内容紹介
化学は暗記科目であるという人がいる.これは一見正しいが,根本的には間違いである.「なぜそうなるのか」という化学の本質の理解と,基盤となる物理・数学の知識があれば,事項の暗記は必要ない.
本書は,高校での化学,物理,数学の学習状況が様々な読者を想定し,大学の化学の基礎を解説した教科書である.第1編「化学の基礎」では,高校化学を出発点とし,物理化学を基本として「なぜそうなるか」を理解できる内容とした.また,実験に関する章も盛り込んだ.第2編,第3編では,化学の真の理解に必要な物理・数学の知識を簡潔にまとめた.必要に応じ参照して知識を補い,化学の理解を深めることができる.
化学科,応用化学科の学生はもちろん,他の理工系学部や教育学部,教養課程等で化学を学ぶ学生,発展的な学習を進めたい高校生に,ぜひ活用いただきたい.
目次
第1編 化学の基礎
1章 物質の構成
1-1 基礎知識
1-2 原子の電子構造
1-3 化学結合論と分子の構造
1-4 対称性
2章 物質の状態
2-1 基礎知識
2-2 分子の電気的性質
2-3 分子間力
2-4 分子の磁気的性質
2-5 気体の性質
2-6 液体の性質
2-7 固体の構造
3章 化学反応のエネルギー
3-1 基礎知識
3-2 熱力学
3-3 統計熱力学
4章 物質の変化
4-1 基礎知識
4-2 酸と塩基
4-3 酸化還元反応
4-4 電気化学
5章 化学反応の速さと平衡
5-1 基礎知識
5-2 反応速度論
5-3 化学平衡
6章 実 験
6-1 基本的な実験操作
6-2 データの取扱い
6-3 最小二乗法の応用
6-4 具体的な化学実験例
第2編 物理の基礎
7章 物理量の単位と次元
7-1 物理量
7-2 次 元
7-3 SI基本単位
7-4 SI組立単位
7-5 SI接頭語
7-6 非SI単位
7-7 割 合
7-8 物理量の演算
7-9 有効数字とその四則演算
8章 電 気
8-1 電荷と電場
8-2 電位と電気エネルギー
8-3 誘電体と電場
8-4 電流と仕事
9章 磁 気
9-1 磁石と磁場
9-2 電流と磁場
9-3 電磁誘導
10章 光
10-1 波としての光
10-2 粒子としての光
11章 熱力学
11-1 気体分子の運動
11-2 気体の状態変化
第3編 数学の基礎
12章 微分と積分
12-1 微 分
12-2 積 分
12-3 微分方程式
13章 指数関数と対数関数
13-1 指数関数
13-2 対数関数
14章 ベクトルと行列
14-1 ベクトル
14-2 行 列
14-3 連立方程式
15章 各種公式・展開式
15-1 各種公式
15-2 展開式
索 引