 18・2・1 ラテックス塗膜硬化例
 18・2・2 水溶性樹脂の耐加水分解対策
 18・2・3 メチクリル酸(アセトアセトキシ)エチル以外の例
 19 アジリジン基による架橋
19・1 反応機構
19・2 応用例
 19・2・1 架橋剤として使用する例
 19・2・2 アジリジン基をもったポリマー例
19・3 アゼチジン基による架橋
 20 ディールス-アルダー反応による架橋
20・1 フランとマレイミドの反応
20・2 応用例
20・3 フランとマレイミド以外のディールス-アルダー反応と応用
 21 アセタール基による架橋
 22 スピロオルトエステル基による架橋
 23 活性エステル基による架橋
23・1 メチルアクリルアミドメトキシ酢酸による架橋
23・2 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基による架橋
 24 環状カーボネート基による架橋
24・1 研究例
24・2 五員環ジチオカーボネート基による架橋
 25 イソプロペニル基とヒドロキシ基による架橋
 26 アルデヒド基による架橋
 27 プロパルギル基による架橋
 28 アジド基による架橋
 29 エステル化反応による架橋
29・1 反応機構
29・2 実用化検討例
 30 金属による架橋
30・1 金属の有害性
30・2 チタンによる架橋
30・3 ホウ素による架橋
30・4 その他の金属による架橋
 31 金属キレートによる架橋
 32 イオン結合による架橋
32・1 金属イオンによる架橋
32・2 有機イオンによる架橋
 33 分子間凝集力による架橋
33・1 凝集力の強い基による架橋
 33・1・1 液晶基の効果
 33・1・2 水素結合
33・2 高分子鎖の凝集による架橋
 34 POSSの凝集による架橋
34・1 POSSの特性
34・2 POSSによるポリマー間の架橋の各種効果
 35  包接錯体による架橋(ホスト-ゲスト架橋および架橋点がスライドする架橋)
35・1 包接結合生成による通常の架橋
35・2 スライドする架橋点ができる原理
35・3 架橋点がスライドする架橋の効果
35・4 特定の架橋点をもたないゲルの効果
 36 ラジカル反応で再編成できる結合
 37 ベンゾシクロブテンによる架橋
 索 引

出版社からのメッセージ

本書は『架橋反応ハンドブック』(2013年7月刊)の改訂版です。

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